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模型と人

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毎日がイエスタディ

毎日がイエスタディ

作りかけのプラモデルが出てくると、何故自分はこんな事をしたのだろうかと思うことがままある訳ですが、それはその時の自分のベストだと思うことにして、新しく作り直した方が良いことが多いです。つまり今している事も途中で諦めると、将来それを見た時に同じ気持ちになるわけですね。完成したものはどんな出来でもそんな気持ちにはならないので、どんな結果であれ今出来る力で完成させて先延ばしにしないことの方が、将来的に良

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センスの正体

センスの正体

前回のはあまり模型的な話でもなかったので(いつもでは?)、今回はよく話題に上がるセンスに関して、私が思うところを書いてみようかなと思います。模型などもよく「センスがいい」などと評価される事がありますがこの「センスがいい」とはどういう事なんでしょうか。模型を見て、何でもかんでもセンスがいいと云うのは何でもかんでもかわいいとかシュッとしてるとかで済ませてしまう感覚に近い気もして、あまりセンスを感じませ

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模型は無駄なもの

模型は無駄なもの

小さい頃からプラモデルが好きで、お小遣いを貰うとすぐプラモデルに置換されてしまう子供でしたので、親からはその頃から「また無駄なものを買って」と白い目で見られながら育ってまいりました。ですのでおもちゃは「無駄なもの」として刷り込まれ大人になりました。大人になり色々な本を読む中でミステリィに嵌り、森博嗣を読むようになります。大学生の頃ですね確か。ミステリィも面白いのですが、エッセイがとにかく衝撃でした

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プラモデルについて思うこと

プラモデルについて思うこと

78年生まれの私ですが、初めてプラモデルに触ったのは幼稚園の頃、チョコのお菓子のガンダムのプラモデルが最古の記憶かと思います。爪切りでパーツを切り出して組み上げた覚えがあります。その後ビッグワンガムを作り、模型屋さんに売っているプラモデルを買ったのが小学生の頃でした。色は単色のため油性マジックの黒と赤で色をつけた覚えがあります。その後、ある程度色の着いているプラモデルも出てきましたが、箱絵の様な綺

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ツールにまつわるエトセトラ

ツールにまつわるエトセトラ

模型を作る上で必要不可欠なものがツールです。それはニッパーであったり接着剤であったり塗料であったり。制作の上で様々なツールが必要になります。最低限これだけは必要なものからこれを作るには必ず必要なツールまで千差万別です。模型誌でも定期的にツール特集が組まれオススメのツールや最新のツールなどがアップデートされます。なんならプラモデル以上にツールをストックしている人もいるのではないでしょうか、私のように

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ハウツーの本質

ハウツーの本質

模型誌を読んでいるとハウツー記事がよく見られます。これを作るにはこのような手順で作成しましたと云う料理で云う所のレシピみたいなものです。このキット(素材)をこの様に作成(調理)しました、と書いているようなものでしょうか。私も実際何回か書いたことがありますがこれが中々難しくて、誌面に書ける事は限られているので何を省けばいいのか悩ましいところではあります。ここからここの間は書かなくても出来るだろう見た

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作り直すのは日常

作り直すのは日常

世界的流行のコロナウイルスは私たちの生活の質を変容させてしまいました。他者との接触を避けるために多くの人が在宅ワークにスライドされて未だかつて無い在宅時間を過ごす事になりました。かくいう私も勤務時間が変わり在宅の時間が長くなりました。一時的なものとは云え、以前に比べると趣味に費やせる時間が増えた事は確かだと思います。では実際に作業量は増えたかと云うとそういう訳でもなさそうです。生活への不安だけがそ

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語る模型を語る

語る模型を語る

写真は以前静岡ホビーショーの企業ブースでユンギヨルさんが実演されていたジオラマベースの作り方を私が写真撮影したものです。撮影は自由でしたので手順を全て写真撮影しました。使用したツールやマテリアル、丁寧な作業解説でとてもためになりました。早速帰って作ってみようと思い、実際にすぐ作りました。模倣は最大の練習です。この実演では色々知見が得られました。技術的なこともさる事ながら、ひとつ大きな気づきを得られ

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模型に大事な二つのこと

模型に大事な二つのこと

写真は秋葉原のボークスに展示してありましたR工廠さんの戦艦です。1/700の戦艦模型なのですが、肉眼だと見えません。見えているのに見えないんです。幽霊の逆ですね。老眼も入りつつありますので一定の距離に近づくともう見えないんですね。これは新しいシールドだな、と思いました。とは云え誌面などで拡大されたものを見ると非常に細かく素晴らしいディテールが再現されているわけです。肉眼で見てどうなってんだこれとガ

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最新作が最高傑作

最新作が最高傑作

大概のものは塗ったそばから塗り方や手順を忘れていきますが、思い返すとあれはよく出来たなーってものが幾つかは思いつきます。その時その時のエポックメイクと云うかパラダイムシフトと云うか、何となく自分の中で一区切りが着くものがあったりします。基本的に作っているものはほとんどが試作のようなもので、あれやってみようとかこれやって見たいな、などの今回はこれを試そうと云う閃きの元にスタートして結果完成したりしな

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模型誌ライターになる為には

模型誌ライターになる為には

先に云っておきますが今回はネタバレを含むので有料です。プロモデラー、この場合はライターでしょうか、に関する私見です。ご縁があり何度か模型誌に作例として記載して頂いた事はほんとに僥倖でして、インターネットを見れば私以上に上手い人なんて多分中国の人口の半分くらいはいますし、未だになぜ私がと云う思いは確かにあります。ここでは技術的なことは置いておいて(いつもでは?)、模型誌のライターになるために必要かと

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模型のリアリティとエロスについて

模型のリアリティとエロスについて

林浩己さんはリアルなミニチュアフィギュアを作る原型師(塗装を前提とした複製品を少数作る上での雛形を作る人)で、何十年とトップを走ってらっしゃる方です。私が初めて買ったホビージャパンは94年1月号で、そこに確か3ページほど、林さんのソフビキット(ビニール製の無塗装フィギュア)の塗装方法を御本人が手順を書かれていた特集を見て強い衝撃を受けまして、当時中学3年生だった私は今後癒えることの無い深い傷を脳に

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タミヤのフィギュアから感じ取れること

タミヤのフィギュアから感じ取れること

初めて買ったタミヤのミリタリープラモデルは1/35ハノマークD型カノーネンワーゲンでした。確かプラモ屋さんで特売の半額だったので買えた覚えがあります。中学3年の頃だったかと記憶しています。勿論組み上げただけで塗装なんて出来ませんでした。当時は何故かタミヤのベーコン(友達のお兄さんが捨てるからと頂いたものだったと記憶しています)は持っていたのですが、塗料がそうそう買えず、しかもラッカーなんてシンナー

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孤独の模型

孤独の模型

私は模型を作ると云う中々にマニアックな趣味を持っております。世間のおたくの認知の変化に伴い大分世間の眼差しは温かいものになりましたが四半世紀前まではおたくは迫害するものと云う世間の風潮が確かにありました。その頃からおたくをしておりますので、未だに表立っておたくである事を喋るのは抵抗と云うよりも恐怖が先立ちます。中学の頃には周りでプラモデルを作る人など居らず、1人家に帰っては少ない小遣いで買った14

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