見出し画像

美しい英単語 ランキング(4): Silhouette etc.

Beautiful English words と検索すると、美しい言葉を選び出したサイトがたくさん見つかります。

それらのサイトが厳選した言葉は重複しているので、どの言葉が各サイトにおいてどれほど選ばれたかを調べると人気の言葉の序列化が可能なのでした。

一番目に選ばれたのは:

Serendipity

二番目は:

Aurora

三番目は:

Mellifluous、Felicity、Epiphany、Elixir、Ephemeral

四番目は:

Syzygy、Solitude、Panacea、Petrichor

どれもよい言葉ですので、覚えておいて損はないですね。

美しい言葉は例外なく、英語発音は難しいのですが。

五番目の言葉たち

今回の選定において混戦していた美しい言葉たちは、7つのサイトのうち、二つのサイトが美しいと挙げていた言葉。

つまり五つのサイトはそれらを選ばなかったと言えるわけですが、それだけにこの辺りは個人的な好みによるところが大きいですね。

日本の学校の英語の授業にも出てくるような、よく知られた言葉

  • Blossoming /ˈblɑsʌmɪŋ/: やはり言葉の意味するものが美しいことが絶対的。音だけでも原語的に美しい言葉は後述するように存在しますが、やはり言葉が言い表す対象が大事。日本人の誰もが好きなのは、Blossoming Cherry Trees(咲いている桜)。A cherry blossom で桜の花。でも英語としては進行形 Blossoming(咲いている)の方がより美しい。BLの部分が子音連結で難しい発音ですが、Bに母音のウを入れないように美しく英語らしく発音して下さい。

南半球NZの10月の我が家の桜(笑)
  • Bungalow /bˈʌŋgəlòʊ/:  カタカナでバンガローですが、英語発音はあくまで「ンガロゥ」で二重母音。これを知っているか知らないかで美しい音になるかの分かれ目になります。

  • Eloquence /éləkwəns/: 雄弁のこと。英語世界では自己主張できる口達者なことが大切なので雄弁さはある意味美徳なのですね。発音は最初の音にアクセント、「エロークァンス」は間違いで、「ロクァンス」。

  • Silhouette /sìluét(米語) ˌsɪlʌˈwet(英語)/: わたしの大好きな言葉。もっと上位に含まれていなかったのはどうしてなのかと訝りたくなります。シルエット、影絵、輪郭のこと。日本語のカタカナ語とは違って「スィルエット、またはスィラウェット」。アクセントの位置にご注意。

  • Tranquility /trænkwíləṭi/: これももっと上位ランキングに入っていてほしかった言葉。カタカナで無理やり書いて「トゥランクィルティ」。落ち着きや平静であることなどよりも、「静謐」という美しい漢語がわたしが最もお気に入りな日本語訳。心静かであること。SilentやQuietは動きや音が欠如している状態のことで、これらの言葉には心安らかという意味は語源的にはありません。

続いては上級者向きな美しい響きの言葉たち

  • Sequoia /sɪkwˈɔɪə(米語), səˈkwɔɪ.ə(英語)/ ヒノキ科の巨木セコイア。アメリカ西部沿岸地域に生息する世界一背の高い木。カタカナで無理やり書くと「スィクウィア、またはサクウィア」。アクセントのあるQの部分が美しく響きます。

  • Galactic /gəlˈæktɪk/ 「銀河系の、星雲の」。SFなどでは頻出語。どうして名詞のGalaxyではなく、選ばれたのは形容詞形でした。名詞はカタカナ語同様に「ギャラクシーgˈæləksi」なのに、形容詞になると「ガクティク」とアクセントの位置が変わり、もちろん母音も変わる。アクセントが二音節目にあることが英語として響きが良いですね。

  • Ethereal/ɪθí(ə)riəl(米語), ɪˈθɪri:ʌl(英語)/ 「希薄な、エーテルの」という意味から詩句として「霊妙な、天上の」との意味にもなる、神秘的な言葉。濁らないTHの響きが美しい。Ethereal Beautyは「この世のものとも思えない美しさ」。エルフの女王や天使や天女を言い表すのにぴったりな言葉です。

Ethereal Beautyと検索するとこんなAI生成画像が見つかりました
この世のものとも思えないファンタジーな美しさのこと
  • Pristine /prístiːn/「清らかな、素朴な、清純な、原始状態の」。良い言葉ですね。類語はもちろん Pure なのですが、Pureは「穢れのない清潔さ」が原義。だからPureはキリスト教が強調する潔白さを意味します。Pristineは自然があるがままという感じで、汚れとは対比されない清らかさですね。あと、実は数え間違いで、これは前回の四番目のグループに含まれる出来言葉でした。悪しからず。

マクベス第五幕第三場
マクベス夫人は夢遊病にかかり、侍医に対して反乱軍を迎え打つ準備をするマクベス
「もしおまえにできるなら、この国の小水をとって病の元を突き止めよ、そして病気を取り除いて健全な汚れない体(A sound and pristine health)にしたのならば、おまえを褒めたたえよう、どこにまでもこだまするほどに」
  • Euphoria /juːfˈɔːriə (米国英語), ju:ˈfɔ:ri:ʌ (英国英語)/ 多幸感、幸福感ー幸せに包まれている感じ。素敵な言葉で、カタカナでかくと「ユーフォリア」。とてもやさしげな響きで語尾のRiaが素晴らしいのですが、この言葉はしばしば麻薬の効き目を表現する言葉として使われることもあり、そこは少し残念です。Euは「良い」Phoria「健康である」という意味で、本来は健康であることが「大変な幸福」という意味なのだったそうです。

  • Sonorous /sənˈɔːrəs (米語), sˈɔn(ə)rs (英語)/ 「鳴り響く、朗々とした、格調高い」という言葉。Sonor-はラテン語由来で「音が鳴る」こと。Sonority, Sonataが派生語。

  • Plethora /pléθərə/ 過多という漢語に訳されるように硬い言葉で、否定的な意味で使われることが多いのですが、美しい言葉?この言葉に関してはよくわからないですね。

  • Ineffable /ìnéfəbl(米語), ˌɪˈnefʌbʌl(英語)/ 「畏れ多くて口に出せない、言語に絶する」という言葉。みだりに神様の名前を言ってはならないというときや、筆舌に尽くしがたい美に対して使われます。

Ineffable joy!

言いようのない喜び!
  • Lithe /lάɪð/ 「しなやかな、柔軟な」。ルイス・キャロルの造語 Slithy = Lithe + Slimy「しめやかでぬるぬるした」という意味の元となった言葉。LとThを発音するには舌が口の中でよく動かないといけない。とても英語的な音の言葉。

優雅で柔軟性があり、しばしば細くて長いことがある
つまりバレリーナを形容するにふさわしい言葉

自分もよく知らなくて今回調べて覚えた言葉たち

次の単語たちは英語圏に住んで、毎日ラジオを聞いても、英語の本を読んだりしていても、ネイティヴと会話しても、まず出会わない言葉ばかり。

でも響きは良い言葉ですね。

  • Limerence /ˈlɪ mɛr əns / LとRのコンビネーションがとても美しい響きを作り出す言葉ですが、「リマレンス」というカタカタ語があるようね。新しい言葉らしくWeblioには載っていない言葉。「誰かに夢中になっている状態。通常、その人との激しい恋愛関係の妄想や願望を伴う」という意味。恋の熱病に罹患している状態といったところでしょうか。

Her limerence lasted for around three months before she actually met him.

彼に実際に会うまでに、彼女の恋煩いは三か月ほど続いた
  • Aquiver / əˈkwɪv ər /。感情の高ぶりのために震えていること。日本語に美しく訳すと「ちはやふる」でしょうか。Quiverは「震える」。でも接頭辞Aが語頭につくことで意味が高められると言えるでしょうか。Aloudと同じ作り。

出会えた喜びに震えてる!
  • Languor /lˈæŋ(g)ɚ/ けだるさ、物憂い静けさ、物思い。

  • Conflate /kənfléɪt/ 混ぜ合わせる。美しいかな?融和の美でしょうか?

  • Iridescent /ìrədésnt/ 「虹色の、玉虫色の」。Iridis/Irisがラテン語の「虹」という意味。日本語で「玉虫色の決着」という場合は全然これとは違い、物事に白黒つけないでうやむやに終わらせるという意味では「Ambiguous Settlement」とかそんな感じですね。この言葉は美しい何かを形容する言葉。

ネイルアートが好きな人は知っている
Iridescent Manicure
  • Vestigial /vestídʒiəl/ 痕跡という意味、名残りはどこか詩的ですが、どこが美しいのでしょうか?考古学向きな言葉。

  • Phosphenes /ˈfɒs fin/ 人工的な光視。疑似光覚。フォスフェンとカタカナ語で使われます(発音はフォスフィンの方が英語に近い)。Ph=Fで下唇を噛んで音を押し出しましょう。電気刺激で失明者の視力を回復させることができるのだそうですが、その人工網膜のこと。希望の光でしょうね。

  • Incendiary /ɪnséndièri/ 「放火の、焼夷の、扇動的な」という意味。美しい?焼夷弾はIncendiary Bombsと呼ばれます。まあ単語の音は美しいのですが。燃え上がるという形容詞にもなりますが、人為的な炎に対して使われましす。ユアン・マクレガーの2008年の映画の題名は「Incendiary(邦訳:ブローン・アパート)」でした。テロリズムのお話。美しくはないですね。

  • Wherewithal /ˈwɛɹ.wɪ.ðɔl/ 手段、資金。これもよくわからないですが、響きは美しいですね。

意味的には疑問符を付けたくなるような言葉もありましたが、今回こうして紹介した言葉たちは単独で美しいと英語話者に認識される言葉たちでした。

文章の中や詩句の中で使われると文脈次第で単語そのものが含蓄している意味が美しさを決定づける要素になり、美しいの基準が複雑化しますね。

ですが単語だけ声に出してみて美しい響きだと言える言葉は貴重です。

ちなみに英語的に美しくないと思える言葉は子音の音を強調した短い言葉でしょうか。

下唇を噛んで唾を飛ばす破裂音のFの短い言葉はご存知のように放送禁止用語です。スラング系の言葉は大抵は短い音節の言葉の組み合わせ。

でも歯切れの良い短い言葉はラップなどの喋る音楽には最適です。

美も多様性なのですが、耳障りの良くない言葉があってこそ、美しい言葉の価値が高まるというものです。

音楽においても不協和音は大事な存在。

人生においても嫌な体験があってこそ、美しいと呼べる体験も存在できるのですから。

美しい英単語、この投稿を通じて覚えて使っていただけると幸いです。

この記事が参加している募集

ほんの小さなサポートでも、とても嬉しいです。わたしにとって遠い異国からの励ましほどに嬉しいものはないのですから。