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今週のリフレクション【SDGsが問いかける経営の未来(モニターデロイト編)】

今週は、モニターデロイト編「SDGsが問いかける経営の未来」を振り返ります。ザックリ3点で要約すると・・

1.SDGsはポスト資本主義として議論されている経済・社会・環境のバランス再構築を目指す挑戦で、現代の企業経営モデルの根幹を揺るがす変化(進化)を要請するもの。企業の短期価値(四半期報告)の追求がリニアエコノミーにつながり、マクロの社会課題を引き起こしている。社会課題=経済リスクであり、社会貢献テーマではない。中長期的な投資パフォーマンスを求めて行われるESG投資は、国連のPRIによって加速しており、企業の社会的姿勢を重視する消費者(ビリーフ・ドリブン)は増えている。経営者は従来よりも包括的な視野で経済成長のインパクトをとらえる必要がある。

2.外発的な守り(外部規範=CSR)・攻め(外部機会=CSV1.0)に内発的な土台(長期的な生存)を加えたCSV2.0としての経営変革が問われている。企業価値を能動的に創造するアプローチであり、大義力×秩序形成力×再現力が勝ちパターン。①経営成果を測るモノサシの多様化&変動、②経営を舵取りする範囲の拡大、③経営サイクルの2レンズ化(10年/1年)、が経営変革に求められている。

3.SDGs時代への経営変革は戦略カスケードに沿って行う。①何を目指して変革を進めるか?→大義のABCルール(信憑性/バランス/対話)。大義が熱狂をもたらし競争力を左右する。②どこで戦うか?→ マテリアリティ・マトリクス(ステークホルダーへの影響度×自社事業への影響度)、サステナビリティ・センシング・フレームワーク(ステークホルダーの関心度×自社ポジショニング優劣)、オポチュニティ・センシング・フレームワーク(社会課題の潜在市場規模×自社ケイパビリティとのフィット)。③どう勝ち抜くか?→差別化戦略=SDGs(先行者/解決策/達成水準)×自社らしさ×スタートアップ。④新たにどんな能力を備えるか?→インテリジェンス(グローバルNGOとの対話)、サプライチェーン(スコープ3、サーキュラーエコノミー、デジタル化)、ブランディング(マルチステークホルダーとのコミュニケーション、SDGウォッシングのリスク)、アドボカシー(ルールメイキング)。⑤どんなマネジメントシステムが必要か?→CxOの連携、KPI、HRMによる共通言語化。改革に向けた着火機能の具備→強いリーダーシップに導かれる全社改革の推進→自立的なマネジメントシステムへの完全移行。

「SDGsは社会貢献テーマではない。」これが徐々に浸透してきているように感じます。SDGsを測る指標の1つとしてESGがあり、SDGsへの取り組みが株価に与える影響はますます大きくなっています。しかし、株価(=短期価値)のために守りの施策として取り組む企業もまだまだ多いのが実情ではないでしょうか。

一方で、10代や20代の若者の価値観が変化しているとも言われています。所有からシェア、モノから価値。そんな中で、BtoCで、若者がターゲットに含まれるアパレルのような企業から、少しずつ攻めのSDGs経営が進みつつあるようです。しかし、VCの上流や下流に責任を持つことが中心で、まだまだ限定的なのが現状でしょう。

私はBtoB企業で働いていますが、まだまだSDGs経営として何をしたらいいかわからないのが正直なところです。お客様の不買運動等がまだまだ盛んではないから現実感が薄いのかもしれません。リソースを投下する守りのCSRの延長で捉えてしまっており、リソースを投資する攻めの戦略という認識に足が生えない印象です。

実際にSDGsを経営にビルトインするのであれば、経営戦略として追う数字が利益ではなくなるように思います。そこには、組織として大きな大きなパラダイム転換が伴います。それこそ、戦略・マーケティング・財務・ヒト/組織全てのイノベーションが必要になるでしょう。その覚悟を持てるかどうか。この外部環境を不可逆的なグレートリセットだと捉えるかどうか。経営リソースを張ってサステナブルな先行者利益を本気で狙えるか。そんな意思決定が求められているのかもしれないと感じました。

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