マイリトルゴートを見ました

見てる間ずっと口開いてた。

大変に大変だった。
最初の触れ込みとサムネからホラー系かな?と思ってたけどこの作品の怖さは童話モチーフとは裏腹にもっと現実的なものだった。

そもそも始まりはPUI PUI モルカーでした。
モルカーは最高にかわいくて素敵で人類は愚かな2分半アニメに今期は心を奪われっぱなし。
そんなモルカー監督の卒業制作が緊急公開されたら見るっきゃない!
と見てみたらずっと口開いてました。
まじかこれが10分?

童話モチーフだけど家族愛、人間社会の闇って感じだった。
最初こそ人間を誘拐するヤギお母さん、誘拐される人間の子ども、消化されてグロテスクな見た目のヤギチルドレンと確かにホラーな雰囲気は多々あった。
そもそもこの作品、監督のこの疑問から生まれたらしい

https://t.co/ozYMDVS40y
「お母さんヤギが狼の胃袋から子ヤギたちを助け出す頃には既に消化活動が始まっているのでは?」
そんな疑問、抱いたことないです!!

小さいヤギ、めちゃくちゃ痛そうな状態だったね…これがモルカーと似た手法とはとても思えない。

・ナツキくんのお父さんは本当に人間?
お父さんは人間だと思う。
スマフォを持っていたし、小ヤギを投げ飛ばす時も人間の姿で写っていた。
小ヤギには全く興味も示さなかったしね。
突然狼に変身したのはナツキくん視点でも「お父さん」から「狼」になったことの象徴なのかな。あと捕食者のモチーフとしては最適ですよね…男は狼なのよ…。
そういう意味ではナツキくんは間違いなくリトルゴート、生贄、ヤギだったと思う。
母ヤギからスタンガン受けた後お尻丸出しで倒れてるお父さん、シュールな笑いがあるけど全く笑えないよね…。

・冒頭で子ヤギを食べたのは本当に狼?
子ヤギたちを本当にヤギとするなら、
そのヤギを食った=本当に狼だと思う。
人間はヤギを丸呑みしない。

・母ヤギ子ヤギは本当にヤギ?
わ か ら ん
お母さんの道具の使いこなしが人間すぎることで分からなくなるけど、
あくまでベースは「狼と七匹の子ヤギ」
人間を6人丸呑みして途中まで消化…とか考えるとさすがにヤバい気持ちになるのでここは素直にファンタジーヤギでいいのかなと思う。

・父親の虐待と母ヤギの虐待?
ナツキくんの父親の虐待は明らか、母親は生死すら不明。
そもそもナツキくんは父親から逃げてきたのではないかと思う。
そこで母ヤギに無理矢理連れて行かれたけど、母ヤギに抱きしめて頭を撫でてもらった時、抵抗をやめたように腕を下ろす描写がある。歪んだものではあるとはいえこんな風にストレートに愛してもらえたことがないのかな、とか考えちゃう。
母ヤギは子どもたちを愛しているように思う。子どもたちのために服を作ってあげるし、子どもたちが傷つかないように鏡を見ることを禁じる。
子どもたちも母親を愛してる。
ナツキくんさえ、最後に家の窓から外を眺めて部屋に視線を戻した時、少し微笑んでいる。
彼にとって少なくともあの父親といる環境よりは幸せだと思いたい。
それでも気になるのはヤギお母さん。
なんでスタンガンを持ち歩いてるのか、なんで家の中には物騒な工具が並んでいるのか、なんで最後トラバサミを持って出かけるのか謎すぎる。武器や罠は「誰かへ敵意がある」か「誰かの敵意を受けていることを自覚した上での自衛」のどっちかだと思う。

そして監督のこちらのツイート
https://twitter.com/Mitotoki/status/1278600295300263937?s=20
「トラバサミの行方を最後まで追ってみてください」

煽りよる…
と思って見返してみたら家を出る(トラバサミ持ってる)→木の影に隠れる→木を通り過ぎて再び姿が見える(トラバサミがない)←!?!?
つまり家から続く道の上にトラバサミをしかけたということになる
このトラバサミの意図が「外敵の排除」なのか「家から逃げ出した者の捕獲」なのか分からないのがはちゃめちゃに怖いなと思いました。トラバサミは元来獲物を殺すことなくその場に留め置くものだと思われるのでまぁ…その…。

・ラストの靴とヘリの音
七匹の子ヤギの狼のラストは、
お腹に石が入ってることに気づかないまま井戸の水を飲もうとして転落、石の重みでそのまま沈んでいきました。というもの。
ナツキ父の最後は推して図るべし。
多分前回子ヤギたちを食べた狼も沈んでるでしょう。
ヘリはお父さんとナツキくんの捜索隊かな、と思います。
最後の方でナツキ父のスマフォを子ヤギの一匹が持っていたので、もしかしたらあの家にまた外部のものが踏み込む日はわりと近いのかもしれない。

総括して、10分のアニメーションでここまで早口オタク感想が出てしまうほど考えさせられる作品に出会えたことに感謝の正拳突き一万回、という感じです。
教えてくれた人、緊急公開してくれたインターネット、一緒に見てくれた人、本当にありがとう!!!
この監督の作品、まだ気が早いけどモルカー以降も楽しみすぎる。

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