エンゲージリング

10年ほど前のお話。ヨーロッパに住んでいて、帰国した友人が、指にダイヤのエンゲージリングをはめていた。

キラキラと美しく、どうしても目に入ってくる。

「どうして普段使いしてるの？」と聞いてみた。日本人はエンゲージリングを普段使いしている人が少ない。
「オランダ人の友人がダイヤのエンゲージリングを普段使いしていたから、私も同じように聞いたんだ。そしたら逆に、なんで付けないの？と聞かれてしまった」という。

やはり高価で貴重だから、普段は恐ろしくてつけられないと答えると、じゃあいつつけるのか？と・・・

うん、確かに。

皆さんはエンゲージリングは使っていますか？
私も以前は結婚式やちょっとしたパーティーに登場するぐらいでした。
でも、もうこの歳になると友人の結婚式に招待されることもありません。
ちょっとしたパーティーも私の周りにはあまりありません。

棚の中でひっそりと出番を待つダイヤモンド。
きっと悲しい気持ちでいるのではないだろうか・・・

そこで、友人は普段からつけるようになったという。
初めは人の目線が気になってしまったが、（ダイヤモンドは存在感を隠せない美しさですよね）だんだん付けているのがあたりまえになったという。

しかし、日本に帰国して数年経つと、やはり彼女も日本風に棚にしまうようになったようだ。

例えば、バカラのクリスタルグラスがあったとする。
日本人は飾りだなにしまって普段使いしている人はあまりいないだろう。
海外の方は、その様子がおかしいと感じるようだ。私もそう思う。

高級品はほとんど持っていないが、どんなものでも買ったらすぐに開封してすぐに使う。飾りだなというものが逆にない。

でも、だったらどうしてダイヤモンドはつけない？慎ましい日本人らしく無いから？大切だから？数年に一回箱を開けて眺めるだけ？

　　　　　　　　　
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昨年の今頃に、ダイヤモンドの夢を見た。
ダイヤモンドが私につけて欲しいと言ってきた。

「うん、つけるね。明日からつけるよ。ずっとしまっててごめんね。本当は大好きなんだよ。大切すぎたんだ。だって、私がデザインしたんだもん。これからはずっと一緒にいようね。」

起きた時に涙が流れていた。
申し訳ない気持ちになった。物にも思いがあるのでは？と思った。
その日から今日まで、毎日ダイヤモンドをつけている。たまに、人の視線を指に感じるが、今ではそれも慣れてしまった。

私は普段からカジュアルな楽な服しか着ない。
ジーンズとか、Tシャツが大好きだ。
そんなカジュアルな格好にエンゲージリング。でも、悪く無いと思う。
人の視線を気にすることはない。
自分がしたいようにすればいいんだよ。

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