1月

2019年冬の移籍マーケット:ファーストチームの選手一覧と去就展望(後編)

2019年冬の移籍マーケット:ファーストチームの選手一覧と去就展望(前編)の続編です。前回の投稿への高評価(❤️スキ)ありがとうございました。今回も、読んでいただいて楽しめたら、ぜひ高評価をお願いします。

すでに1月に入り10日が過ぎましたが、補強の動きはまだまだという感じ。しかし、契約延長や放出となると「前編」後の1週間でそれなりに盛り上がっています。

では参りましょう。「前編」でゴールキーパー、センターバック、サイドバックを終えましたので、「後編」はミッドフィルダーから始めます。

CM:セントラルミッドフィルダー

ムサ・デンベレ(31)

現契約は2019年夏までで残り半年。1月8日(火)に「🔗北京国安への移籍が迫る」との報道が出た。この冬に去ることが決まれば、2012年夏に加入したデンベレは「半年の契約と1000万ポンドの移籍金を残す」ことになる。2016年冬に契約延長し、昨シーズンまでチームに不可欠な存在として君臨。昨年11月3日のウォルバーハンプトン戦に先発して負傷交代までの7分間がスパーズでの最後のプレーになりそうだ。 放出秒読み


ハリー・ウィンクス(22)

現契約は2023年までで残り4年。あまりにもセンセーショナルなシソコの陰に隠れているシーズン前半のウィンクスの「完全復活」。特に11月のインテル戦から年明けのトランメア 戦を除く全11試合に出場中(9試合先発)である。この冬の移籍は当然ありえないが、今後注目すべきは「ウィンクスの今後」だ。これは次回のnoteで取り上げたい。 残留濃厚


エリック・ダイアー(24)

現契約は2021年までで残り2年。シーズンの最も忙しい時期に「虫垂炎」で倒れ、意図せずともチームに大迷惑をかけてしまったダイアー。今シーズンのプレミアリーグ中継用のスタメン写真で強面(コワモテ)を露呈していたため、ファンの間では「実はずっと虫垂炎で、かなり痛かったから顔が引きつってたんじゃないか」との心配が沸いています。 移籍どころじゃ無い


ヴィクター・ワニアマ(27)

現契約は2021年までで残り2年。最もこの冬の去就が予測ができなくなったのがワニアマ。理由は、アシスタント・マネージャーのヘスス・ペレスのこのコメントだ。

「今のところは再発の兆候は無い。これまでも問題を抱えては、その克服のために時間を要してきたが、決して内に篭らず、逃げることなく戦ってきた。だから、おそらくあと2週間でトレーニングを始められるだろう」
🔗ヘスス・ペレス:ヴィクター・ワニアマの負傷に関するポジティブな最新情報(2019/1/5)

さらにこのペレスのコメントが発せられたのと同時期に、ワニアマの代理人が、ローマへの移籍の噂報道に対し「🔗この冬の移籍はないが、その後(次の夏に向けて)様子を見る」と発言。リンク先の記事には「本件についてモンチとの接触は無い」とも。

この時系列を追う限り、次のプロトコル(一部想像)ができそうだ。

1.  北京公安からデンベレ獲得オファーが届き、ワニアマを残す方針を決定
2. 月初に代理人とで「1月移籍はないけど、夏は放出リストに入るから移籍先を探してね」と代理人に通達
3. ヘススの「負傷は順調に完治し、復帰できそう(と移籍先を探す代理人を援護射撃)」発言
4. 代理人がイタリア紙で「ローマの敏腕ダイレクターであるモンチが評価するワニアマが夏に移籍するんでよろしく」とアピール
5. なお、スパーズ・ジャパンは「プロトコル」って言いたかっただけ

教科書通りの代理人のお仕事が見えてきた。クラブにとっても、選手(代理人)にとっても円満にことが進むように準備が進められているのだろう。 夏に移籍濃厚


ムサ・シソコ(29)

現契約は2021年までで残り2年。2016年夏の加入から苦難の2シーズンを経て、ようやく本来の輝きを放つも、契約期間は残り2年。これからどのような契約延長オファーが出されるかが、クラブの腕の見せ所だ。 残留濃厚


ルーク・エイモス(21)&オリヴァー・スキップ(18)

共に現契約は2021年までで残り2年。なお、年齢的にそれほど若くないエイモスは今シーズンいっぱい負傷離脱。 残留濃厚


AMF:アタッキング・ミッドフィルダー

ジョルジュ・ケヴィン・エンクドゥ(23)

現契約は2021年までで残り2年。マネやザハが欲しかったポチェッティーノに2016年夏の移籍マーケット最終日にレビィ会長が提示した示談の条件。獲得時の移籍金は1000万ポンド。

昨シーズン後半はローン先のバーンリーで活躍できず、戻ってきたらリーグ・アンから同ポジションのルーカスが来てた時のお気持ちは察するに余り有る。それでもジョルジュは頑張った。夏のインターナショナル・チャンピオンズカップ2018のスパーズ優勝に貢献をしたのはジョルジュだった。

PSGで自分のポジションにネイマールとムバッペが来て追い出されることになったルーカスの復活劇はなんかカッコいい。リーグ・アンでは自分とは別格だったルーカスが来て完全に居場所を無くしたが、行く先もないジョルジュはなんか忘れ去られる。 不条理沼


ルーカス・モウラ(26)

現契約は2023年までで残り4年。シーズン序盤の大爆発はやや影を潜めている。ソニーの兵役免除による長期貢献が決まった今、シーズン後半戦を見て、ルーカスを評価することになりそうだ。

ベンチ要員にするにはあまりに高価なルーカスに、元PSGのブランドと前頭部の髪の毛が残っているうちに放出する選択肢はありそうだが、まだこの冬は時期尚早か。 残留濃厚


デレ・アリ(22)

現契約は2024年までで残り5年。この夏に契約延長をし、週給は5万ポンドから9万ポンドへ(さらにこれにパフォーマンス給が乗ります)。 残留濃厚


ソン・フンミン(26)

現契約は2023年までで残り4年。この夏に契約延長をし、週給は8万5千ポンドから14万ポンドへ。移籍マーケット終盤はアジア・カップの真っ只中だしね。 残留濃厚


エリク・ラメラ(26)

現契約は2022年までで残り3年。この夏に契約延長をし、週給は7万ポンドから10万ポンドへ。 残留濃厚


クリスチャン・エリクセン(26)

現契約は2020年までで残り1年半。いくつかの情報を整理すると、次の通りだ。

・スパーズから提示された契約延長のオファーは他の主力同様に週給15万ポンド程度
・エリクセンはスパーズに留まることに不満はないが、すぐに延長を焦ってはいない
・バルセロナまたはレアル・マドリーのオファーがあれば移籍を考えたいためオファー待ちで、特に今シーズン成績低迷しているレアルが夏に戦力の大幅刷新に動きそうとの報道あり
・ポチェッティーノは珍しく「エリクセンの契約延長を望む」と公言するも、本人の意思を尊重するとも述べ、上段の報道と矛盾はしない

この後の動きに注視しなければならないが、ひとまずこの冬に移籍があるか?に答えるならば簡単だ。 残留濃厚


FW:フォワード

ハリー・ケイン(25)

現契約は2024年までで残り5年。この夏に契約延長をし、週給は10万ポンドから20万ポンドへ。 残留濃厚


フェルナンド・ジョレンテ(33)

現契約は2019年までで残り半年。バルセロナやアスレチック・ビルバオなどスペインへの帰還の噂があがっている。特にスペインのラ・リーガで現在、残留争いを強いられている古巣ビルバオは、ジョレンテ自身がキャリアの最後を過ごしたいと望む意中のクラブ。ファン目線では、その「高さ」が攻撃のオプションになると思うのだが、実態として「ケインの控え」ですらなくなっており、ビルバオらが熱心に獲得に動けば移籍が実現する可能性はありそうだ。 移籍の可能性あり


フィンセント・ヤンセン(24)

ヤンセンの現契約は2020年までで残り1年半。昨シーズン、ローン先のフェネルバフチェで負傷してシーズンの後半を棒に振る。今シーズンのプレシーズンに合流した後に足の手術を受けて長期離脱が確定して、プレミアリーグとチャンピオンズリーグの登録メンバーを外れている。

ようやく先日、U-23スパーズの試合で復帰し、前半のみプレー。大きな負傷離脱の後だけにこの冬の他クラブへの完全移籍は現実的ではなく、クラブとしては半年ローンで活躍の場を与えてコンディションと評価を高めたところで夏の移籍を睨みたいところだろう。 ローンが濃厚


全編(前編と後編)の総括

前編でフォルム、アルデルヴァイレルト、オーリエに移籍の可能性ありと伝え、今回の後編ではエンクドゥ、ジョレンテに移籍の可能性があり、ヤンセンはローン移籍濃厚、デンベレが移籍秒読みと伝えました。

総括としては、シーズン後半戦のプレミアリーグとチャンピオンズリーグの登録枠を考えた場合に、補強はするのか?という点です。

プレミアリーグ前半戦

ホームグロウン枠
8枠中7枠を使用(ただし、1枠はオギルヴィー)
外国人枠
17枠をフルで使用(ヤンセンは登録外)
U-21枠
国籍不問のためフォイスはこの枠で登録

チャンピオンズリーグ前半戦

*カッコ内はプレミアリーグとの違い

ホームグロウン枠
8枠中5枠を使用(オギルヴィーが外れ、デイビスはこの枠を使えず)
外国人枠
17枠をフルで使用(デイビスが追加、ヤンセンに加えエンクドゥも外れる)
U-21枠
(地元育成選手に限定するためフォイスはこの枠で登録できず)

ポイント
・デンベレが移籍になればフォイスがチャンピオンズリーグの外国人枠に
・ホームグロウン枠の対象となる選手が加入した場合はPLとCLの両方に登録可能

以上から、プレミアリーグにもチャンピオンズリーグにも登録する前提の新たな外国人枠の選手を補強するには、エンクドゥやヤンセンだけでなく、フォルム、オーリエ、ジョレンテ他のいずれかの放出が必要になる。


【補記】
補強の可否に関しては、今シーズン、多くの選手が契約延長し、給与を増額していることでプレミアリーグのFFPにおける給与総額規制(STCC:Short Term Cost Control)もかなり影響しますが、STCCについてはまた別のノートでまとめたいと思います。