No.011 ふたりの距離の概算 米澤穂信 著

今回から感想をほんの少しだけ簡略化して、更新の頻度を上げていきたいなと思っています。

前回に引き続き、今回の感想は<古典部>シリーズです!!

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春を迎え高校2年生となった奉太郎たちの<古典部>に新入生・大日向友子が仮入部する。千反田えるたちともすぐに馴染んだ大日向だが、ある日、謎の言葉を残し、入部はしないと告げる。部室での千反田との会話が原因のようだが、奉太郎は納得できない。あいつは他人を傷つけるような性格ではない────。奉太郎は、入部締め切り日に開催されたマラソン大会を走りながら、心変わりの真相を推理する!
<古典部>シリーズ第5弾!
(出典 角川文庫 あらすじ)

〇ふたりの距離の概算

何の変哲もない副題ですみません(汗)
でも多分、これが一番言いたいことなので、見逃してやってください。

前作で文理選択の話も出てきたので、そろそろかと思ったらあっさりと2年生になってましたね。

『ふたりの距離の概算』は、奉太郎がマラソンをしている現在と、これまでに大日向との間にあったことを順を追っている回想のシーンで構成されています。

この構成がとにかく見事なんですよね~。

大日向が入部しない、と聞いて混乱している様子のマラソン大会開始前の古典部の面々が冒頭で出てくるので、読者としては、なにがあったの!?ってなるわけですよ。

またマラソン大会のルールで、スタートする時刻が違うことより生じる時間差を奉太郎が考えつつ、古典部の面々から情報を集めて推理しつつ、1年生で後からスタートした大日向を待つ、というのも見事でした。

おそらく、奉太郎が古典部の面々や大日向との距離を考えながら走っているのがタイトルの『ふたりの距離の概算』の一つ目の意味だと思います。

もう一つは、友達との距離のことなんだろうな、と私は思っています。

大辞林によると概算というのは、大まかに計算したり勘定すること、という意味のようです。

友達との距離が分からなかくて、突き放してしまった後悔と苦悩、恐怖から生まれた悲しい結末をこのタイトルが暗示しているんだと思います。

私も友達との距離の取り方は上手ではないので、いつも無意識のうちに傷付けているんじゃないだろうかっていう怯えがありますが、与えすぎて依存するされるっていうのもよくないとなると、難しいですよね。ほんと。

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