No.016~025 最近読んだ本まとめ


本日3月31日をもって、創作活動を一時休止することにしました。

それに伴い、過去作の長編を改稿していたところ、こちらまで手が回りませんでした。すみません。

というわけで今回はここ三か月で読んだ本の感想を、超簡易版でお送りします。ご容赦ください。

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No.016 変身 フランツ・カフカ著

ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜこんな異常な事態になってしまったのか……。なぞは究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えて衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。
(新潮文庫あらすじ より)

淡々とした文章で、虫に変身してしまった主人公グレーゴル・ザムザとその家族の対応の変貌が語られていて、最後は少し悲しい気持ちになりました。変わってしまったのは、グレーゴルだけではないのですね。


No.017 櫻子さんの足元には死体が埋まっている わたしを殺したお人形 太田紫織著

北海道・旭川。冬の川で、僕、正太郎は櫻子さんと、無残なご遺体を「拾った」。けれど彼女となら、そんな日々が続けばいいと願ってしまう。そんな僕のもとに、新聞記者の八鍬士という人が現れた。事件に遭遇しがちな僕らを怪しんでいるらしい。彼は櫻子さんに、美しい頭蓋骨の写真を見せた。事故の被害者が持ち歩いていたという、女性の頭蓋骨。そして僕ら「探偵ごっこを見せてほしい」と言い出し……。櫻子さん真骨頂の物語‼︎
(角川文庫あらすじ より)

花房の正体や彼?を崇拝する人たち、そして正太郎に歩み寄る影が不安要素でした。櫻子さんの傍若無人ぶりとその推理にいつも惚れ惚れしてしまいます。新巻が待ち遠しいです。


No.018 影裏 沼田真佑著

会社の出向で移り住んだ岩手で、ただ一人心を許したのが同僚の日浅だった。ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。いつしか疎遠になった男のもうひとつの顔に、「あの日」以後触れることになるのだがーー。芥川賞を受賞したデビュー作に、単行本未収録の二篇を収録した、暗い燦きを放つ三つの作品。
(文春文庫あらすじ より)

『すべてがFになる』のドラマを見たときから綾野剛が好きなので、読んでみました。表題作『影裏』が一番難解で、他に二編は比較的読みやすかったです。心情描写は、ほぼ皆無です。LGBT関連のシーンが多かったように感じました。結局映画は見に行っていないので、気が向いたら行こうかなと思ってます。


No.019 望みは何と訊かれたら 小池真理子著

パリの美術館で、槙村沙織は三十数年ぶりに秋津吾郎に再会する。彼こそは、学生運動の果ての壮絶な粛清リンチから身ひとつで逃走した二十歳の沙織を、半年間匿ってくれた男だった。運命の再会は二人に何をもたらすのかーー。殺意と愛情がせめぎあう極限状態で人生を共有しあった男と女ゆえの、桃源的な結びつきと、身体も魂も貫く究極の快楽を描き尽くした筆者最高の恋愛小説。
(新潮文庫あらすじ より)

ここ最近読んだ中で一番衝撃だった本です。池袋にある梟書茶房というところで買いました。また行きたいです。
秋津がウナギの骨を食べてしまうシーンがこれまで読んだどのシーンよりも、文学的かつ官能的だと思いました。ラスト一文を読んだとき、雷に打たれたような気分になりました。主人公の気持ちに納得してしまうけれど、どこか狂気も感じる小説でした。


No.020 ホーンテッド・キャンパス 夜を視る、星を撒く 櫛木理宇著

オカ研に芸能人がやってきた!アイドル系美少年の彼は、テレビ番組でも活躍する大人気霊能者。しかし力がおち、引退を決意しているという。最後と決めた心霊番組の収録を手伝ってほしいと頼まれ、森司たちは手を貸すことに。ロケ地はあるホラー映画の撮影場所で、女優と子役、スッタフらが怪死した百貨店の廃墟。しかしロケ中、そこに閉じこめられた森司が経験した恐怖とは……。面白さを更新し続ける、奇蹟のシリーズ第16弾!
(角川ホラー文庫あらすじ より)

めちゃめちゃ尊いので全人類読んでください。


No.021 博多豚骨ラーメンズ9 木崎ちあき著

祝・再就職に浮かれる斎藤。だが、研修先で行方知れずに。その頃、重松の依頼で連続失踪事件を調査中の榎田は、殺し屋を使い社員を口封じしていると噂の会社を突き止める。
一方、過去の悔恨から、旧友の弟捜しをしていた大和は、弟が消息を経った場所で、なぜか榎田と鉢合わせーー利害一致、事件解決のため相性最悪なふたりのコンビが急遽結成。別の依頼で動いていた林も、大和たちに巻き込まれていく。
裏家業の男たちが集うとき、大和の拭えぬ過去への弔い、そして真相が暴かれる!
(メディアワークス文庫あらすじ より)

斎藤くんがとにかく不運すぎます。榎田くんのキャラが結構気に入っているので、彼の回収されていない伏線の行く末が楽しみです。


No.022 スロウハイツの神様 辻村深月著

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ────あの事件から十年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。
(講談社文庫あらすじ より)

久々に本を読んで泣きました。何気ない会話やストーリーに散りばめられた伏線が下巻で一気に回収されていくのは圧巻でした。下巻でコウちゃんが走って警官から逃げるシーンがとてもとても大好きです。小説を書いている身としては、巷で言う“泣ける本”より込み上げてくるものがあってめちゃめちゃ泣けます(個人の感想です)


No.023 アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎著

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は────たった一冊の広辞苑⁉そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。
(創元推理文庫あらすじ より)

現在と二年前が交互に語られていく形式。二年前の言葉が現在に悲しいかたちで生きているのが、作り手の目線から言えば、思わずうなってしまいますし、読み手の目線から言えば、すごく切ない気持ちになりました。終盤のシーンで、神様を閉じ込めに行く、というのが素敵でした。


No.024 はつ恋 ツルゲーネフ著

16歳のウラジミールは、別荘で零落した侯爵家の年上の令嬢ジナイーダと出会い、初めての恋に気も狂わんばかりの日々を過ごす。だが、ある夜、彼女のもとへ忍んで行く男を目撃、正体を知って驚愕する……。青春の途上で遭遇した少年の不思議な“はつ恋”の物語は、作者自身の一生を支配した血統上の呪いに裏付けられて、不気味な美しさを醸し出している。恋愛小説の古典に数えられる珠玉の名作。
(新潮文庫あらすじ より)

ヒロイン、ジナイーダの言動に惑わされる主人公の心情がリアルで、ドキドキしました。初めてロシア文学を読んだのですが、ロシア人の名前が全く長くて覚えられませんでした……。全員を性格と役職で覚えようとしたら全然ダメだったので、他の方法を探しますね。

No.025    向日葵の咲かない夏 道尾秀介著

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪ねた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もうひとつの夏休み。
(新潮文庫あらすじ より)

圧倒的な恐怖と残酷さ。それでも不思議と先が気になって、読んでしまうような小説でした。小学生ならでは純粋さが狂気をいっそう際立たせて、リアルな描写が怖かったです。主人公がどれほど異常であるかを知っても知らなくても冷静に考えると、おぞましく思いました。深夜に読むのはオススメしません(笑)



予想以上に長くなってしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

今は世界的にも大変な時期だとは思いますが、冷静な行動を心掛けたいものです。

それでは、またどこかでお会いできることを願って。


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