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【Doctor Tのスポーツ医学】コロナが治った後の運動再開は少しずつ!

 こんにちは、Doctor Tです。年が明けてあっという間にコロナの感染者が増えてきましたね。今までの株とは桁違いの感染の広がりです。つまり、今まで以上にコロナに感染することが他人事ではなくなっているということです。

コロナにかかった後も運動は大切!

 もしコロナにかかったとしても、回復後には定期的な運動の再開をおすすめします。コロナで落ちた体力の回復や、元々生活習慣病があればそれをコントロールする必要があるためです。これは次のコロナ感染のリスクを下げることになります!

 今回は、コロナにかかって回復した後どのように運動を再開したら良いかをご紹介します。以下、アメリカスポーツ医学会 American College of Sports Medicine (ACSM)ウェブサイトの記事を参考にしています。

*これらはあくまで推奨なので、かかりつけ医の指示を最優先してください。

適度な運動はコロナ感染に対しても有益である

 適度な運動は、生活習慣病だけでなくコロナ感染回避にもポジティブな効果があります。運動には免疫機能を上げる作用抗炎症作用があるので、コロナ重症化の可能性を下げるのです。再感染もあり得るので一度罹患りかんしてもこれらの機能を上げておくことは有意義ですね。

運動再開はもちろん安全第一

息苦しさや動悸などの症状はありませんか?

 コロナ感染の合併症の中で、運動再開に関連して一番心配なのが|心筋炎《しんきんえん》です。心臓の筋肉に異常があるので、運動による負荷がかかった時に心臓の機能に異常が出るかもしれないからです。症状としては「軽い動きでの息苦しさ」「胸の痛み」などが代表的なのでこれらの症状がある場合は医師に相談することをおすすめします。

運動を開始する前に

 運動開始前に医師の診断を受けるべきかは、かかったコロナの重症度によって変わります。以下の中等度以上の人は医師の診断を受けましょう。

低リスクグループ

  1. 50歳以下で

  2. 無症状もしくは7日以内に症状が消失するような軽度の症状だった人が

  3. 趣味程度の運動を再開する
    を満たす場合は低リスクに分類されます。このグループの人は特に医師の診察がなくとも徐々に負荷を上げても良いと考えられています。

中等度リスクグループ

 疲労などの症状が7日以上持続した、もしくは長引く息切れや胸の痛みがあったものの入院を要するほどではなかった人たちを中等度リスクと分類します。

高リスクグループ

 高リスクは症状が強く入院が必要だった人で、安静にしている時、もしくは日常的な動作でも息苦しさや胸の痛みがある人を指します。

中等度以上のリスクグループだったら

 中等度以上だった場合は、かかりつけ医を受診し心電図で異常がないかを確認します。

 心電図異常もしくは息切れや胸の痛みがある場合は採血でトロポニンをチェックする。トロポニンは心臓の筋肉に異常があった時に上昇するタンパク質です。場合によってはその後、循環器や呼吸器内科専門医の診察が必要かも知れません。

 この分類から漏れてしまう人、例えば50歳以上で症状が軽かった人や趣味以上の負荷の強い運動をする人に関しての記載はこの記事にありませんでした。自分の状況に不安が残る場合は自己判断せずかかりつけ医に相談するのが良いでしょう。

運動復帰する際の原則

  1. 徐々に負荷を上げていくこと

  2. 症状が再燃したら速やかに運動を中止し受診すること が原則です。

低リスクグループであれば

 低リスクグループであれば、コロナ感染の診断がついて少なくとも10日は運動を控える方が良いでしょう。7日間無症状であれば徐々に運動を再開してもいいかも知れないとACSMの記事には書いてあります。

運動再開は大事です。でもその前に…

  1. 仕事や学校に行くなど日常生活を支障なく送ることができる

  2. 睡眠もコロナにかかる前の状況に戻っている

  3. 平坦な道であれば500mは極端な息苦しさなしで歩くことができる ことが前提です。

最初は15分の軽い運動から

 慣れてきたら時間を伸ばしていきましょう。そして、まずはマシンやウェイトを使わない自分の体重を使う運動をしましょう。例えばヨガやプランク、スクワットなどを十分な休憩時間を取りながら行うのがいいと思います。それができてから重い負荷をかけた筋トレや競技復帰へと進めていきましょう。

エリートアスリートは

 エリートアスリートには専属のスタッフの指示があると思いますし、エリートアスリート向けのガイドラインがいくつか出されているのでそちらが参考になります。

今後も新しいデータ次第で推奨が変わる可能性あり

 パンデミックが始まった2020年と比べればデータも増えてきましたが、まだ十分ではありません。これらの推奨は現時点(2021年12月)のものなので新しいものが出た場合にはそちらに従ってください。

まとめ

  • コロナ感染重症化予防のためにも適度な運動は必要

  • 運動を再開するにあたり心配なのは心筋炎

  • 罹患時りかんじの重症度に合わせて、運動再開前に診察を受けた方が良い

  • 運動再開は「軽い運動から」「徐々に負荷をアップ」

  • 途中で体調(特に胸部症状)に異常を感じたら即中断し、受診する

 コロナ感染拡大予防の観点から、人との「ハイリスクな」接触は避けるべきです。しかし、これは家でじっとしていなければならないという意味ではありません。

 外に出て新鮮な空気を吸い体を動かすことはコロナ感染とそれ以外の健康のバランスをうまく取っていくのに大切なことなのです!




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