袂を分った人よ
もう会えない人たちのことを想う。
友人だった人や恋人だった人のこと。
その数だけ後悔が積み重なっている。
俺はどうしても後ろばかりを見てしまう人間で、それが良くないと分かっていながらそれでも後ろばかりを見てしまう。
後ろを向いたって広がっているのは花すら咲かない荒野で、一切何も残っていないのに。
それと同時に、前を向くということは今関わりのある人たちのことを大事にするのと同義であることも分かっているのに。
前を向く以外にこれまでを清算することは出来ないというのも分かっている。
昔友人から言われた「これまでの選択は全部正解だったと言い張らなくちゃいけない」という言葉が身にこびりついて剥がれない。
そう言い張るために過去を振り返っている暇はない。
後悔先に立たずとはよく言うが、本当にその通りで防ぎようのないことだったと思うしかない。
当時の記憶や抱いた感情も全部置いてきて、その後悔1つで歩みを進めるしかないのだと思う。
俺は強くないからもう少し時間はかかるかもしれないが、なんとか前に進んでいけるように。
そして、もう俺のことを忘れていった人たちに対してはささやかな祈りを。
あの日、袂を分った人よ。
俺ではない別の誰かと穏やかに健やかに幸せに日々を生きていて。
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