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新規事業における「共通バイブル」の必要性

新規事業担当の方は、おそらく何らかの新規事業開発に関する本をお持ちかと思います。これ自体重要なことですが、その本をバイブルとして部署内、かつ担当役員レベルで共有できているでしょうか?

会社によっては「経営学」や「組織学」に関する本が、役員レベル~幹部クラスで共有されているのです。ここでいう共有というのは、「本自体が読みこまれ、しっかり自分自身として理解していること」を指します。

仮に本という形でなかったとしても、会社独自の行動指針や経営・新規事業に関する判定軸が、しっかりと根付いている企業もあります。しかし、実態は誰もそのようには行動しないし、そもそも、作成したはずの幹部自体の行動が書いてあること全く異なる。ということは日常茶飯事かと思います。

そこで必要なのが「共通バイブル」を浸透させることです。なぜなら、「新規事業をやったことのない人たちからのアドバイス」が新規事業の推進を大きく妨害するからです。

アドバイスが、自分自身と同レベル以下の役職者によるものであればまだ良いでしょう。しかし、上位者になってくるとアドバイスを無視するのはかなり難しくなってきます。

かなり昔の話ですが、例えば、私自身も「これから作りたいA製品について、いまのところ顧客ニーズが感じられない。このとき次のアクションとしては、何が適切でしょうか。」と尋ねたことがあります(自分自身には引き出しがあるのですが敢えて聞いてみました)。

そうすると「A製品の開発はやめたほうが良いと思う。」というアドバイスをもらいました。アドバイスと書きましたが、これは単なる感想です。感想を述べることは自由ですが、ビジネスの現場において感想にほとんど価値はありません。

このアドバイスに何が足りないのでしょうか?それは根拠です。結論に至った根拠が全く示されていないのです。

こんなことをいう人がいるのか?と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、かなりの頻度で私は目撃します。「この結論に至った根拠は?」と聞くと、「経験上」とか、もしくは、よくわからないロジックで説明されることが多いです。

私は「勘」を否定することはないですが、少なくとも「勘」が、ファクトベースで説明可能なのか、無理なのか、は調べておく必要があります。そうでなければ、経験値が多いと主張しやすい年齢の高い社員の意見が最も適切である。ということになってしまいます。つまり、若年層社員の意見は、完全に捨て去られてしまうわけです。声の大きい人の意見が通ってしまう。というやつです。

さて、ここで根拠の一つとして、「バイブル」が有効になってきます。数字データやお客様の声、などは一次情報(ファクト)として活用できますが「ものの考え方」は「バイブル」が力を発揮します。

例えば、幹部社員が「俺はそれは売れないと思う。」といったとしましょう。その場合は、「バイブルでは、幹部ではなく、顧客に聞け。と書かれています。これに従って実施していますが、私の解釈間違いがあればご指摘ください。」というような根拠に基づいた議論にもっていけるようになります。(顧客の声をまとめても、「俺はそうは思わない。」といわれる幹部の方が少なからずいらっしゃるのです。)

そんなこと、言えるわけないでしょ。と思われるかもしれません。もちろん言い方には細心の注意が必要です。基本的なスタンスは、「私は、皆でコンセンサスの得られたバイブルに従い、忠実に実行していると思っています。ただ、私の読み込み不足で誤解があれば、全力で修正したいと思いますので、バイブルのどの内容からそのようにご判断されたのか、ぜひともご指導をよろしくお願いします。」という謙虚な姿勢が必須です。

謙虚になるなんてメンドクサイ、と思うかもしれませんが日本社会で生きていく上ではビジネスパーソンのマナーですので守りましょう。守っているつもりでも、ついつい脱線することもあるのですから。

また、一番難しいところは、経営幹部にバイブルを読んでもらうところでしょう。ここは、素直に、お願いするしかありません(絶対ではありませんが、海外の有名教授などが買いた本がおすすめです。日本人は海外の理論に弱い傾向にあります。)。すでに「経営書」などが共有されている会社では、その経営書を自分も読み込んでおきましょう。きっと役立つはずです。



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