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【補強ポイント前編】強竜打線は復活している。キャッチャーが「穴」でなくなったのはあの2選手のおかげ?

   9月10日現在、2018年シーズン15試合を残して我が中日ドラゴンズはセ・リーグ最下位に沈んでいる。クライマックスシリーズ進出の可能性が完全消滅したわけではないが、一種のミラクルが必要な状況。森繁和監督や朝倉健太投手コーチには神宮のスタンドからヤジが飛び、一部報道では監督解任を要求する球団への苦情の問い合わせが少なくないよう。最下位フィニッシュからの政権交代という、お世辞にも明るいとは言えないシナリオも考えられる。

   しかしグラウンド上に目を向けると、最下位とは思えない野球を展開することがあるのがこのチームの面白いところ。リードオフマンに定着してから調子を上げた平田良介選手が打率.338(出塁率.420)と牽引する打線は、首位打者ダヤン・ビシエド選手、優良助っ人ソイロ・アルモンテ選手も続き破壊力抜群。「竜の未来」高橋周平選手、永遠に若手扱いの福田永将選手も効果的な働きを見せている。個人的な意見にはなるが、実は穴はそれほど多くないチームに思える。補強ポイントはここ数年で1番少ないだろう。

◼︎キューバ出身コンビが産んだ二つの「軸」

   初めに、ここ数年はなかった2つの軸をキューバの助っ人たちが提供してくれた。それは「エース」と「4番」。前者はオネルキ・ガルシア投手で、後者はビシエド選手だ。

   ガルシア投手はここまで22試合に先発し、12勝7敗で防御率は2.82。既に143.2回を投げており、来日1年目からローテーションの主役になった。QS率(6回3失点以内)は68.18%を記録しており、これはセ・リーグではカープの大瀬良大地投手(78.26%)、タイガースのランディ・メッセンジャー投手(70.83%)に次ぐ3位。「ガルシアが投げる日は計算が立つ」というような存在だ。

 一方のビシエド選手は121試合に出場し、打率.353/24本塁打/92打点/出塁率.425/OPS.994と圧倒的な数字が並ぶ。「ホームランが少ない」なんて言われたりもするが、三振数55は実はセ・リーグの4番打者の中では糸井選手と並んで非常に少ない。(ジャイアンツの岡本和真選手は109、スワローズのウラジミール・バレンティン選手は106、ベイスターズの筒香嘉智選手は95、カープの鈴木誠也選手は90、タイガースの糸井嘉男選手は55だが、ビシエド選手より74打席少ない)。「打線の軸」には十分すぎる成績だろう。

 昨年までのドラゴンズは、正直この2つの軸が存在しなかった。アレックス・ゲレーロ選手はもはや「退団前提」でオフを迎え、チーム最多のイニングを消化したのは7勝8敗、防御率4.07の大野雄大投手。ガルシア投手、ビシエド選手共に残留が濃厚とされており、ここから悪い方向への大逆転がない限り、「2つの軸」を抱えてオフに入ることができる。

■高橋選手・福田選手の最大の功績は…

 昨オフもう一つの「穴」と見られていたのがキャッチャーのポジション。さて、今季この「扇の要」が埋まったのかと言われると疑問ではあるが、少なくとも打線を考えた時には今まで程のウィークポイントではなくなった。これは個人的に、高橋選手と福田選手の働きによるところが大きい。

 今季ドラゴンズのキャッチャーを務めているのは主に松井雅人選手(79試合/打率.227/2本塁打/21打点/出塁率.332)、大野奨太選手(62試合/打率.194/2本塁打/10打点/出塁率.303)、武山真吾選手(28試合/打率.085/0本塁打/5打点/出塁率.152)の3選手。どの選手の成績も決して褒められたものではないが、それでも今シーズンはこの8番の定位置がそこまで大きな弱点には思えないし、打撃面で彼らが責められることも少ないように感じる。それは直前の7番を打つ福田選手と6番の高橋選手がそれなりの成績を残しており、ある程度の存在感を示しているからだろう。守る方からしても、6~9番が「自動アウト」ならこんなに楽なことはない。しかし今季のドラゴンズは6,7番に長打がある。だからある程度8番が打てなくとも目立たないのではないだろうか。

 守りの面だけで語っていいのであれば、松井雅人選手は決して悪い選手ではない。確かにリード面で「ん?」と思わされる場面はあるが、配球なんてものは結果論だ。キャッチング(フレーミング)も上手い部類ではないだろうが、「壁」としてボールを止める能力は非常に高い。6,7番に生え抜きの2人が座り、彼らが今年のような活躍を見せる限り、オフに入るにあたって捕手はそれほど大きな穴ではないだろう(加えるとすれば、マーケットに獲得できるような捕手は大変少ない)。

 下位打線強化の結果がチーム打率.265(12球団5位、セ・リーグ3位)、チーム得点圏打率.281(12球団2位、セ・リーグ1位)というような、リーグ最下位とは思えないチーム成績だろう。

■実はエラー数、先発投手陣は12球団で…

 打線に力があることはよく分かった。では、守備面はどうなのか?実は驚いたことに、チームエラー数は12球団1少ないのだ(42)。開幕時はセカンドの守備を不安視されていた高橋選手も、ここまでUZR-0.1(UZRを1年単位で語るのは多少無理があるが)という数字は「平均」をほんのわずか下回るレベル。ちなみに個人的には守備範囲が狭いイメージがあったが、RngRは2.0とプラス指標だ。

 また、先発投手陣のQS率は50.78%。これは実はセ・リーグトップの数字である。「投手陣が弱い」イメージのあるドラゴンズだが、実は先発陣は頑張っているのだ(先発防御率4.00は決して良くないが、セ・リーグ2位の数字だ)。

 このように見ていくと、それほど弱点が多いチームではないことが分かる。ここまで触れていないチーム一の弱点については、次回の記事で書きたいと思う。

Thank you so much for reading!!

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