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今週のリフレクション【問いかけの作法(安斎勇樹氏)】

今週は安斎勇樹さん著「問いかけの作法」を振り返ります。ザックリ要約すると・・

1.孤軍奮闘の悪循環=直接的な要求→受動的な態度→変わらない現実から、チームワークの好循環=良い問いかけ→ポテンシャルの発揮→チームの成果へ。チームの問題は時代環境の過渡期によるもの。トップダウンで問題解決をするファクトリー型から、個性が試行錯誤を重ねるワークショップ型へ。ファクトリー型による現代病=①判断の自動化による認識の固定化、②部分的な分業による関係性の固定化、③逸脱の抑止による衝動の枯渇、④手段への没頭による目的の形骸化。

2.質問によって、反応は変わる。問いかけは未知数を照らすライトであり、相手の感情を刺激する。問いかけの基本定石=①相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する、②適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る、③遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す、④凝り固まった発想をほぐし、意外な発見を生み出す。

3.〈見立てる〉観察のガイドライン=①何かにとらわれていないか?、②こだわりはどこにあるか?、③こだわりはずれていないか?、④何かを我慢していないか?。見立ての着眼点=①何かを評価する発言、②未定義の頻出ワード、③姿勢と相槌。現場の観察だけでは限界があり、場の目的・見たい光景・現在の様子の三角形から、場の目的を問い直す。

4.〈組み立てる〉問いかけの前提=①チームにおける自分の立場や役職を考慮する、②元々の自分のキャラクターや芸風に合わせる。質問の組み立て=①未知数を定める(こだわりorとらわれ)、②方向性を調整する(主語×時間軸)、③制約をかける(トピック/形容詞/範囲/答え方)。こだわりにはフカボリ=①素人質問、②ルーツ発掘(基準の高さ/過剰な投資/違いの認識/怒りのツボ/偏愛対象/違和感)、③真善美。とらわれにはユサブリ=①パラフレイズ(例え/数値化/動詞化/禁止/定義)、②仮定法(立場の転換/制約の撤廃/架空の物語)③バイアス破壊。

5.〈投げかける〉注意を引くアプローチ=①予告、②共感、③煽動、④余白。問いかけのレトリック=①光の量を足す(倒置法/誇張法/列挙法/対照法)②光の色を変える(比喩法/擬人法/共感覚法/声喩法)③光を和らげる(緩徐法/婉曲法)。質問に答えやすくする足場かけ(アフターフォロー)=①前提を補足する、②意義を補足する、③ハードルを下げる、④手がかりを渡す、⑤リマインドする、⑥組み立て直す。

人を動かすのはすごく難しいことだと思います。自分の行動/思考は変えられるが、他人は変えられないというオピニオンもよく目にします。「変えられない」というと語弊がありますが、相手に矢印を向けて直接的な要求をしてしまうと、書籍にある悪循環に入ってしまうということだと理解しています。逆に、自分の考え方や行動に矢印を向けて調整することで、結果的に相手の行動が変わる可能性はあるということだと理解しています。

では、自分の行動をどう変えるといいのか?

その1つのヒントが「問いかけ」だと思います。こだわりやとらわれ=無意識なバイアスを見える化し、相手がメタ認知をするサポートをする。メタ認知によって相手が内省する「きっかけ」を作る。そんな関わり方が問いかけだと思います。

企業の人材育成でも、子供の教育でも、つい直接的な要求をしてしまいます。その根底には「相手が自分で気付くのは無理」という前提があるように思います。もしくは、気付けるとしても時間がかかりすぎる(めんどくさい)と思っているのではないでしょうか。

一見すると遠回りですが、問いかけをすることで相手が内省するきっかけを作る。結果として、相手が変わる。結局、人は自分で決めない限り動かないし、動いたとしてもサステナブルではない。だから、自分にできることは「場」や「きっかけ」をつくることだけ。そこをしっかり認識しておかないと、大きく踏み外す可能性があると感じました。

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