日本に食料危機は起きるのか?
以下のグラフが何を示しているかご存じでしょうか?
これは世界での飢餓人口を示しています(*1)。2020年に至るまでに飢餓人口は急増していますが、主な原因は新型コロナウイルスの影響です。
幸い日本においてはコロナ禍でも食糧難という事態には陥っておりませんが、世界では人口の約10分の1が飢餓に苦しんでいます。コロナ終息後、ある程度落ち着くことも考えられますが、気候変動の影響や、地政学リスクなどを考慮すると楽観視はできないでしょう。(実際、2020年の飢餓人口は推計7億2000万~8億1100万人とされていましたが、2022年では7億3500万人とされています。振れ幅があるため、なんとも言えませんが、少なくとも順調に減少しているとは言えない状況であるといえるでしょう。(*2))
では、日本では今後、食料不足は来てしまうのか?世界的に地球温暖化によって耕地面積が仮に減少した場合、食料の多くを輸入に頼っている日本(カロリーベースでの自給率は38%(*3))ではかなり心配になるところです。
しかし、さほど心配する必要はない。というのが、実際のところだと考えられます。もちろん、すでに実感しているように食品の値上がりは無視できませんが食品自体を選ばなければ、国民の深刻なカロリー不足。という事態は起こらないでしょう。
輸入穀物の価格が上昇すると日本が買い負ける。という主張をする人がいますが、意外にも小麦輸入の上位3か国は、インドネシア、トルコ、エジプトであるため、経済力の差からまず日本が小麦で買い負けることないと考えられます(*4 私も山下氏の意見に同感です。)。
では、日本はとりあえず食料危機の問題はないから、食料に対して、これ以上やるべきことはないと考えてよいのでしょうか?確かに、最近の食品はクオリティがかなり上がっていますし、健康に配慮したものも多く出回っています。
一方で、その健康効果が本当にそうなのか?と問われると、かなり疑わしいものも多いのが現実です。昔の野菜ジュースなどは、一見健康そうに見えて、明らかに糖分が多すぎました。コーンフレーク類も多くが同様でしょう。これは消費者が悪い部分もあります。本当に健康的なものは、おいしくないため売れないというのも事実なのです。
では健康的な食品にするとおいしくない。おいしいものは、健康に悪いものが多い。というトレードオフの関係は、解消できるのでしょうか?
明治大学で面白い研究がなされており、「食べ物の味を操る手袋型デバイスの開発」やキリンホールディングスと共同で「減塩食を食べたときに感じる塩味が1.5倍程度に増強される箸型デバイスの開発」が行われています(*5, 6)。
人間うまくできているもので、いくら豊かになったとしても快楽には限界があり、その限度を超えると苦痛が待ち伏せしていると感じていましたが、その限界にチャレンジしている研究とも言えます。
世の中を見渡すと、人間の限界を突破するための事業開発を行っているところも存在しており、このような分野は急速に進む可能性がありますね。
*1 東洋経済ONLINE
*2 REUTERS
*3 農水省
*4 独立行政法人経済産業研究所
*5 EMIRA
*6 キリンホールディングス
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