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予測不能な落語家、柳亭明楽師匠①

あっという間に2023年も5月になりました。
あたくしの見ているジャンルで言いますと、5月は落語芸術協会さんの新真打披露興行がスタートしているという時期でもございます。披露興行とは、落語家の二つ目という身分から真打に昇進した皆さんをお披露目するというおめでたい興行で、今回は5・6月で都内の寄席(新宿・浅草・池袋)を回り、繰り広げられるというハッピー月間なのであります。

今回は自分が以前からちょこちょこ見に行かせて頂いている柳亭明楽さんが、明楽師匠におなりあそばしたということで、狂喜乱舞し、5月上席(5月1日~10日)のうち、6日見に行くという○○の所業ともいえなくもない、ガイキチなお勤めを果たしてまいりました。

明楽さん(真打=師匠なのだけど、まだなったばかりで切り替えられていないので混在失礼します)は、いつ頃から見ていたのかなとtwilogなどを遡ったところ、2014年8月の柳亭小痴楽・明楽兄弟会がスタートだったようです。この会どうして行っていたかというと、元々お笑いファンだった私が2014年3月から、小痴楽さんと成金が気になりすぎて、度々通うようになり、小痴楽さんのまくらで語られる、ぶっとんだキャラクターの弟弟子「明楽さん」という方が一体どんな人なんだろうと気になっていて、丁度兄弟会なるものが開かれるということが分かり、伺った次第です。

(成金に初めて行った時の思い出は以下のエントリーにて)
http://springfever999.blog.fc2.com/blog-date-201406.html

この時は弟子が2人だけで、成金と同じく西新宿の演芸CD専門店ミュージックテイトさんにて開かれていました。

自分の当時のツイート

出囃子が鳴り、小走りでやってくる自分の想像と違う「ヘンなやつ(いい意味で)」。それが明楽さんでした。小痴楽さんに感激した時も思った「こんな落語家さんがいるのか!」がここにもいらっしゃいました。

登場から驚いて、噺を聞いてみたら、また驚く。すらすらと饒舌にセリフが…出てこない、でも無邪気で楽しそうにしていたり、そうかと思えば謎に間があいて「この老人、こときれたのでは?」と感じさせるような予測不能の魅力に満ち溢れていた。落語がどうこうというより、何をしでかすか分からない何ともいえない不思議な魅力で、兄弟会はとても楽しみな落語会の1つになりました。

その後は、兄弟会だけではなく、深夜寄席や同期・三遊亭遊里さん(現在は廃業😢)との同期の二人会「めいゆう」や、ほぼ同期ユニット「ユメショク寄席」など、様々な会で楽しませて頂きました。

しばらく好きだったのは世田谷の廃校をイベントスペースとして活用する施設「世田谷ものづくり学校」での落語会、明楽落語でした。

(落語系情報サイト噺 HANASHI様の情報)
http://hanashi.jp/?p=12310

会場は廃校をリノベして、貸し出ししている施設で、今はもう閉館されているのだけど、会場だった部屋は教室と思いきや撮影スタジオのように、とにかく真っ白で、真っ白すぎて面白くて、自分は「真っ白空間」と呼んでいたんだけど、そんな真っ白空間で珍妙な落語と、手作りの小冊子。冊子にはゲスト紹介文や謎のショートショートが載っていて、おかしな情報が洪水のように押し寄せてきて、楽しくて仕方なかった。

(明楽落語第3回の動画)
https://www.youtube.com/watch?v=KMZmZehstyk

第5回に出た時の神田松之丞さん(現在の神田伯山先生)や第6回に出た三遊亭萬橘さんがそれぞれ「これこれこういう経緯でなんか呼ばれちゃってさー、仕方なく来たのよ…」みたいなエピソードから始まっていたような気がする。(正確ではないけども)


第5回目の演目

といっても明楽さんはTwitterをやっていなくて(昔はアカウントがあった気がするが)、更に落語会も沢山は出演されていないので、とにかく情報を見つけにくかった。

自分は落語界のはぐれメタルを探す気分で、情報を見つける度に「情報が逃げちゃう前に捕まえないと、またいつ出るかわからん!」とメタル狩りの気分で、途中からそれも含めて楽しくなってましたが。

落語は「転失気」で坊主の珍念さんが嘘を教えるはずなのに、ホントのことを教えてしまって「このあとどうする?」みたいなハプニングがあったり(落語の「つる」みたい)、「初天神」でモーター音が聞こえたり、そうかと思えばロボのような「どういう感情?」みたいな無表情でボケて来たり、兄弟子だけではなく、弟弟子からもポンコツエピソードが大量に押し寄せたり、とにかくずっとよく分からない、珍妙で笑ってしまう人、明楽さん。

積極的にボケる割には、噺は増えない、落語会にもあまり沢山は出ていかない、やる気があるんだかないんだか分からない状態で「いつか明楽さんも真打になる日が来るんだろうか?」と遠い遠い未来のように思っていた日が、なんとなんとこの5月に訪れてしまったのです。

つづく。

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