マイクロフォーサーズが「ボケない」は本当か?
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論より証拠です
まずはマイクロフォーサーズ機で撮った写真を御覧ください。
OLYMPUSのE-M1に古いフォーサーズの望遠ズームをアダプターを介してつけました。望遠をつけて絞り開放で撮れば、これくらいボケます。
少し絞ったらどうかというと……
f8まで絞っても、これくらいボケます。手前の花の塊は大人の握り拳ほどですが、その厚みくらいはピンボケにしたくなかったので絞りました。
結論を申しますと「ボケない」はウソです。ボケるレンズをつけ、ボケる撮り方をすればフォーサーズでもボケるのは御覧のとおりです。
私が背景を殺さない理由
女性ポートレートを撮るアマチュアの多くが、背景ボケボケで人物だけにピントが来ているような絵柄を好む傾向があります。中級に達しない程度の初心者には特に顕著で、初級で覚える「背景ボケボケ」の技法を一つ覚えにしてしまい、他の技法を学ぼうともしません。
たとえてみれば「背景ボケボケ、モデルさんだけを見てください」という写真は、決め技に使えるのはたしかなんだけど、決め技しか出さないのではドラマになりません。
怪獣があらわれた、ヒーローが変身した、いきなり決め技、そんな番組はすぐに飽きられてしまいますよ。
組み写真も同じです。ここ一番の必殺技は一枚だけで良いのです。写真を組んでいくには「はじまり」、「メイン」、「おわり」の三枚を最低単位と考えていて、その間に「繋ぎ」のカットが必要になる場合もあります。その全部が必殺技だけというのでは、なんだか子供じみています。
私は常に写真を組んでいくことを念頭に置いて撮影しているので、組んだときに使える範囲が広い、背景を殺さないカットが多くなります。なにしろ言葉によらず、情景から心理を読み取れるような組み写真を目指していますから、背景や近景から汲み取っていただきたいことも多々あります。
背景を殺さない作例
お待たせしました。例によって、女性ポートレートの組み写真作例を御覧ください。
並び順で時間の経過を表現した組み写真です。横書きの本をめくる感覚で左上から右下へ順番に御覧ください。
背景から汲み取っていただきたいのは、タイトルどおり晴れて日が射していたのが次第に曇っていった……という全般状況です。モデルの顔アップで背景ボケボケだと状況を汲み取れないのです。
このタイトルが心理を表現していると気づいた人は、お目が高い!
はじめは視線を返してくれたのに、しょげてしまい、顔を近づけても目をそらし、顔を背け、距離をとる……そんな風に機嫌を損ねた御婦人と過ごす時間の居心地の悪さを酌み取っていただけましたか?
わかる人にだけわかれば良い、そう思って日頃から写真を組んでいます。だから「全然わかんねーよ」という人がいるのは気にしません。自作を自ら解説するのは嫌いなので、このさき、あまりやりたくありません。作品そのものに語らせる……それが本筋でしょうから。しかし、組み写真の定義すら履き違えている人が多いので、説明せざるを得ないと感じています。
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