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【Doctor Tのスポーツ医学】いきなりたくさん運動しなくても健康効果あり

 こんにちは!スポーツドクターTです。今日は、健康のために運動しなければと思いながら、なかなか腰が上がらない…もしくは運動が苦手な方へ、朗報です。最初からたくさん運動をしなくても、十分効果があるというお話です。

少しの運動でもしっかり効果あり
 運動習慣は「0から1」がとても重要なのです。運動習慣のない人にとってはそれが辛いのかもしれませんね。でも全く運動をしていない人が少し運動を始めた際の時間あたりの運動効果が、実は最もよく出るのです。

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 上のスライドの説明です。Mortalityは(生活習慣病などでの)死亡率、ここでは運動の効果によっていかに死亡率が低下するかを示しています。Inactivityやsedentary behaviourは、動いていない時間、つまりゴロゴロしていたり、じっと座ってデスクワークをしている時間や行動を指します。

1)運動すればするほど、死亡率は下がる
 グラフの縦軸は生活習慣病などでの死亡率を示し、下に行くほど死亡率が下がります(=運動の効果がある)。横軸は体を動かす量を示していて右に行くほど運動量が増えます。

 運動をすればするほど、死亡率が下がっていることがわかります。これが一つ目のメリットです。これは皆さんもご存知のことと思います。

2)運動習慣のない人は、少しの運動でも効果大
 もう少し詳しく見てみましょう。縦の赤い線より左側は運動量が少ない人達です。少し運動量が増えるだけで死亡率がグッと下がっていますね(Biggest drop in mortality)。運動量が0→10になると、死亡率が1→0.7と、30%も下がっています。一方、赤い線より右側の人達(ある程度体を動かしている人達)は、運動量が10→20に増えても死亡率は0.7→0.6と10%しか下がっていません。

 つまり、二つ目のメリットは「同じだけ運動量を増やす場合、運動習慣のない人の方が効果が大きい」ということです。

 運動量の目安はこちらを参考にしてください。スポーツ庁websiteです。

3)ダラダラした時間を分断するだけでも健康メリットあり!
 もう一つの朗報は、運動の合計量だけではなく、「ダラダラした時間を分断する」ことでも不健康のリスクを下げられることです。3時間座ったままテレビを見るような場合、CMごとに立ち上がってトイレに行ったり飲み物を取りに行くだけで、健康へのメリットがあります。どうしても運動ができない時は、ここから始めてもいいかもしれませんね。

【まとめ】
1)運動量が増えれば増えるほど健康への効果がある。
2)運動習慣のない人は、少しでも運動を始めると非常に効果があり、同じだけ運動量を増やす場合、運動習慣のない人の方が効果が大きい。
3)じっとしている時間を分断するのも不健康のリスクを減らす。

 今回は、「運動することの効果」について話してみました。これからもスポーツ医学の豆知識を様々な角度からご紹介していきたいと思います。ご期待ください!

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