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【イベントレポート後編】ニューノーマル時代に最適な大企業の事業創造方法とは?

ここ数年オープンイノベーションへの注目が高まり、アクセラレータープログラムの活用や、オープンイノベーションプラットフォームを利用する企業が増えました。
一方、新型コロナウイルス感染症による影響も相まって、新規事業開発において求められる意思決定のスピードは以前よりも加速し、従来の動き方では対応ができなくなっています。

こうした誰も正解がわからない状況において、最新の新規事業開発のノウハウや失敗事例などをオンラインで共有することで、国内企業の新たな挑戦を後押ししたいと考え、イベントを開催しております。

https://seven-innovation-spready.peatix.com/

※本レポートは後編です。前編はこちら

----あらためて、セブン・ラボという組織はセブン銀行の社内でどのような定義をされていらっしゃるんですか?

セブン・ラボが2016年に出来た当初としては、基本方針は割とざっくりしていて「本業をのばしつつ事業の多角化を実現」するというものを目指していました。
発足当時は社歴も長い5人のベテラン社員からスタートしてアクセラレーターやオープンイノベーションでなどを企画していました。約1〜2年前からそこで得たものをもうちょっと事業に近づけていく、長期成長の基盤づくりのフェーズにいます。

セブン銀行ではセブン・ラボとは別にエグゼキューション寄りの部署として「戦略事業部」が社内にありまして、セブン・ラボの役割は、アイデアの探索、案件の発掘を確率が低かろうがとにかく探し出しネットワークを作る特攻的な役割としています。
そしてアイデアとして、実現性が高くなってきたものを戦略事業部が請負うというような担当になっています。
2つの部署の境界性は非常に曖昧で、厳密には区切ってないです。

----セブン・ラボという組織には何人所属されていますか?

データサイエンスやAI領域の部分を担当しているデータラボについては5名、オープンイノベーション、スタートアップの案件探索が5名、うち2名は管理職なので実行部隊は3名です。
この3名が案件探索してプロジェクトが発足し、エグゼキューションのフェーズに入ると20名ほどいる戦略事業部に受け渡すような形です。

----セブン銀行の事業創造に約30名の体制で当たられてるというのはすごいですよね。セブン銀行全体では何名くらいでしょうか?

従業員は、約500名くらいですね。

----約500名のうち、30名規模を新規事業担当にできているというのは羨ましい組織ですよね。弊社でお取引している企業でも新規事業担当が社内で1人というケースもあるので、4年の取り組みでこれだけの組織が築かれているのはすごいですね。

これだけ出資や子会社の数が増えてきたこともありますので、組織が強化されてきたということもあると思います。
エグゼキューションに関しては他の要素もありますが、アイディアの探索や案件発掘に関しては量が大事な世界ですよね。入社当初、謎の海外のイベントに1人で参加してネットワーキングをしていたこともあったので(笑)
人がいればいるほどネットワークのカバレッジが広がりますし、つながりを増やすことができますからね。

----新規事業の志向として自前で創造する方法もある中で、「セブン・ラボ」は最初からオープンイノベーションやコラボレーションなど外部との連携の方法を掲げられてたんでしょうか?

最初の頃は第1回のアクセラレーターをセブン・ラボが発足する前から実施していました。その結果、アクセラレーターのなかで「リアルタイム振込」の事業者と連携することが決まりました。その後、セブン・ラボが立ち上がったということなので、最初から自前でやっていくということではなかったですね。

----では最初からでオープンイノベーションでアプローチをしていくということだったんですね。それは、強い経営決定として絶対やるぞ!という感じで始まったんでしょうか?


私が知る限りですが、エグゼクティブの範囲はこういった取り組みに関して非常に賛同というか、サポーティブな状況ではありますね。
社長自ら、お付き合いのあるスタートアップのトップの方とコミュニケーションしてたりしますので、コミュニケーションのスタイルの気づきであるとか、どんなことを考えながら事業を進めているのか、などの情報が入ってると思います。トップ側の意識やサポートなどは絶えずあるかなと思います。

----セブン・ラボの立ち上げメンバーの皆さまは、セブン銀行プロパーの方が多いのか、新規の採用が多いのかどちらなんですか?

立ち上げメンバーの5人のメンバーはプロパー要素が強いと思います。2001年設立の会社なのでもちろん新卒ではないですが。
グループ会社から2名、そして金融系が2名、テック系など技術面の方が1人という形なので完全にプロパーではないんですが、プロパー要素は強いと思います。


----結構大企業の新規事業部門の皆さまに相談受けることが多いのが、社内に事業創造できる人材がいないために外からトップを招聘したいという話があったりしますよね。

当然社内にいればクイックに進めやすいというのはありますよね。セブン銀行の場合は、立ち上げメンバーの5人はオープンイノベーションやるぜ!と気合が入ってましたが、次の世代もその次の世代も同じような高い熱量を持っている方がたくさん出てくるかというと難しいかもしれないですよね。
中途で採用すればいいよ、というのがベストアンサーではないと思いますが、それもひとつの手かなと思います、

一方で、あるあるだと思いますが、スタートアップのサービスでめちゃ良いな!というのに出会ったときに、どういったアプローチを社内でするとその先に進みやすいのか、ということがわかるというのがプロパーのアドバンテージだと思いますね。


----セブン・ラボの組織の方々がイベントに行かれたり、ネットワーキングをそれぞれする中で、どんな一連のプロセスで進んでいくんですか?

事業部に話を持っていき、我々としての課題感やメリットがあるかなどを明確にしていきますね。
もしくはもっと新規性がある分野だと、組織の中でその分野や業界に詳しい人と話をして、だんだん話す人を増やしてって感じですね。最初はスモールに進めていって、残念ながら流れちゃうこともありますし、事業部側に持っていったときに頓挫することもありますが、だんだん巻き込む人を増やしてってイメージですね。

自分は、社内において、そのスタートアップ側の人間にまわるんですよね。

自分が社内を巻き込んでいく側なので、そのスタートアップのサービスの良いところや可能性を強く社内に説明できないと誰も賛同してくれないし、そこで相手とのコミュニケーションだったりスタートアップ側のやりたいことだったりにアグリーできてないとプロジェクトを進めていくことなどは難しいかもしれないですね。


----会社として、もしくは個人としてKPIのようなものはありますか?

全くないですね。

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基本自分で決めるので、このイベントがあなたの担当だから、みたいなものもありません。
自分たちのミッションもちゃんと理解してますので、イベントで多くの方とコミュニケーションを取ったり、有用な情報やサービスを拾ってきたりすることに意識はしているという感じですね。

この分野、このキーワードで案件を探してくるというものは部として決めていますが、部署としての目標件数もありません。

新しい取り組みをやるときは数値目標を置くことより、社内でやれる人をスケールさせていくことのほうが重要だと思うので、社内の巻き込みをどうしていくかということがこの部署にとって優先度が高いことだと感じています。
日頃どれだけスタートアップの出会いの場に触れているかで、そのあとのアプローチのしやすさやスピードは変わってくるので、そういうものは大事にしていますね。


----最後に、堀越さんは外から転職している立場ですが、客観視するとセブン銀行の強みを教えて下さい

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オープンイノベーションを担当している人たちがスタートアップの存在に若干憧れがある気がします。うまく言えませんが、リスペクトの念がベースにあるかなと思います。
具体的には、我々と違うアプローチで金融サービスを提供しているスタートアップが多くありますので、一点打破をしようとしているスタートアップに対してのリスペクトの念を持っているところだと思いますね。

なので、大企業とスタートアップで組もうとする中で、大企業のほうが行動や競合を縛りがちなんですが、それってスタートアップ側からしたら何のメリットもないので、そういうことが発生してないかどうか、などは非常にケアしているところですね。

ベースとしてリスペクトがあるので、相手側にとって好ましくないことが起きてないか、というのは唯一ルールにしているところかもしれません。

----セブン銀行自体が金融機関に対してそういうアプローチをされてきたところがあると思うので、イノベーティブなカルチャーのDNAがあるのかもしれないですね。

※エントリーは1/22(金)で締め切らせていただきました。

Spready案件リンク

堀越さん、ありがとうございました。
セブン銀行の取り組みをすべて真似するということは叶わなくても、事業創造のセレンディピティを自ら創り出す姿勢、そのためにネットワークを自ら取りに行く姿勢そのものはどの組織でも真似できるのではないでしょうか。
セブン銀行にはネットワークを創り出す、増やすアプローチのところでSpreadyをご利用いただいております。

ぜひSpreadyにご興味をお持ちいただいた皆さまはこちらからお問い合わせください。


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