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詩(いちも詩)

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いちも詩の入った詩です。
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2022年8月の記事一覧

移っていく

冷たさも温もりも移っていく ふたつの体温が同じになるまで けれど触れられないから わたしの…

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肺をなくして

肺をなくして僕はひとり 僕はわたしから逃げきれず 追い込まれた 追憶の二重螺旋階段 上へ上…

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カラオケボックス

安っぽい音にのせた安っぽい気持ち ありふれた愛の言葉に麻痺した脳味噌 ああもうそんなんじゃ…

月に行こう

ただでさえ こんなにちっぽけな わたしの存在の重みが 六分の一になって もっともっと軽くなっ…

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原爆忌

あの日たくさん死にました 僕らはその日にうまれました 大きな雲に覆われた目で 僕らは確かに…

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枯れた花にも水をやろう

白い花が枯れた ひとりで枯れた 僕は葬式をした ひとりで葬式をした 枯れた花にも水をやろう …

タリオビト

もしも死ぬなら 死ぬならこんなふうに こんなふうに晴れた 晴れた日がいい 少女は呟いた もしも死ぬなら 死ぬなら君と一緒に 君と一緒に屋上から飛ぶのが 屋上から飛ぶのがいい 少女は呟いた

別れの足音

とくん 君には聞こえない わたしにすり寄ってくる別れの足音 とくん わたしには聞こえない 君…

ロープ

治す気もないシンドローム わざと両手を痙攣させて 針の折れたメトロノーム 役立たずな生き方…

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