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本田です。

今日は秋田公演の仕込み三日目・・・ではなく劇場の休館日のため、オフでございました。朝ラーメンをキメたり、名物の比内地鶏の親子丼を頂いたり、地元のお店を巡ったりと、大館を堪能しました。これも旅公演の醍醐味ですね。

さて、

劇団 短距離男道ミサイル39発目 改参公演

「みちのく超人伝説Ⅱ奥州藤原篇『黄金黎明伝TSUNEKIYO X The Golden Dawn』-Episode 0- 愛、千年後のあなたへ」

という、とても長いタイトルの作品を引っ提げて、東北ツアーを回っているわけですが、あらためて、この作品で何を描きたかったのか、振り返ってみたいと思います。

僕は物語を描くときに、必ず「三つのコンセプト」を考えるようにしています。

台本を描くということは、初めての土地に地図もなく投げ出されるようなもので、こっちの道で合っているのだろうかと、行ったり来たりしながら模索していくものだと思っています。

時には行き詰まったり、思い描いていた目的地とは全く違う場所に行き着くことがあります。そのときに、この風景を良しとするのか判断するための「三つのコンセプト」です。

みちのく超人伝説(ヒロイックサーガ)シリーズの第二弾となる今回は、

 ①男たちの愛情と友情の物語

 ②東北に根ざした「地演劇」であること

 ③蝦夷の魂を描くこと

上記の三つを据えました。

①は良いとして、他二点について少し書きたいと思います。

②東北に根ざした「地演劇」であること
ミサイルは、東北の劇団として、東北でしか作れない、東北生まれの作品を届けていくということをミッションにしています。

今回の東北ツアーは、あらためて、ミサイルというチーム自体が東北と出会い直す、という目的もありました。

東北という土地が持つ作品性、身体性、芸術性、歴史、文化、芸能・・・

それらを学んだり、考えたり、研鑽していくことが、東北のみならず、日本、世界で戦っていくための武器になると思っています。

(今回は、岩手の郷土芸能「鬼剣舞」を劇団員みんなで学び、作品に落とし込んでいます。)

また、同時に、現代演劇としてのエンターテイメント作品でありたいとも考えています。それは、東北のローカルな時代劇ではなく、作品として地域や時代を問わない普遍性を持っているということです。

一方で、こうして生まれた作品が新たな郷土芸能のような形で受け継がれ、成長していくことにも期待しています。

③蝦夷の魂を描くこと
今回は、アテルイの時代から二百数十年が経って、繰り返される歴史(前9年の役=奥州十二年合戦)を描いています。

古代から現代に至るまで続く東北地方への搾取、恨みの歴史を通奏低音としつつ、対立構造のちょうど間に立つ人物の苦悩を描く。

この時代には大陸からの渡来系の氏族と先住民である蝦夷との闘争という図式ではなく、混血が進んでいます。つまり、何をもって蝦夷とみなすのかが曖昧になってきている状況にありました。

主人公・経清は摂関藤原家の末裔ですが、亘理で育ち、東北を愛し、最後には血のつながりを持つ朝廷ではなく、東北の安倍氏側について戦い、アテルイと同じく鋸引きの死を遂げる・・・。

確かな覚悟を持って、自身が生きる道を選び取る姿に惹かれました。

つまり、蝦夷とは「血」ではなく、東北で生き抜くという「志」に対するものだと考えるのです。

そして、それは現代の東北にも当てはまり、引いては、新しく生まれ変わるミサイルという劇団にも当てはまるのではないでしょうか。

自分たちの原点を忘れずに、かつ、東北から全世界に力強いエンターテイメントを届けていくための新たな出発点となる舞台作品を目指して、創作に挑みました。

最後に、前作「アテルイ」から「経清」への意気込みとして、こんなメモが残っていたので紹介します。

 「蝦夷を生きた」から「蝦夷を生きろ」へ

ツアーも残りわずかですが、東北のみなさんに楽しんで頂き、愛して頂けるように、最後まで全力で舞台をお届けして参ります。

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