長いCLL(EG-1)手順は嫌いって話

 どうもはじめまして。北海道でキューブを回している、いかのおすしと申します。今回の記事はSpeedcubing Advent Calendar 2022の5日目として書いています。
4日目はSugerKさんの「フルマラソン&ルービックキューブについて
6日目はキシモトさんの「個人的EO·CO記憶法」
です。

 本記事では、2×2×2の解法について最近試みていることを書いていこうと思います。筆者の実力感は、最近やっとsub3が安定してきたくらいです。解法はEG method(CLL, EG-1, Anti-CLL)を使用しています。

長いCLLが出ると萎えるって話

突然ですが、皆さんは次のCLLはどのように回していますか?

 自分は R U R' U' R' F R F' R U R' U R U2 R' (8手OLL+sune)という手順を使っているのですが、15手とめちゃくちゃ長いです。冒頭に最近sub3が安定してきたと書きましたが、このCLLが出たときは高確率でover3しています。

 そもそも2×2×2のGod's number(最悪パターンにおける最短手数)は11手なので、15手の手順を選んでいる方が悪いと言われればそれまでなのですが、そうでなくてもこのCLLはいい手順がないことで有名です。

 インスペクション中にこのCLLが見えると一気にやる気をなくすくらい嫌いな手順なので、何とか回さなくて済む方法がないか考え、現在試している一つの練習方法にたどり着きました。それが、
「インスペクションで、完全一面をそろえた後に上面にsune or anti-suneが見えたら、その完全一面はあきらめて別の一面を考える」です。

 前提として、トップ選手がやっているような「複数の不完全一面を考え、最も良いものを選択する」のは自分にはまだハードルが高いと感じています。現状複数の不完全一面を読むのは難しいので、せめて苦手なCLLが出るのがわかっているときだけ頑張って他の不完全一面にするというのが提案方法のコンセプトです。
 実際の運用では、CLLを完全に読み切ってから次の不完全一面を読みはじめるとインスペクションの時間が足りないことが多いので、OLLの種類がsune or anti-suneだとわかった時点で次の不完全一面に移ることにしています。

 ここで皆さんお察しの通り、この方法を使ってもタイムはほとんど変わりません。結局2つ目のCLL(EG-1)が長いものだったら意味がないですし、比較的運がいい7手suneの簡単なパターンすら捨てて別の不完全一面を読むことになるので、全体としてCLL(EG-1)の手数はほとんど変わらない体感です。
 現状さほどタイムの改善は見られませんが、インスペクション中に不完全一面を複数読むことの練習として今はこの方法をとっています。

最後に提案方法を使ったサンプルソルブを2例置いておきます。

Example1

scramble : U2 R' U R F U2 R2 F2 R'
まず、黄色のバーがそろっているので黄色から読み始めると、z y2 U' L U2 Lという不完全一面(対角交換)を思いつきます。この時の上面を考えると(過程は省きますが)suneの形になることがわかります。suneのCLLを回すことが確定したので別の不完全一面を読めないか考えます。
スクランブルから同じく黄色で、y z' U R' U L' とすると不完全一面(隣接交換)ができたので、この時の上面を読んでEG-1を回して終了です。最終的な解法は
solution (15 moves, 2.77 sec):
 y z' U R' U L' // face
U2 R' U2 F R U2 R U' R2 F //EG-1
U' //AUF
となりました。

Example2

scramble : F2 R F2 U' F' U' R' F R2
白がすでに3つ揃っており、z2 y R2 U R2'とすると完全一面がそろいます。次に上面を読んでいくと、簡単な一面だったこともあり、すぐに例の嫌いなCLLが出ることがわかります。回避するために別の一面を考えます。少し考えると、x' L' B R2' で赤の不完全一面(隣接交換)ができることがわかります。しかしバラバラ一面なのでEG-1は時間内に最後まで読めませんでした。
さすがに読めている嫌いなCLL >読めていないEG-1なので、最初に読んだ白の完全一面(+嫌いなCLL)を選択しました。最終的な解法は
solution (19 moves, 2.81 sec) : 
z2 y R2 U R2' // face
U' R U R' U' R' F R F' R U R' U R U2 R' // CLL
となりました。
ちなみに時間内に読み切れなかった赤の不完全一面から始めると
solution (15 moves) : 
x' L' B R2'  // face
U F' R' F R2 U R' U' R U R' // EG-1
U2
// AUF
となり、読めていればこちらの方が速かったぽいです。

さいごに

 ここまでお読みいただきありがとうございます。何年も前からアドカレを読んではいたのですが、今回初めて執筆させていただきました。苦手な手順を回避するために別の解法を探すというのは、COLLを回してZ-permが出ると萎えるからZBLLを覚えるようなものに近いと思います。
解法そのものよりも、苦手の回避が手順の最適化につながりうるというメンタルを受け取ってもらえると嬉しいです。

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