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【奈良クラブ通信】奈良県出身Jリーガーの邂逅

PICK UP PLAYER 田村亮介(奈良クラブ)/上田智輝(FC岐阜)

「公式戦とかで田村(亮介)に決められた覚えはないので、悔しいですね」

 FC岐阜ゴールキーパーの上田智輝は、第14節奈良vs岐阜戦の試合後、苦笑いで明かした。田村と上田は共に奈良県出身の同級生。幼少期は奈良県内のクラブで対戦相手として、京都サンガU-18時代にはチームメイトとして共にプレーした。

 上田にとっては古巣との対戦でもあった。2018年に関西学院大卒業後、当時日本フットボールリーグ(JFL)の奈良クラブに新加入。奈良県宇陀市出身で、貴重な生え抜きのゴールキーパーということでサポーターの人気を集めた。入団から2年間はリーグ戦の出場がなかったものの、コロナ禍の影響でシーズンが半分となった2020年にレギュラーに定着すると、GK離れした精度の高い左足のキックと堅実なセービングを武器に活躍。その活躍が認められ翌年、当時J2の大宮にステップアップすると、藤枝を経て今季より岐阜に所属している。

 5年ぶりのロートフィールド奈良でのプレーとなったが、「地元のチームとJリーグの試合が出来るというのは凄く嬉しいし、ここに(Jリーガーとして)戻ってこれたというのは凄く嬉しい。奈良から出て行って色んなチームを渡り歩いたので、成長したところを見て欲しいなというのはありました。」と、感慨深く試合を振り返った。

 一方の田村は今季から生まれ故郷の奈良クラブに加入。途中出場から今季初ゴールをあげた相手GKが奇しくも上田となった。上田とはプロ入り後初対戦となったが、「確かに初めて決めたかもしれないですね。試合中はあまり考えないようにしてるんですけど」と素っ気なく答えた後に続けた。「でも奈良出身のJリーガーがやりあってるのは、奈良の人からしたら確かに面白いですよね」。今シーズン度々、故郷奈良への想いを口にしている田村らしいコメントだ。

 奈良クラブサポーターはもちろん、奈良の若年層のサッカー指導者や古巣の京都U-18 関係者含めて、この二人の邂逅を楽しみにしていたファンは多いだろう。

 上田は「親も兄弟も含めて、知り合いも来てくれていた。(奈良クラブ勝利後の)ラインダンスはやってる側としては楽しいですけど、見てる側になると悔しい…。自分の状態は悪くないけど失点してしまってるので、自分が出来ることは一杯ある。そこは突き詰めてやっていきたい。」と古巣のピッチでの敗戦にも前を向いた。

 一方の田村は、「自分がああいう時間から出る時はアグレッシブなプレーで、チームの起爆剤じゃないですけど、盛り上げられる存在になりたい。そういうのが見ている方も面白いじゃないですか。今日はゴールという形ですけど、いろんな面でそういうのを見せていきたい」と、待望のゴールシーンに手ごたえを口にした。

 この試合もたくさんの奈良のサッカー少年が観戦に訪れていた。奈良出身Jリーガー同士のぶつかり合いは、そんなサッカー少年たちの心に大きな憧れを生んだに違いない。その少年たちがいつか今度はプレーヤーとしてピッチに立つ。そんな風景を心待ちにしたくなるピッチ上での邂逅だった。

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画像提供:株式会社 奈良クラブ


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