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#7. 何歳まで働きたい?働ける?

突然ですが皆さん、何歳まで働きたいですか?

60歳でリタイアして悠々自適な老後を送りたいと思っている方、働けるうちはいつまでも働きたいという方、そもそも働くつもり(必要)の無い方…
いろいろあると思います。

今日は、世の中の老後の就労に対する意識と、実際の雇用環境について、今年の4月に施行されたいわゆる「70歳就業法」に触れながら説明たいと思います。

みんなは何歳まで働きたい?

最新の「高齢者白書」によると、世の中の60歳以上の約6割が少なくとも70歳まで、またはそれ以降まで働きたいと思っているようです。
さらに60歳時点の有業者(仕事に就いている人)に限ると、9割近くになるんですね!意外に多いと思います。

就労意識

背景としては、老後の生活費や年金の先細りに対する不安ももちろんありますが、法律で65歳までの雇用が義務付けられていること(※)、労働力不足の今、シニアの活躍が当たり前になっているという点もあるかと思います。
(※)一部の経過措置実施企業を除く

では実際に、雇用される人の場合、会社は何歳まで雇ってくれるのか、これから見ていきましょう。

日本の高齢者雇用政策の変遷

今の法律を見る前に、日本のこれまでの雇用政策を紹介しておきます。
(興味が無い方はどうぞ読み飛ばしてください)

みなさまご存知の国民的アニメ「サザエさん」の波平さん、年齢はご存知でしょうか?実は54歳なんですよね。
アニメの舞台となった1950年代は定年が55歳でしたから、定年間際のサラリーマン(山川商事の事務課長)という設定です。
当時と今では平均寿命も10歳以上違いますから、もし波平さんを現代に置き換えるならば、64歳ぐらいと考えて良いかもしれません。(あくまでも勝手な感覚値です)

話は戻りまして、1950年代に55歳であった日本の定年年齢、すなわち高齢者雇用政策が、その後どのように変遷してきたのかを時系列でまとめます。

<高齢者雇用政策の変遷>
● 1998年 60歳定年 義務化
● 2000年 65歳雇用確保 努力義務化
● 2006年 65歳雇用確保 義務化(対象者の限定可)
● 2013年 65歳雇用確保 義務化(希望者全員)※経過措置あり
● 2021年 70歳就業確保 努力義務化 ←今ココ
● 20xx年 70歳就業確保 義務化(予定)

定年延長の背景としてあるのは、平均寿命の延びと年金受給開始年齢の引き上げです。

高齢者雇用政策と厚生年金受給開始年齢

画像を見ていただくとわかりますが、65歳雇用が完全に義務化された2013年は、男性が厚生年金を60歳から受給できなくなったタイミングでした。

そして今年の4月「70歳就業法」が努力義務として施行されたわけですが、今後義務化になることが決まっています。(義務化の時期は未定)
個人的な予想ではありますが、2013年の経過措置が完了し男性の厚生年金の受給開始年齢が65歳なる2025年のタイミングで、70歳就業確保がまず緩い義務化に、そして2030年には完全な義務化なるのでは・・と考えています。

70歳就業法とは?

2021年4月に、70歳までの就業機会確保が努力義務化されました。
努力義務なので現時点で必ず守らなくてはならないというわけではないものの、企業に何らかの対応を求めて国は「指導」を行うことができるなど、努力義務という割には少し強めな印象があります。
また、「今後義務化になる予定」とあらかじめ明確にされているのもポイントです。

これまでの65歳までの雇用確保に比べて、雇用以外の措置(創業支援等措置)が加わったのが大きな特徴です。
65歳までが「雇用確保」なのに対して、70歳までは「就業機会確保」とされているのはこのためです。

70歳就業確保法イメージ

努力義務の今は、継続雇用について基準を設けて対象者を限定することはOKとされていますが、「部門が必要としている人だけ」など会社が恣意的に排除してるような形はNGですし、雇用以外の措置(④or⑤)だけを導入する場合は(雇用以外にもかかわらず)、労働者代表との合意や計画の策定が必要など、導入の手順が複雑なのもポイントです。

努力義務だからと中途半端な雇用施策を入れてしまうと指導対象になってしまう恐れがありますし、また現時点で対象がいなくても、とにかく検討を始めるようにと指針には書かれています。

世の中の企業の「今」

70歳就業確保法の成立にともない、世の中の企業がどのように対応しているのでしょうか。

帝国データバンクが実施した2021年2月時点の調査によると、法改正への各社の対応については以下の結果となっていました。

・70歳までの継続雇用制度の導入:25.4%
・もともと70歳まで働ける制度がある:16.4%
・(現時点で)対応は考えていない:32.4%
・業務委託:6.9%
・その他:11.3%(定年廃止、定年引上げなど)
・分からない:14.9%

こう見ると、「とりあえず様子見」という企業が多いようですね。
しかし70歳就業確保法は今後義務化される予定ですので、義務化に向けて企業は人事制度・報酬制度そのものを大きく見直す必要がありそうです。

先日、公務員の定年年齢を60歳→65歳に引き上げるという法律が成立しました。2023から2年ずつ段階的に定年年齢を引き上げるとともに、60歳で「役職定年」を導入し60歳時点の給与の7割程度にするというものです。
公務員の制度は民間企業にとっての「地ならし」という側面があるため、今後は多くの民間企業も定年を65歳に引き上げていくことが予想されます。

さいごに

私の親の世代は60歳定年が当たり前でしたが、今後は70歳以降も様々な形で活躍するのが当たり前の世の中になっていきます。
一方で、現在65歳の年金受給開始年齢は、今後さらに引き上げされていくことでしょう。

改めて、みなさまは何歳まで働きたいですか?
そして、どのような形で働きたいですか?

働き方が多様化した今、「雇用」という形で働く人は減っていくのかもしれません。
私自身いまサラリーマンですが、おそらく60歳では今のような「雇用されて」の働き方はしていないだろうなと想像しています。
投資や不労所得など自助努力を続けながら、いつかは自身が「楽しい」と思える仕事を、一生続けていけたらなと思っています。

【ご注意】
・内容を簡単にまとめるため、細かな法令や文言が抜けていることがありますことご了承ください。
・記載時点の法令に準じております。






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