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ホロ鯖ハードコアマイクラと5人の生涯

「とにかくすごかった」の一言に尽きる。「面白かった」「楽しかった」「感動した」「ワクワクした」「てえてえ」という形容では足りず、その全てが有り、やはり最終的にホロライブというグループの「凄み」に圧倒されたというのが感想として残る。

「ホロ鯖ハードコアマイクラ」企画は、兎田ぺこら主催で「マインクラフト」というゲーム内にて1週間限定で行われた企画である。
「マインクラフト」は自由度の高いいわゆる「箱庭ゲーム」であるが、ここに「一度死んだら終了」という制約を加えて、日毎にミッションやイベントを企画して皆んなで楽しみながら、最終目標の「エンダードラゴン」というボスを倒して生き残ろうという趣旨で開催された。
実に多くのホロライブメンバーがこの企画に参戦しており、本当にそれぞれに色んなドラマ・活躍が見られ、ハッキリ言えば「全部を全く追えていない」のだが、今回はその中でも私個人が印象に残った5人のホロライブメンバーの人生を振り返りたい。

①兎田ぺこら
大活躍した人がたくさんいる今回の企画だが、誰が何と言おうとMVPは「兎田ぺこら」しかありえない。そもそも、この企画が大成功したのは、ホロメンそれぞれの魅力が最大限に出て、そしてそれが視聴者に伝わるように、ぺこらによって「導かれた」と言っても良いかもしれない。
前回のあくぺこ並走記事でも触れたが、「兎田ぺこら」最大の武器は配信で「展開を生む力」であり、その経験値とノウハウが全て注ぎ込まれたような企画だったと思う。
一つの功績は、参加メンバーに活動記録を記入してもらう「日誌制度」と毎日「前日の振り返り配信」を設けることによる途中参入のし易さを実現したことにある。「途中参入のし易さ」は、ゲームに参加するホロメンとリスナー両面に対しての配慮であり、結果的にあまりに多くのドラマが生まれ過ぎて配信が全部追えないという嬉しい悲鳴が上がる今企画には、非常にマッチした試みだった。
そして、さらに凄いのは「前日の振り返り配信」で前日の反省をふまえて日々企画のアップデートを行なっている事である。ぺこらの強みは「企画力」ではなく、「展開力」だと思うのはこういう部分で、「兎田ぺこら」は配信の中での状況や雰囲気を見ながら、次の展開に繋がるようにハンドルを切りながら突破する能力が本当に高い。まさに、「生配信をする為に生まれてきたのでは!?」と感じる才能であり、これは日々の企画アップデートを瞬時に行うこと以外にも、「最終局面で神視点に徹し先導役をあくたんに任せた」ことや「急遽自分自身がラスボスとして暴れ回る」だとか随所に見られ過ぎて、挙げる方が大変なくらいだ。
そして、その全ては「配信が面白くなること」「視聴者が配信を追い続けられること」の2点に絞って発揮され、「兎田ぺこら」という配信の天才の力が一つの企画に注がれた恐ろしいぐらいに豪勢な企画だったと言える。
時に企画者として、時にプレイヤーとして参加したぺこらだったが、特に彼女の人生に大きな影響を与えた人物が「湊あくあ」であり、最終章ではあくたんの日誌に涙を流しかける場面もあった。これも前回の記事で触れたが、「兎田ぺこら」と「湊あくあ」は配信への姿勢が非常に似通っており、あくあの今企画への意欲が高かったことも手伝って、終始「湊あくあ」をプレイヤーの中で大きく頼りにしている場面が多く見られ、直近の並走企画からの流れで二人の中に流れる「戦友」としての絆は、見ていて非常にアツいものがあった。

②湊あくあ
湊あくあのハードコアでの生涯は、本当に多くの人と出会い、かつての彼女の隠キャという属性からは考えられないほど華々しい人生だった。言うなれば、このハードコアマイクラ企画は、「湊あくあ」の視点で追うと最もメインのストーリーを追体験できる謂わば、この物語の「主人公」としての側面を持っていたように感じる。
彼女は最序盤このゲームの必要悪として、ヒール役を買って出ていた。無邪気に人を突き落としたり、毒のあるフグを渡したり、普通は「炎上」を恐れておいそれとはやらない、けれど配信としては面白くなる確度が高い事を躊躇なく、そして天性の「嫌味のなさ」で実行する事ができる。
そこから、ヒール→ぺこらの犬→ボス討伐のリーダーと、まるで一編の物語を見ているような成り上がりの人生を歩んでいる。
また、彼女のハードコアマイクラ人生がこれほど満ち足りたものになったのは、好敵手であり「湊あくあ」という「面白くなるためには何でもします」という姿勢の一番の理解者でもある「兎田ぺこら」に支えられていた。彼女のこの企画での収穫は「兎田ぺこら」という人物との想像以上の相性の良さを確認できたこと、今まで絡みの少なかった多くのホロメンと絡むことで、「配信の楽しさ」を彼女自身が再確認したことだったのではないだろうか。

③桃鈴ねね
ゲームにはルールが存在するから面白く、そして「基本的に」守るべきルールの中で、それをいかに人が不快にならない範囲で「面白く逸脱するか」に、その人物の魅力が反映される。
桃鈴ねねはゲームチェンジャーとしての役割を一手に引き受けた今企画の「異端者」として、間違いなくゲームを最も「面白く逸脱」し、その人生、ひいては他のホロメンの生涯に大きな刺激をもたらした人物だ。
「死亡=ゲームの離脱」というルールの中で、最初の死亡者となった彼女は、「兎田ぺこら」の温情で復活をさせてもらう。
その後「兎田ぺこら」に対して冤罪を擦り付ける為、自作自演の爆死をするという荒業によって2回目の死亡を喫し、その後もう一度死亡した後復活が叶わなかった「桃鈴ねね」のマイクラでの生涯はここで幕を閉じるかと思いきや、そこから一時的な復活からのネザー逃亡騒ぎや、悪霊?となって配信枠をとり、他のホロメンのマイクラを見守ったり、と「神の展開力」を持つ主催者の「兎田ぺこら」すら想像していなかったイレギュラーすぎる「展開」をいくつも生み出した。
これはホロ鯖マイクラ企画という徹底的に「自由」な場所でこそ輝く「桃鈴ねね」の性格と配信姿勢が生み出した展開だったのは間違いないが、この企画の前段階で「兎田ぺこら」から「ねねちは面白い」と高い評価をして貰っていたことも、彼女が「異端者」として生きていいんだという自信につながっていたと思う。

④風真いろは
「湊あくあ」の生涯が花形のメインストーリーであったのに対して、「風真いろは」のホロ鯖人生は大きな事件を起こさず、その世界の均衡・秩序を保つように「支える」ことに徹した、余りにも美しい生涯だった。
彼女は自身のマイクラのスキルを活かして、インフラの整備や、初心者のホロメンに対して役割を与え、この世界での過ごし方を教えてくれた。彼女は配信中以外にも他のメンバーへのアドバイスや物資の供給などを積極的に行い、この企画自体を「全員が楽しめる」ように常に考え、行動していたように感じる。
6日目のウィザーの大量発生時に、身を挺して敵を引きつけ、自身は死亡しながらも全体を勝利へと導く姿は、まさに彼女の「人生哲学」を表したかのようなシーンだろう。
彼女の功績は、この「ホロ鯖ハードコアマイクラ」の成功の立役者であることにとどまらず、「マインクラフト」というゲームの魅力を多くのホロメンへ伝え、箱企画で「入りづらい」と思うホロメンがいないように配慮したことにある。それは、今後行われる大型企画の発展にも繋がっていく、彼女の優しい心が生んだとても大きな功績だと感じる。

⑤カエラ・コヴァルスキア
「マインクラフト」というゲームを極め、「神」とも崇められる「カエラ・コヴァルスキア」のホロ鯖ハードコアマイクラでの生涯は、他のホロメンと明らかに意味合いが異なっていたように感じる。
彼女は普段からこの「マインクラフト」というゲームを愛し、プレイし続けており、今回の企画はその延長線上にある。彼女の心には、単純に「多くのホロメンがマインクラフトをプレイしている」という喜びだけに満ち溢れ、その夢のような時間を少しでも長く続けたい、と感じていたのだろう。それは、とてつもないゲームのプレイスキルから収集した貴重な資材を配り、「死なないでください」と声を掛ける姿からも伝わってくる。
そんなカエラに感謝したホロメンは尊敬の念を込めて「神」と呼ぶが、その度に彼女は「私は神じゃない」と否定する。一人のホロメンとして皆とマイクラを遊べることがとにかく嬉しい彼女にとっては、「神」という離れた存在ではなく、皆と変わらず同じ世界を共有し続けたいという思いがある。
しかし、そんな願いを持つ彼女の人生のラストは、鯖閉鎖に際して一人ずつ死んでいくホロメンたちを見送りながら、やはり最強の存在として、たった一人でホロ鯖に残される、という儚くも美しい最後となった。
彼女が最後に日誌に残した『今回ばかりは、私は一人ではないとわかった。』という一文は、彼女にしか書けない魂のこもった言葉だった。

今回は5月に開催されたハードコアマイクラの記事が、中途半端になっていたため、改めてまとめてみた。
上記にあげた5人の生涯以外にも、たくさんのホロメンの人生があり、そのどれもが魅力的で面白い。そんな神企画となっているので、まだ未視聴の方がいれば是非見て欲しい。

今回この記事をまとめ直したのは、7月23日(火)より、再び「兎田ぺこら」による大型企画「ホロARK」がスタートすると発表があったからだ。
おまけに、大成功をおさめたホロ鯖ハードコアマイクラ企画のノウハウを活かした企画内容で、40人弱のホロメンが参加を表明しているというのだから、興奮せざるを終えない。
テンションが上がってしまったので、前回の企画を振り返りたくなり再び筆を執った次第だ。
次の企画では、それぞれの人生はどのように始まり、そして終わるのか。
今から楽しみで仕方がない。


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