休校中の卒業式にて

休校期間中に、卒業式が行われた。全国と同じように、縮小や感染予防ということで、式次第も最低限、そして歌なども禁止という条件で行われた。

練習なしの一発本番。これまで3年間指導してきた生徒は、本当に立派な姿で証書をもらい、卒業式は滞りなく終了した。教職員はもちろん、保護者の方々からも驚きと安堵の声が聞こえた。

教室に戻ると、約2週間ぶりのクラスの雰囲気があった。どれだけ会えなくても、最後の日でも、いつものクラスがあった。通知表や、これまで溜まっていた返却物を配布し、最後の学活へ。【幸せでいるように】と宿題を出した。

生徒からは、サプライズで感謝状とメッセージの詰まったアルバムをもらった。ウィットに富んだ感謝状、そしてその演出に思わず泣いてしまった。

職員室に戻り、メッセージを一つ一つ読んだ。たくさんの言葉や、思い出が書かれ、自然に笑顔になった。しかし、ある男子生徒のメッセージを読み、涙があふれた。その生徒は、応援団や部長として全体を引っ張り、誰よりも強く明るく、信頼のおける生徒であった。

「もっとみんなと一緒にいたかった

 本当はすごくさびしいです。

 こんな形で卒業式を迎えたくなかった

 でも仕方のないことなので何も言えません」

この素直でそして強いメッセージを大人はどう受け止めるべきだろう。15歳の子供が、我慢をし、納得しようともがいている。それなのに大人は、どうだろう。自分の立場・利益に基づきさまざまな意見を述べ、勝手な行動をしてはいまいか。何かを批判しようという気はない。ただ、大人に振り回され、制限のあるなかで、与えられた時間を必死に、前向きに生きている子たちがいることを知ってほしい。

そして、卒業式が行えたことに本当に感謝をしたい。

 


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