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How to 野宿 in Birmingham

さて、バーミンガムで野宿をすることになった僕。
どうやらバーミンガムニューストリートはそこそこデカい駅ぽく、デカい待ち合わせ場所があったのでひとまずそこに座る。まあもちろんフカフカのイスなんて訳はなく、固くて冷たい木の椅子。圧倒的にホームレスを排除してやるという強い意志を感じる。しかも近くで変なおっさんがずっと大声で歌っている。長い長い夜の始まりを予感させるおっさんの歌声はまるで試合開始を告げるホイッスルのようだった。しかも時々ヴィラサポがマッギンのチャントを歌っているのが聞こえてくる。マッギンのチャント自体は好きだが今日だけは別。目の前でマッギンにゴール決められてんだワ。
とりあえず閉め出されるまではここに居座ることを決意。なんせ風邪を防げるしwifiもある。野宿には最適な場所だ。wifiがあるので適当にインスタを触る。そんだら「バーミンガムはイギリスで犯罪率が1番高い」という大鬱情報が飛び込んできた。普通に震えが止まらない。でもそれと同時にワクワクしてしまうのが僕の良くない性。
とにかくモノだけは盗まれないように気を付けていた。そして1時前くらいに電車がなくなり「そのうちここ閉めるで~」とアナウンスが来る。絶望兄弟ゼッツ&ボーである。どうやら土曜は24時間営業じゃないくさい。そうです日曜日は休息日なので閉まります。休息日はあってもこの世に神はいない。そう感じさせられた。
てなことで駅から泣く泣く脱出。ひとまず駅の前で立ち尽くす。なぜなら近くに警察がいるから。何か起きても近くにこいつらがおればなんとかなるのだ。てなことで立ち尽くしてたが一瞬で座りたくなった。ということで駅の前にあった路面バスのバス停に座ることに。もちろん木です。まあ正直バス停の方に行くっていう選択肢もあったけど、バス停がちょっと人通りの少ない所だったので一応警戒した。ということでそのクソ固いベンチで3時間くらい過ごすことに。
ちなみに繁華街なので人通りは多い。特に酔っ払い。まあ人通りの少ないところよりは安全だと考えた。スリとかに気を付ければ基本的にあそこのバス停よりは安全やろ。1時あたりはまだ飲み終わってマック行くような奴らがいて静かでは無いが危なさも感じなかった。だがしかしクソみたいに寒い。一応服は着込んできた。が、風がめちゃくちゃ強い。ワンチャン低体温症で死ぬんじゃねと思いながら座り続ける。
本でも読んでやろうかと思ったが流石にそんな状況で心穏やかに読書もできるわけは無いので諦め。
とにかくただ1点を見つめ続ける。時々反復横跳びをしてみたりした。こっちが危ない奴になれば危ない奴も近寄ってこないと考えたからだ。どうせなら動画でも撮っときゃ良かった。
さあ時計を眺めていたら酔っ払いのおっさんが近寄ってきた。「お前どうしたんや大丈夫か?」って聞きながら隣に座ってきた。
終わった。こりゃダメな奴だ。最大級の警戒をしながら会話してみる。
やばい。本当に何を言っているか分からない。恐らく訛り、酔っ払い、若干歯がない、の3コンボで過去一難しいリスニングだった。初対面あるある「どこから来たんや」と聞かれた。これだけは聞き取れた。「日本や」言うたら「カラテ!」とニコニコで言われた。てかそれしか聞き取れんかった。俺は「チェコや、ここに14年住んでて子どもおんねん」みたいなことを言われた。全部にツッコみたかった。が、ここはお得意の愛想笑いで誤魔化す。ほんだらこいつは自称ストリートファイターらしい。ほんまに意味が分からない。あとほんまに何も聞き取れない。んでその後は「カンフー!ジャッキーチェン!」だけ聞き取れた。あとはほんまに何も分からんかった。
んで最後は「ここらへんはガチで危ないから気を付けろよ!ほなまた!」と言われた。そうしてチェコ人のおっさんは千鳥足で夜のバーミンガムへと消えていった。うん、バケモノみたいな酔っ払いなだけで悪い人ではなかった。結構時間を潰せたしヨシとしよう。
とはいっても後1時間以上ある。
その後はひたすら時計を見つめる。眠くならないようにサンドウィッチは食べない。なぜなら空腹だと眠れないというダイエットテクニックがあるから。
なんせ昼からチュロス以外食ってないから眠れるわけが無い。
そろそろ人も少なくなってきた。向こうでは喧嘩が始まって警察が来てる。
それでも時計を眺め続ける。
そしてようやく3時半。バス停に移動。バスを待つ。
3時50分。バスが来た。がしかし、ロンドン行きとは書いていない。「ったくこれがロンドンクオリティか」と思いながら永遠にバスを待つ。しかし一生来ない。なのでチケットを見てみたら、どうやらあれが俺が乗るバスだったくさい。長距離バスのくせに乗り換えせなあかんかったらしい。
バーミンガム→ブリストル空港で乗り換え→ヴィクトリアコーチ
と、いうことでまだ僕の野宿は続く。奇跡的に近くのインド料理屋のWi-Fiが繋がったのでバスを調べる。4時50分のバスに空きがあったがまた移動が必要なため断念。2度と金を無駄にするわけにはいかない。ということで同じ会社の5時50分発のバスを予約。もう一歩も動かない。途中、バスを待ってる女の人に「旦那にバス待ってるって電話したいんやけどなんか私のん使えやんから一瞬貸してや」と言われた。simカード死んでるけどwifiあればなんとかなるやろと思って携帯貸したけど全然無理で普通に気まずかった。
そして凍えながらバスを待つこと1時間半。遂に。遂に。「London」と書かれたバスが来た。ようやく俺の野宿は終わった。俺は生き抜いた。イギリスで最も犯罪率の高い都市、バーミンガムの路上で一夜を過ごしたのだ。
バスに乗った後は無事に気絶。ヒースローで一旦目覚め、その後ヴィクトリアコーチまでまた気絶。その後死んだ顔をしながら家に帰りそのままアーセナル女子の試合を見に行きましたとさ。ちゃんちゃん。
良い子の皆は携帯が使えなくなったらすぐに対処しような!じゃないと俺みたいに野宿するハメになるからな!

ばいころまる~

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