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ラッセルのパラドックスの回避法

割引あり

ごきげんよう、論計舎 かわいです。

今回の記事では、今週末に公開予定のYouTube動画の予告をお送りします。


論計舎YouTube「ラッセルのパラドックス」のサムネイル

次回の動画では、ラッセルのパラドックスとその回避法を紹介します。僕が知っているものに限定されますので、他の回避法をご存知の方はコメントください。

準備

ざっくりと集合とは何かは知っているものとします (数学科初年度程度) 。$${x \in y}$$で「$${x}$$は$${y}$$の元である」ことを意味し、$${x \not \in y}$$でその否定を表すことにします。

包括原理

$${ \{x \colon P(x) \} }$$で$${P(x)}$$を満たす$${x}$$全体を表すとします。これを「強い包括原理」と呼びましょう (「強い」の意味は後で解説します) 。

ラッセルのパラドックス

$${a \coloneqq \{ x \colon x \not \in x \} }$$とする。
$${ a \in a}$$と仮定すると、条件より$${a \not \in a}$$となり、矛盾します。よって、$${ a \not \in a}$$が成立するはずですが、$${a}$$は$${ x \not \in x }$$なる$${x}$$を集めたものなので、$${ a \in a }$$となり、矛盾します。

シークエント計算でやってみる

先の議論の先をシークエント計算でやってみましょう。


シークエント計算による矛盾の導出

回避法そのいち包括原理の制限

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数理論理学と計算機科学のオンライン私塾論計舎の代表。論と計の科学についての情報を発信していく予定です。