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(5)多数回該当について

まだまだ高額療養費の制度は続きます。
今回は「多数回該当」というルールについてお伝えします。
これは、みんな大好き「さらにお得になります」って話なので、もうワクワクしながら読んで下さい。しかも、内容はいたってシンプル。

窓口での自己負担額が高いと、高額療養費の制度(原則、還付申請)で、安くなることはお伝えしました。その自己負担の限度額が、なんと、さらに安くなるというお話です。

さっそく具体的にみていきます。
肺がんと診断され、抗がん剤の治療をしているCさん。

5月から抗がん剤の治療が始まりました。
やはり薬代が高く、5月は自己負担の上限額を超えてしまったため、高額療養費制度を申請しました。後日(おおよそ3か月後)に払い戻しを受けました。

画像検査の結果が良く、さらなる効果を期待して、7月と9月にも同様の抗がん剤治療を実施しました。やはり、この月の医療費も高額となり、高額療養費制度を使いました。

「高額療養費制度で、ずいぶん助かるけど、このままがんの治療が長引くと、生活が苦しくなるな・・・治療は、まだまだ続くのかな・・・」と。
一部負担額が安くはなるものの、回数が増えてくると、じわじわと負担がのしかかってきました。

そこで登場するのが、「多数回該当」という救世主です。

11月も抗がん剤の治療を受けたCさんは、遡ること12か月以内で、❶❷❸と高額療養費の制度を合計3回申請しています。
そのため、❹回目の申請となる11月分は、「多数回」に該当して、さらに安くなります。

このように、過去12か月以内に3回以上、
上限額に達した場合は、4回目から「多数回」となり、上限額が表の赤字の金額になります。
所得区分にもよりますが、約45%OFFって感じです。これは助かりますね。

今回のルールは難しくないし、お得感満載の内容なので、もう忘れることはないはずです。


これまで、高額療養費の制度は、まず支払ってから、還付申請をするという原則ベースでお伝えしてきました。これだと、申請後、だいたい3か月後に、お金がかえってきます。

がん治療が上記Cさんのように長くなる場合、何度も、その度に、申請しなければなりません。大変ですよね。手元にもある程度まとまったお金も必要になります。

そんなときは、保険者(中小企業のサラリーマンなら協会けんぽ)に、事前に「限度額適用認定証」を発行してもらいましょう。

これを、病院の会計窓口で提示すると、高額療養費分をあらかじめ差し引いて計算してくれます。なのでその場で精算完了となり、還付申請を不要にできます。

がんの治療が長期化する場合には、この「限度額適用認定証」を上手に活用することをおすすめします。

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