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インデックス投資のまとめ

不労所得の代表格のひとつは投資、特に株式投資です。
新NISAもあり盛り上がってきている話題のひとつですが、忘備録と自戒としてまとめておきたいと思います。



インデックス投資の優位性

サルが投げたダーツによって決められた銘柄に投資するファンドは、高名なファンドマネージャーによって運用されるファンドと比較して優劣がない

「ウォール街のランダムウォーカー」に紹介された ” サルのダーツ投げ ” のエピソードは、 " 未来予測は基本的に困難である " ことの象徴として多くの本に紹介されています。超有名企業や研究者、ファンドマネージャなどによる市場予測が外れてきた事例は枚挙にいとまがありませんが、それほど市場の未来予測は困難なことであるともいえます。

現代ポートフォリオ理論を語弊を恐れずいえば、市場は効率的である ≒ サルのダーツのように予測不能なランダムネスの世界である、とみなした理論であり、ならば運用コストを最小限にして投資効率の高い資産を運用すればよい、という結論が導きだされます。

すなわち市場を確率論の正規分布(ベルカーブ)に見立て、その中で最小リスクで最大のリターンが得られるものを選ぶのが理論的には最も効率的なはずで、その条件を満たしてるのが、いわゆるインデックスファンドとなります。
実際にアクティブファンドは、その運用コストの高さゆえに、そのほとんどがインデックスファンドには勝てていないのが現実です。


ベルカーブで説明できない事象


市場を正規分布で仮定することは概ね近似可能ですが、しかし現実的にはリーマンショックをはじめとした極端な事象、すなわち大暴騰/大暴落が、ベルカーブでは説明できないほどの頻度で多発しています。運用コストを除けば、インデックスファンドのリスクリターン比でレバレッジをかけることのできるレバナスは極めて強い商品のはずですが、ほとんどの場合は大暴落によって強制退場となります。

また巷には(すべてが必ずしも真ではないとしても)株で資産を何倍にもして高名な方々が多数います。代表的なのはウォーレン・バフェットですが、では彼らはただ単に ” 幸運なサルの村の住人 ” なだけなのでしょうか。

そもそも市場は本当に完全にランダムネスなのでしょうか。本当にランダムネスなら、インサイダー情報というものは規制されないはずです。
例えば宝くじというのは胴元以外が確率の前に完全に公平に大金を手に入れる ” 可能性 ” を売る商売ですが、宝くじには競馬のような事前情報は価値を持ちません。市場において未公開情報が価値を持つということは、市場は多くの情報によって影響を受ける証左でもあります。

市場は ” 複雑系 “

では市場はなんなのでしょうか。これを表す言葉が複雑系になります。

すなわち、各々の確率はハブ&スポークを介して相互フィードバックが発生する環境にあり、そのため複雑エネルギーによって、バブルという現象やリーマンショックのような大暴落がベルカーブではなく、べき分布に従って発生します。


ベルカーブとべき分布は概ね一致します。ですが、特に裾の部分ではべき分布に従ってファットテールになるために、極端な事象が ” それなり ” に発生することになります。

べき分布とベルカーブの違い

そのため、複雑系の中から規則性を見いだせれば、市場平均以上に、時には極端な利益を生む可能性があるということになります。この規則性を見出すことこそが、トレーダーの腕の見せ所なのでしょう。

まとめ

以上をまとめると下記のようになります。

・市場は複雑系のべき分布である。ゆえに大暴騰/大暴落といった現象が ” それなりの頻度 ” で発生する。

・複雑系であるがゆえに、規則性を見出せば、市場平均を上回り勝てる可能性がある。

・ただし市場は概ね確率論のベルカーブで近似可能である、ゆえにに現代ポートフォリオ理論は ” それなりに ” 成り立つ。

・ベルカーブに近似できるがゆえに、ひたすら効率的にサイコロを振る(=市場平均を狙ってシャープレシオの高い投資を継続する)戦略は長期的には強い。


すなわち

” 投資という行為にリソースを割ける(= コストを厭わない)のであれば、個別株などの市場平均に勝つためのリスクをとった投資を行ってもよいが、そうでないならコストをむしろ一切かけずに黙々とインデックス投資をすべき “ が結論になります(ついでに “黙々と” やるのがインデックス投資の最大の難所です。株価なんてみてはいけません)。

このように考えると、個別株含む株式投資とインデックス投資は根本的に別物と言えるでしょう。つまりインデックス投資はいくらやっても大勝はできません(結局入金力・・・)。個別株とか仮想通貨で一財産稼ぐ方々をみると羨ましいとは思います。


参考文献

・ブログ 普通の人が資産運用で99点をとる方法とその考え方
株式投資の根幹と理論が綺麗にまとまっています。何事もそうですが、結論を導く背景知識は、マイナス局面でこそ生きることを痛感します。


・敗者のゲーム
・ウォール街のランダムウォーカー

投資に関する書籍では間違いなく登場する定番の名著です。

・臆病者のための株入門

古い本ですが、橘玲さんの文章が好きな方はおすすめです。

・お金は寝かせて増やしなさい

インデックス投資に関して初心者向けにとてもやさしく説明されています。


・読まなくていい本の読書案内
・不確実性超入門

投資に関して直接的には記載されていませんが、複雑系という観点を知るうえでは大変おすすめの書籍です。「不確実性超入門」では不確実性という概念を確率論と複雑系を混ぜて説明しているので、「読まなくていい本の読書案内」から読むほうがすっきりするかもしれません。


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