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【奈良クラブ通信】「(サイドバックは)どうでしたか?週の始めに監督から言われていたので、準備はしていた」堀内颯人 5/18試合後コメント

GAME REVIEW

 天皇杯予選をはさんで2週間ぶりに行われた2024明治安田J3リーグ第14節。直近の天皇杯奈良県予選では1-0で飛鳥FCを退け、県代表を勝ち取った奈良クラブは、ホームにFC岐阜を迎えた。Jリーグ通算200試合目の出場となる中島賢星がスタメン起用。生駒稀生が出場停止となった右サイドバックには、本来は中盤の底を務める堀内颯人が、名を連ねた。

 前半終了間際の失点で、1点ビハインドで前半を折り返した奈良は、後半17分にFWパトリック田村亮介とスピードのある選手を投入。するとその2分後に、下川陽太の右サイドからのクロスに、逆サイドから走りこんだ投入直後の田村亮介が合わせて同点弾。続く後半34分にはゴール前にドリブルで持ち上がった岡田優希が、エリア外から左足を一閃。エースの一撃で逆転を果たした。今季ここまで試合終盤の失点で勝ち点を落としてきた奈良クラブは、本職ではない右サイドで果敢な守備を見せる堀内颯人を中心に奮闘。DF都並優太を投入し5バックにするなど逃げ切り策が功を奏し、2試合ぶりの勝ち点3を手に入れた。

PICK UP PLAYER 堀内颯人

 「一家に一台」どころか「二台」も「三台」も欲しくなるような、獅子奮迅の働きだった。出場停止の生駒稀生に代わり、右サイドバックに入った堀内颯人は、ミックスゾーンで開口一番、

「(サイドバックは)どうでしたか?週の始めに監督から言われていたので、準備はしていたんですが…」

と記者に逆質問。ただその奮闘ぶりは際立っていた。得意の粘り強い守備で、相手の左サイドからの攻撃をシャットアウトすると、本職顔負けのオーバーラップから、クロスを何本も放り込むなど、HONDA FCでプレーした社会人1年目の2019年以来となる右サイドバックの役目を全うした。

「相手の左サイドの荒木(大吾)選手が良い選手なのは分かっていたので、出来るだけ相手にボールを持たせないように駆け引きしながらやっていました。攻撃はダメでしたね。もともと攻撃的なポジションなので、今しかないと思って上がったんですが…」と、本人は苦笑い交じりに振り返った。

 昨年加入した奈良クラブでは主に中盤の底の「アンカー」と呼ばれるポジションを任され、攻守両面で欠かせない存在となった。広い視野でチームの攻撃の舵取りをしたかと思うと、豊富な運動量と危機察知能力を武器に相手の攻撃の芽をいち早く摘む。またHONDA時代にJFLベストナインを獲得したセンターバックや、今回のサイドバックでもプレー可能で、そのポリバレントさとピッチ内を縦横無尽に走りまわる様子を、チームメイトの伊勢渉が評した言葉が「一家に一台(欲しいorあれば嬉しい)堀内颯人」。その言葉はそのままチーム公式のキャッチフレーズに採用されている。

 そんなチームの大黒柱には、指揮官の信頼も厚い。「色んなポジションが出来るのが彼のキャリアにとってポジティブなこと」と評した上で、今回試みた堀内+2人のセンターバックによるビルドアップに対しても一定の評価を下した。今節の起用はあくまでスクランブルではあるが、怪我の功名的に今後のチーム戦術にポジティブに働く可能性は十分にある。

「(右サイドバックは)もうないと思っていますよ。でもいつでも準備はしておきます」という力強い言葉が、これほど頼もしく感じる選手もそうはいない。チームはホーム2連勝を飾り、5月に入ってからの公式戦は3勝1敗。数字に残る派手な活躍こそないが、そんなチームを土台から支えているのは、このポリバレントで頼れる男だ。

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画像提供:株式会社 奈良クラブ

 


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