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SIGMA fp を好きな理由②

昔、DPというカメラを愛用していた。レンズ固定のAPS-Cサイスフォビオンセンサーを搭載したカメラでDP1が広角レンズ、DP2が標準レンズだったと記憶している。

当時EOS 5Dをメインで使っていた僕は、5Dの写真に満足はしていたものの撮った写真に対して必ず言ってた言葉がある「何撮っても全部同じ雰囲気」その当時の僕の技量の無さもあってそう思っていたのかも知れないが、少なくとも色に自分なりのこだわりが強めだった僕には、あの安定した画がストレスだった。

5Dの色味が悪いわけではなく、とても綺麗な写真なのは間違いないが、自分には滑らかすぎる感じがしていた、ノイジーでも良いからもっと明瞭感やシャープさを求めていた気がする。Rが多いのかBやGが少ないのかといった感じの色味もかなり違和感があって、人物の肌の描写は綺麗だが実際の色味とは少し違ったキャノン肌みたいに感じていた。

そんな時期に見つけた異彩を放つカメラがフォビオンセンサーを搭載したSDやDPシリーズだった。フォビオンセンサーで撮影されたサンプル写真をヨドバシカメラの売り場で見た時、破綻のない色の濃厚さや寒色系の美しさがまるでポジフィルムの様に綺麗で、それでいてシャープな画質に驚いた。その中でもDP1と2のパッケージングがカッコよくて惹かれた、レンズ固定式なのでそれぞれ2台と焦点距離に合わせたビューファインダーを2つ、清水の舞台から飛び降りる感じで購入したのを覚えている。

それからというもの、頻繁にDPを持ち歩いては写真を撮りに出かけたのを思い出す。単純に撮ることが楽しいと思ったデジタルカメラは初めてだった気がする。

実際使ってみると、それはそれは癖の強いカメラだった。オートフォーカスはお世辞にも良いとは言えないレベルで、マニュアルフォーカスにしたくてもピントリングがないので確かレバーか何かで操作してた気がする。背面モニターはピント確認には厳しい解像度で、途中から諦めてカメラ設定の表示だけしていた気がする。でも撮影がすこぶる楽しいのだ、操作のストレスが操る楽しさになっていた気がする。シャッターが電子音なのにあの乾いた「カシャッ」がとても心地よかった、音量は小で微かに聞こえる程度が心地よかった気がする。

そのDPをジーンズ通の間では今でも有名なデニムブランドのシーズンイメージとカタログの撮影で使用するというチャレンジングな事をやったのを覚えている。撮影現場に小さなカメラを2つ持って来た僕を見て担当の方が「機材これだけですか?」と聞いて来たのを思い出す、ごもっともだ。カメラを知らない人が見たら、カメラマンがコンデジを2つ持ってきたという状態なわけで、きっと内心「あぁ〜今回は終わった〜」とか「再撮だわこれ」と思ったに違いない。笑い事ではない程の心配を与えてしまったと思う。でも現場で僕を信じて寛容に受け入れてくれたプレスの方や、僕を抜擢してくれた方や社員の皆さんを今でも尊敬し感謝している。

ちなみに撮影時はとても楽しく進めていった、その時の写真の一部

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長く脱線したが、今僕が今 fp を愛用しているのはその時の思い出があるからかも知れない、fpは同じようにワクワクするカメラだ。フォビオンセンサーの開発は仕切り直しになったが、将来的にきっとフルサイズのフォビオンセンサーを搭載したカメラが発売されるはずだ、その時まで fp を仕事に趣味にたくさん使い続けようと思う。

続く

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