今週のリフレクション【若手育成の教科書(曽山哲人氏)】
新年の最初は、曽山哲人さん著「若手育成の教科書」を振り返ります。ザックリ3点で要約すると・・
1.最初は全員、やる気があって意欲もある。それが続かないことが問題。若手が成長したいと思う理由は、自信を手にしたいから。若手育成で最も大切なことは、成長実感という根拠のある自信をつけさせること。そのためひ企業でできる唯一の手助けは、若手が自分で成長できる自走環境を整えること。教育→研修の育てるスタンスではなく、抜擢→決断→失敗→学習の自走サイクルが必要。本人の強み×伸びる仕事=大きな成果。成果を上げるために育成がある。
2.抜擢とは、期待をかけること。未来志向であり、掛け算思想。期待を掛け合うチームでは自然と人が育つ。抜擢しない現状維持では企業にリターンがなく、優秀な人材の流出リスク。期待→宣言→承認が基本ルールであり、ギアを自責にするステップ(責任者の自覚)。意思表明する最大のメリットは、周囲からの応援が増えること。インプット→アウトプット会話で自分の言葉で話す機会をつくり、発言・行動・考え方をほめて見てるよサインを出す。意味づけ→抜擢セリフ(手短/シンプル/自分が嬉しいこと)→信頼残高で、宣言を引き出す。抜擢は本人のやる気を一番重視する。
3.入社2年目は迷わず全員抜擢。他者貢献がキーワード。人望のある人(仲間を大切にする人)はいち早く抜擢。新しいメンバーの抜擢漏れに注意。抜擢後は、早く決断させて決断量を増やし、決断→認識→内省のサイクルを回す。研修や振り返り面談でサポート。抜擢の失敗は、抜擢した側の責任。失敗のリスクは一時的。失敗→認識→内省で、経験値に格上げする。得たものや課題を言語化して意味づけし、社内に共有する。失敗後にやりたい仕事をしてもらうことが、セカンドチャンスの約束になる。全ては明るい未来に向けて。
企業での人材育成というと真っ先に浮かぶのは「研修」という言葉です。少なくとも私はそうでしたが、そのパラダイムそのものに一石を投じてくれているように感じます。
以前から、人材育成には研修(Off-JT)よりOJTが効果的だという研究結果があります。であれば、企業の人材育成はOJTにどんどん切り替わりそうなものですが、相変わらず研修(Off-JT)が中心に設計されることが多い実情があります。それはなぜでしょうか?
まず、OJTには職場によって育成力が違うという特徴があります。上司や先輩によって、人材育成へのスタンスが異なり、やり方もまちまちです。つまり、当たり外れがあるということです。書籍にある抜擢→決断→失敗→学習というフレームを浸透させることで、これをボトムアップすることは可能になると思います。
しかし、それだけでは効果的なOJTは機能しないように思います。恐らく、最も乗り越えなければならない壁は、人材育成をコントロールしようとする人事のスタンスではないでしょうか。戦略を実行するための人材要件をまとめ→効果的な研修を実施する、という中央集権的なアプローチだけでは限界なのかもしれません。早すぎる外部環境の変化に対応するために、強みを活かして多様な人材をプールしておくためにも、分散的なアプローチもいよいよ必要なのかもしれません。
狙って育てる育成スタンスも私は必要だと思います。しかし、それだけでは脆い組織になってしまいます。一方で1人1人が強みを発揮して個性を主張できるために、手放す部分も必要だと感じる振り返りでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?