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いとまごい(noteリスペクト)

拝啓 あんこぼーろ様の「春風怪談」の企画に参加させて頂きます。

それでは、いってみます。はるかぜるりいのはるかぜ怪談にようこそ。春の宵の御伽話として提供いたします。


知人の話です。その知人の叔母さんは、50代の若さで心疾患により、ある日の朝方にお亡くなりになりました。

亡くなる日の前日、散髪にゆき、髪を綺麗に整えたそうです。旅立ちにむけて、身支度を整えたのかもしれません。

これだけなら偶然ということになるでしょう。

その叔母さんは、亡くなる朝方の前夜、ご主人に「白湯を飲みたい」と言ったそうです。ご主人はいつもはそんなことを言わない妻の言動を不審に思いつつ「明日白湯を入れてあげる」と言い、白湯を入れなかったそうです。最後に、ご主人とのひとときを過ごしたかったのでしょうか。

そして、その叔母さんがとても可愛がっていた、近所のお子さんの夢枕に立ち、「さようなら」と挨拶をしたそうです。その家に叔母さん逝去の一報がきたとき、父親に起こされ「今おばさんが夢にでてお別れの挨拶をされたんだ」と、そのお子さんは言ったそうです。

叔母さんは、最期の時を知っていたのかもしれません。


さて、いとまごい、いかがでしたでしょうか。死期を知っていたかのような叔母さんは、最期に心残りなく旅立てるように、愛する人たちへの暇乞いをされたのかもしれません。お子さんは、夢のなかの叔母さんは、いつもと同じように優しかったと言っておりました。異界とは日常と地続きの場所にあるのかもしれません。

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