2023年2月13日 手記No.2

 6時半起きなのに、昨日は2時に寝た。なんとか『若い兵士のとき』、残り30頁まできて寝ることにした。残りは今日の仕事の合間を縫って読み切った。この本を翻訳した上田 真而子さんに感想を送りたいなと思ったけど、6年前に亡くなられていた。死なれてしまったら、感想は伝えられない。ということはない。どうにかできないかと考えていた。翻訳は降霊に近い。リヒターを降ろして翻訳しなければならない瞬間がこの方にはあったんだと思うと、つい本に突っ伏して匂いを嗅いでしまった。その果てしない仕事をなんとか労いたい。やさしい霊になってあらわれてくれないか。お茶でもしながら、感想を伝えたい。とにかく、お疲れさまでした。
 そしてこれまた仕事の合間を縫って、友達に「送ってきな」と言われていたので、京都芸術大学卒業制作展でみた作品の感想をLINEで送りつけた。全部送信し終えた頃には、スマートフォンは熱くなっていて、怖くなって少し遠くへ置いて仕事に戻った。

 仕事帰りに、銭湯友達に遭遇。手を振ってすぐ別れる。住宅展示場で揺れているバルーン人形みたく、仕事場を出てからしゅぷぷぷぷと膨らんで人間に戻っていく感覚があると思った。仕事場をでて、『ぼくたちもそこにいた』『若い兵士のとき』の二冊を図書館に返却する行き帰り、車の中で宮城リョータと話した。映画『THE FIRST SLAM DUNK』の宮城リョータの生き様とプレイスタイルを崇めすぎたのか、結果彼はイマジナリーフレンドになった。私にはイマジナリーフレンドも妄想上の友人も結構いるが、これでまた退屈は減る。困った時は助言をくれる。良い友達になっていきたい。

 銭湯から帰宅。ご飯を食べてから、漫画『東京ヒゴロ』の漫画をnoteにアップロードし、二人くらい眼の良い友達にも送信した。読んでもらうつもりは一昨日までは微塵もなかったが、原稿完成に近づくと読んで欲しくなった。読んでもらわないと、意味も価値も生まれない。残念ながら、どちらも私が生み出すものではないから。結局、作品を通して思考をぶつけ合って、その人とも作品とも再会する瞬間が待ち遠しいのだろう。
 今日は、感想の取り憑かれた一日だった。感想を伝える緊張感がたまらない。一生感想を言葉にしていたい。翻訳にも感想は必要だから、なんとかなる気がする。円楽師匠も、好きなことに少しの社会性を持たせなさいと言っていたなあ。
 大学時代の恋に関するエッセイは、今日は原稿用紙4枚分。まずまずだ。もうすぐ5万字になるけど、予想では8万字にはなるだろう。はやく、明日も続きを書きたい。



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