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2023/10/24

ネット活動者は会社に所属するべきなのか?

という質問が忘れた頃にやってきます。「んなもん好きにしろよ」と思いながらも毎回「んなもん好きにしろよ」と答えているのですが、正直なところこれは答えが無い問題ではあるのです。
かくいう僕も活動者さんの裏方業務をおこない、お金を貰うことがまちまちあります。それでいて表でも活動するプレイヤーでもありますので、業界・界隈では珍しいタイプではあるのです。裏と表の両方で動く人はあまり多くありません。理由は簡単で、活動者は口が軽くて仕事出来ない人が多いからです。これ偏見でも何でもなく事実なんです。元々配信で稼ごうとしている方たちは会社でスーツを着て働きたくないという方が多いわけですから、基本的な社会的能力を持ち合わせている方の方が少ないのです。だからこそ根っからのクリエイター気質、アーティスト気質な方が生き残る傾向にあります。想像力を使わずただ言われたことをするのが得意なのであれば、ネット活動において非常に不利と言わざるを得ないでしょう。自主的に想像して実行力を持ち合わせた人間が成功を収める世界なのです。

では、そんな活動者の方々が会社や事務所などの大人と関わって仕事をすることにメリットはあるのか?ということについて、少しだけぶっちゃけた話を入れてお話しようと思います。

結論から言えば、本人次第です。身も蓋もない結論ですが、これは事実なのです。どんなにサポートやケアをしてくれる企業や事務所がバックにいたところで「本人が何もしないのなら何も変わらない」というのが結論です。
僕はその質問に対し、船の例え話を出します。例えば個人活動が小舟だとして、企業が大きな船だとしましょう。大きな船は食料や水を大量に詰め込むことができます。しかし小さい船はわずかな食料や水しか詰め込むことしか出来ません。「遥か遠くの海を旅して新大陸を目指したい!」とあらば、大きい船を選ぶのが賢い選択と思えるでしょう。しかしそれが正しい判断とは限りません。あくまでそれはあなたが操縦する船であって、漕ぎ出さなければ船はずっと動かないままなのです。大きかろうと、小さかろうとです。事務所やグループに所属して「大きい船に乗った。あとは大丈夫だろう」と船を漕がなくなってしまうと、事務所に入る意味はありません。それであれば小さい船を一生懸命漕ぐ方が目的地に近づけることと思います。

事務所をバックにつけるメリットは、リソースが増えることです。リソースとは簡単に言うと「その活動者に出せるお金や労力」などのことを指します。車で言うところの燃料ということですね。単純に事務所には自分以外の人間がいますから、イベントなどを行うときは手伝ってくれる方がいますし企業的に肯定的な反応さえ貰えればイベントだって出資してくれる可能性もあります。
しかし、事務所や企業は非営利団体ではありませんので、当然ながら利益を考えます。例えば活動者が「ライブしてみたい!」と事務所に提案したとして、事務所が考えることは「そのライブでどれだけの利益を出すことができるのだろう?」です。ボランティアで活動者に出資するわけがありませんからね。活動者は金銭的なメリットと、イベントをしたという結果が残り、リスナーと思い出ができる。事務所や企業は金銭的な利益を得たり、そのイベントをおこなったという実績が残る。こういう形でお互いにウィンウィンな関係を継続することができるのか、ということなのです。つまりは互いに協力的な姿勢がなければネット活動とビジネスの共存は難しいということが言えます。

活動者さんと会社が上手く共存出来ている例は、正直あまり見たことがありません。半分以上がお互いの悪口を言っているように見えます(全員じゃないですよ)。理由は明確でお互いがお互いに理解を示していないからということが考えられます。活動者は企業のビジネス的なスタンスや思考を、事務所側は活動者のクリエイティブな側面や人間的な部分を理解していないパターンが非常に多いと思われます。僕は色々な仕事に関わって、「これは良くないなぁ」と思う事例が非常に多くあります。
その中の一例として「会社が何もしてくれない」「活動者が何もしない」とお互いに言い合っている状況です。これ、蓋を開けたら答えはシンプルで、お互いが歩み寄らずに自分の求めるものをただ求めあってる水掛け論のような状態になっているパターンです。こういうパターンのときは時間が経てば経つほど相手に歩み寄るのが難しくなっていくものです。というのも、段々と相手を見下すことが多くなってきてしまうのです。「企業はネット活動のこと何もわかってねぇ」「ネット活動者はビジネスのこと何もわかってねぇ」とお互いに言い合う関係値になってしまいます。最悪です。仲良くしなさいよ、と思います。
ここで必要になってくるのは相互的な敬意です。リスペクトです。もっと簡単に言えば感謝の心を持つことです。どちらかにそれが欠けてしまったらバランスが崩れて関係値は悪くなっていきます。でもお互いにリスペクトを十分に持ち合っている関係というのもなかなか難しいものですから、ネット活動者と企業は上手く連携できないパターンが多いんですね。だからこそこの文章を読んでいる人にその関係者がいたら「いま自分がしてることは感謝されて当たり前」って考え方をまず捨てることを勧めます。それで感謝しない人はもう感謝出来ない人と割り切ってビジネス上の関係を保つしかないと割り切る他ありません。期待すればするほど関係は悪化します。割り切ることが難しく大きなストレスを抱えたり業務に支障を来たしているのであれば純粋に合わないのでお互いに関係を切るか、距離を空けつつ良好な関係を保つと良いでしょう(所属から外れてイベントのときなどだけ手伝うなどと言った関係にするなどです)。

しかしもっと現実的なシビアな問題を言うと、この業界の人は過酷な労働環境に耐えかねて急に消えることがあります。深夜の3時まで鳴りっぱなしのライン通知に活動者からの不満。イベント関係の業者やクリエイティブとの連絡などで疲弊して急に連絡が途絶え、消えてしまうことがあるのです。動画編集だけをしている方なども、深夜まで編集したり、いきなり当日中に完成させてほしいとショート動画の制作依頼が来ることなどいくらでもあります。そしていきなり消えるのです。おそらく怪奇現象だと思われます。
そして活動者たちは「●●さんが辞めたので、担当が変わります」などと言った連絡を受けると、「この企業大丈夫か?」などと不信感を募らせることとなります。そして不信感は不満へと肥大化していって、衝突を生んでしまうわけです。
じゃあ労働環境を改善すればいいと思われるかもしれませんが、それも難しいのです。人を雇って教育して育成し、企業内で循環させることに成功すれば軌道に乗ることになりますが、単純にネット活動をビジネスにして企業に利益を与えることって難しいんですよ。ライブやグッズ販売などを行っても、一人の人間を雇用して固定給を払い、一人前になるまでのコストを考えたら莫大なお金がかかります。バイトとして雇用して人件費を抑えてもバイトだったら時給制だから残業の多いこの界隈では不具合が発生してしまいます。そういった費用を払えるだけの利益を埋める活動者ってどれだけいますかと聞かれたら、正直なところあまりいないのが現状なのです。だから少人数で回すしかなくなってくるのですが、少人数で回すと今度は手が回らなくなっていきトラブルの元になる……といった連鎖が発生するのです。よほど労働に慣れている人間か効率の良い働き方ができる人間、頭が回る人間じゃないと生き残ることは難しいんじゃないかと思います。こういう部分でも企業側のホンネを言っちゃえば「文句言うならもっと人雇えるぐらい稼いでくれよ……」という考えも浮かんできちゃったりするわけです。しかしそれを仮に言葉にして言ったところで、活動者からすると「じゃあ稼げるぐらいのイベントとかグッズ販売とかさせてくれよ……」とか主観的な不満がお互いにぶつけ合うことになります。ほら、こういうところでお互いに理解を示し合うことを忘れてしまうわけです。お互い頑張ってるからこそ不満が出るのでしょうけど、そこは活動者も企業側もセルフマネジメントして各々がコンディション管理できるぐらいの関係値であるのが理想かもしれませんね。

だからこそ企業や事務所に所属することは無意味ではありませんが、業界の現状などを見据えた上で「企業や事務所の人を仲間と思って協力しあえることができるか?」というのも非常に重要になってきます。
普段の活動のスタイルや性格、価値観などにも大きく影響する話だと思いますので、活動者さんや企業さんはまずは自分の今の働き方や動き方を分析したうえで冷静に先を見据えて判断するべきなのかもしれませんね。がんばれー!

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