藤野ゆくえ

いろいろ創作しています→https://twitter.com/srwnks/

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    いちも詩の入った詩です。

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    藤野ゆくえとひつじによるリレー小説です。どうなるかわかりません。

  • 【あなたとつくる長編連載】CURATOR

    一話終わるごとに Twitter のアンケート機能を利用して、次の展開を投票の多かったものにしていきながら、長編の連載を進めていきます。ぜひアンケートへのご参加、よろしくお願いします。

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いつかはちゃんと、終われるから。

 豆塚エリさんの『しにたい気持ちが消えるまで』を読みました。  豆塚エリさんとは、去年の秋ごろからお付きあいがありますので、以下、親しみを込めて「エリさん」と呼ばせていただきます。 自殺未遂と後遺症による身体障害 エリさんは16歳のときに、飛び降り自殺を図りました。その自殺は未遂に終わり、後遺症によって身体障害者となり、現在は車椅子での生活をされています。  この本は、そんなエリさんのこれまでを綴るエッセイなのですが、そのあいまには、エリさんの書かれた詩も何篇か載っています

    • 見世物《Answer Poetry To ニセモノ / syrup16g》

      はじめから叶うと わかりきっている願いだけを 抱いていられたら きっと幸せになれたんだろうね こころだけなら 生まれつき不感症だ でもそんなの 誰にも気付かれない 見世物になれるその不感症 僕にも伝染してくれよ ニセモノでもいいよ 彼の嘘はすべて 僕にとってはホントウだから 愛されたいの? まだ 愛されたいの? じゃあ 愛してなんてあげないよ だってそれが 優しさというものでしょう からだでさえも 最近は不感症だ でもそんなのみんな 見て見ぬ振りしてる 見世物になれる

      • 「さようなら」を聴くために

        この耳は 君の「さようなら」を聴くために 生えてきたのでしょう 出逢えなければ別れもなかった 傷つくのだったら 出逢わないほうがよかったと 君は思っているのでしょうか この耳は 君の「さようなら」を聴いたあと 削ぎおとしてしまいたかった この世界を終わらせるのは 君であってほしかったから

        • あいしていると言わせて

          強く強く抱きしめて そのまま押しつぶしてほしい わたしなんて いなくなってしまえばいい  あいしていると言わせて けれど 誰があいしてるのかなんて 知らない   強く強く口付けて そのまま吸いつくしてしまいたい あなたなんて いなくなってしまえばいい  あいしていると言わせて けれど 誰をあいしてるのかなんて 知らない

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        記事

          溶ける

          水には溶けない僕だけど 自分のカタチが保てないような 気がする春の時雨の中 どこか遠くへと流れたい 人混みの中歩いていたら 自分が誰だか分からないような 気がして時々振り向いて 自分がいないか確かめる どうしてこんな気持ちになるのか 誰か教え ないで 僕は僕を分かりたくない 誰にも分からせたくない 溶ける 溶ける 人混みに紛れて 溶ける 溶ける 知らない誰かの中へ お湯にも溶けない僕だけど 自分のキモチも保てないようだ 漂う春の霞の中 消えてなくなってしまいたい 溶

          わけもなく

          朝になるたびに カーテン開けるのは面倒だから もうずっと開けっぱなし 眠れない夜も開けっぱなし 夜になるたびに 戸締りするの面倒だから もうずっとかけっぱなし とりあえず鍵はかけっぱなし わけもなく悲しい日はあるのに わけもなく嬉しい日がないなあ 信じちゃうたびに 裏切られるの面倒だから ずっと疑いっぱなし 誰もかれも疑いっぱなし わけもなく悲しい日はあるのに わけもなく嬉しい日がないなあ 意味もなく涙なら出るのに 意味もなく笑みなんて浮かばないね

          わけもなく

          世界に色がつくとき #18

           バスを降りて少し歩き、水族館の入り口に着く。やはりそれなりに賑わっていた。二人で列に並んで顔を見合わせる。恵介くんはなんだか不安そうな顔をしていた。 「どうしたの?」 「うーん……」  曖昧に唸りながら、列に沿って前へと進む。 「実はね、僕……、水族館が怖いんだ」 「へっ?」  あまりにも予想外の言葉に、私は素っ頓狂な声をあげてしまった。 「あれ、で、でも、水族館に行こうって言ったの、恵介くん、だよね……」 「そうだよ」 「もしかして、その……、定番のデートスポッ

          世界に色がつくとき #18

          それだけ

          まだ息をしていますか 僕がどこでなにをしたって もうあなたには関係なくて あなたが何を見て何を想ったって もう僕はそれを知ることはない 僕がほんとうは死んでいても あなたはそれを知ることはなく あなたが生きているかどうか 確かめる術を僕は持たない まだ息をしていますか ほんとうのところ そんなことどうでもよくて あなたは僕の中に生きつづけているから 僕が死ぬその日まで 僕の中で息をしているから きっとそれだけで それだけでいいんだ

          やさしかった僕

          僕をやさしいひとだと言った あなたはもういない 僕にも悲しむ権利はあるか だれに問えばいいのかも わからずに 僕は脳内で奇声をあげる とうに色覚をなくした網膜が 映す空には雲がない   僕をさみしいひとだと言った あなたはもういない 僕にも悼む権利はあるか 空の向こうに星があることが 今の僕には信じられない   僕にも悲しむ権利はあるか やさしかった僕はもういない さみしかった僕はもういない

          やさしかった僕

          その声でこの首を

          君の声にこの指で触れたい どんな肌触りなの どんな温かさなの 君の声をこの指でひっぱりたい もっとよく聴こえるように この耳のすぐ傍まで それからもっともっとひっぱって この首に巻きつけるまで 君の声で息を止めてしまいたい 大好きだから ずっとわたしのことを覚えていて

          その声でこの首を

          An-i ‘n’ Stole

          すべてを壊してしまいたいと こんな世界を崩してしまいたいと なにもかも捨ててしまいたいと かろうじてこの星に この命を繋ぎとめていた 激情さえも 安易に盗まれてしまった 返してくれ 僕の存在さえも 壊して崩して捨ててしまうために ただそれだけのために かろうじてこの星に この命を繋ぎとめていた あの恐れを あの憎しみを 安易に盗まれてしまった あの愛を

          An-i ‘n’ Stole

          星たちの心中

          天の川で入水した 星のなきがらが ひとつ ふわふわと流れてきました 身元のわからない その星のなきがらは 天の川の下流で 何日も放っておかれました  誰もわたしを探したりしない  誰もわたしを思いださない せっかく心中したのに ふたつのなきがらは 離れ離れになりました  誰もわたしを探したりしない  誰もわたしを思いださない お互いのたったひとつの かけがえのない星を お互いにころしてしまったから 天の川で今日も 入水心中した星のなきがらが ふわふわと流れていきま

          星たちの心中

          君が死んだら悲しい

          悲しい   君が死んだら悲しい とあなたが言うから悲しい 死にきれなかったわたしが 静かに泣きじゃくる横で あなたはギターの古い弦を ぱちぱちと切っていった 君が死んだら悲しい と呟く その声は冷えきっていて ちっとも悲しそうじゃなくて だからわたしの世界は 急速にシラけていった 弦を一本ちょうだい 震えるわたしの声に あなたはただ嘲笑った その弦でもう一度 首を吊って今度こそ 君が死んだら悲しい とあなたが言うけれど そんなのが嘘だって 証明したいから シ

          君が死んだら悲しい

          空に発砲

          遠く遠く知らぬ誰かが また血を流している 時計の針まわしたところで 乾きはしない地面 空に発砲 これじゃ誰にも傷はつかないよ 空に発砲 銃弾の音で目を覚ませ   今日もテレビの液晶から 流れてくる映像 今日も涙もろい君から 流れてくる涙 馬鹿みたいだねと 君は笑って涙を拭いた ほんとうに君は馬鹿げている   空に発砲 これで怯える君は幸せか 空に発砲 これじゃ誰にも傷はつかないよ 空に発砲 銃弾の音で目を覚ませ

          美しい不幸

          あの人の不幸は美しかった 可哀想で憐れむべき存在 愛されるべき存在 死ぬ間際に ハッピーエンドが来ることを 約束された存在 そんなあの人を どんなに真似したところで わたしに ハッピーエンドが来ることなど 誰も約束してくれなかった わたしの不幸は醜かった だから隣に あの人の美しい不幸を 並べないでください わたしは あの人の不幸の美しさを 際立たせるために ただそれだけのために うまれてきたのでしょうか

          そのまま通りすぎて

          空が晴れて見えたのは 網膜が青く 塗られていたから 逃げるために歩いていたのか 追いかけるために歩いていたのか わからなくなったころに 見つけたのは正解 いまさら遅い正解 通り雨 そのまま通りすぎて 言いだせなかった言葉を 気づかれないように飲みこんで 手を挙げても車は止まらない 通り雨 そのまま通りすぎて

          そのまま通りすぎて