見出し画像

「セクハラ被害は女性だけじゃない、パワハラと指導の違い、わかりますか?」

社会保険労務士の山地です。

12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です。
明日12月9日(水)14:00〜16:00、「職場のハラスメント対策シンポジウム」がオンライン開催されます。


今年6月から大企業ではパワハラ防止措置が義務化されました。中小企業については、2022年3月までは努力義務とされています。中小企業さんにはまだ1年余りの猶予がありますが、だからといって何もしなくていいわけではありません。

ハラスメントを放置すれば、従業員のモチベーションが下がり能力が発揮できなくなれば生産性が下がり、ひいては業績にも影響が出てきます。ハラスメントのある職場に人は定着しません。人材が流出していきます。新たな採用となれば教育やコストなどの負担が増大し業務効率化の妨げになります。昨今はSNSによる書き込みなどで社会的なダメージを受ける可能性もあります。

ここで、ハラスメント予防のための基本的な対策を確認してみましょう。

1.ハラスメントを起こさないための取り組みについて、周知する
 経営者が先頭に立ち、ハラスメントのない職場環境づくりに取り組むことを全社員に対して周知します。ハラスメント防止の必要性や各個人が行為者(加害者)にも被害者にもならないために、具体的に何に取り組むのかを伝えていきましょう。

2.ハラスメントの定義や禁止、処分について就業規則に記載し、周知する
 ハラスメントが禁止されていることやハラスメントをした場合にどのような処分を受けることになるのかについては理解できても、困るのはハラスメントの「定義」がよくわからないことだと思います。

セクハラの場合は
「不快と感じるかどうか」
が判断のポイントになります。

これは個人だけの問題とは限りません。職場にいる他の人が「不快」と感じていれば、「セクハラ」になります。

私が以前いた職場でこんなことがありました。
 非正規雇用の女性が正社員の年下の若い男性に向かって「ボク」と呼びかけたというのです。私はその現場を目撃したわけではありませんでしたが、その話を聞いてイヤな気分になりました。自分より年下であることを理由に明らかにその男性を見下していると感じたからです。

セクハラというと被害者は女性だと思いがちですが、相談の約10%は男性からというデータもあります。

このような例を就業規則に書くのは難しいかもしれませんが、少なくとも
個人だけの問題ではないこと、
第三者の訴えも対象になること
は記載しておいたほうがいいでしょう。

パワハラの場合はさらに難しいですね。パワハラには6つの類型があるとされています。

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/

これらを参考にどういう行為がパワハラになるのか、具体例を挙げておくとよいでしょう。

なかでも上司の皆さんか懸念されているのは、指導するとパワハラだと訴えられるのではないかということかと思います。

パワハラは業務上必要がないのに、個人の生活に立ち入ったり人格を否定したりするようなことがたびたび見られます。指導の場合は業務上の必要性があり、健全な職場環境を維持するために行われるものです。

また、パワハラは自分の目的を達成することにあり、自分の都合で部下を思いどおりにしようとします。一方、指導は部下の成長を願ってなされるものであり、相手を尊重しています。

3.相談窓口を設置する
 人事担当者が相談員を務めることが多いと思います。セクハラの場合は同性のほうが相談しやすいということもあると思いますので、できれば男女各1名を配置するのがよいでしょう。

4.社員教育をする
 一般職、管理職、人事担当者別に行う、入社時期にあわせて新入社員、中途入社の社員に対して行うなど、もれなく全員が受講できるようにしましょう。教育は1回やったら終わりではありません。定期的に実施し、常に啓発していきましょう。

みんなが安心してイキイキと働ける職場環境を作ることが生産性や業績の向上につながります。ぜひ、積極的に取り組んでいただきたいと思います。(*^_^*)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?