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#8 成長期のスポーツ障害を知る

 今回は、成長段階に起こるスポーツ障害とその予防法に関して情報をまとめてみようと思います。障害の発生が遅れたり、対応が不適切な場合には、完全な修復ができずに将来に影響を及ぼす可能性がある為、今のうちからしっかりと情報を整理しておくことをお勧めします。

大人と子どもの違い

 よく子どもは大人のミニチュアではないという表現を耳にしますが、実際にはどのような違いがあるのでしょうか。#5身長を伸ばすカギはタンパク質!でもお伝えしたように、骨の末端近くに骨の土台となる軟骨細胞が形成され、そこにカルシウムが沈着していくことで骨が硬くなっていきます。軟骨細胞にカルシウムが沈着していないタイミングでは“骨は弱く“ “大人の骨に比べ細い“ことや急激に身長が伸びる時期は“一時的に骨密度“が下がることから大きなわ外力が加わることで傷つきやすく障害のリスクも高まります。

なぜ成長期は障害のリスクが高まるのか

 急速に身長が伸びる時期に体が硬くなったと感じることが多いのですが、これは骨が成長して筋肉や腱が伸ばされる(引っ張られて緊張している状態)ことで起こります。筋肉や腱の緊張に伴い、付着部の骨や軟骨が引っ張られることと、成長期の骨や軟骨は柔らかいことで障害が起こりやすくなります。

成長期の主な障害

 成長段階によく起こる障害として、骨端症、離断性軟骨炎、疲労骨折などがあります。
骨端症は、骨端線(成長が止まるに従い骨端線も消える)周辺に痛みを感じる障害で、代表的な障害として、膝の付け根部分(脛の上)に痛みや膨れがみられる【オスグッド病】や踵に痛みを感じる【踵骨骨端症】etcなどが挙げられます。
離断性骨軟骨炎は、代表的例として投球動作などの外力の蓄積によって骨軟骨が剥がれる障害で【野球肘】などがあげれらます。
疲労骨折は、力学的に弱い部分に反復してストレスがかかることで発生しやすくなります。代表例としては、腰の骨を反って回旋するような競技(サッカーやテニス、バドミントンetc)に多くみられる【腰椎分離症】などがあげられます。

障害予防

 成長期の障害は、柔らかく未発達な部位に“高負荷“または“高ボリューム“の刺激が入ることで誘発されることから、フォームの修正もそうですが、指導者やコーチ、保護者の皆さんがボリュームのコントロールをしっかりとしてあげることが最優先となります。日頃から、子どもたちの痛みの有無を確認し、身長変化の記録を通じて障害リスクが高まる時期を把握しておくことをお勧めします。

まとめ

 今回は、成長期のスポーツ障害の発生要因とその予防策について情報をシェアさせて頂きました。成長期特有の情報を共有しておくことで、“障害発生リスク軽減“や“早期発見“の可能性が高まります。日頃から子どもたちが痛みを相談できる環境をつくっておくことも親御さんや監督・コーチの皆さんの重要な役割だと感じています。

プロフィール
大城英稔(おおしろ ひでとし)

学歴
東京都 玉川大学文学部教育学科健康教育コース卒業
米国 マーシャル大学大学院 運動生理学専攻 卒業

略歴
スポーツおきなわ 代表理事
沖縄国際大学 非常勤講師
沖縄県スポーツ協会 医科学スタッフ
沖縄県テニス協会 医科学委員長
元国立スポーツ科学センター常勤トレーニング指導員
元Bリーグ琉球ゴールデンキングスストレングス&コンディショニングコーチ


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