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ダブル・ゴール・コーチング勉強会『そもそも勝利至上主義って何?』

こんにちは。NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブの後藤晃一です。今回は、日本のスポーツ界で問題になっている”勝利至上主義”についての勉強会を実施しました。

勝利至上主義が良くないという世間的な風潮は、現場のコーチ・保護者・教育関係の方々であればなんとなく感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

しかし
・どうやったら勝利至上主義から脱却できるのか?
・そもそも子ども・選手がスポーツをする意義とは何か?
・ユーススポーツ環境がそもそも抱えている課題とは何か?
といったことを議論する機会は少ないかもしれません。

今回は、NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブのメンバーを中心に、2時間半にも及び議論を重ねました。

選手・子どもがスポーツをする意義は何か?

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選手・子どもがスポーツをする意義はそもそも何か?という議論は、頭でわかっているようで改めて言葉にすることは少ないのではないでしょうか?

この議論では、それぞれのメンバーが子ども・選手がスポーツをする意義について意見を交わしました。

・子どもの自己決定を尊重する機会としたいから
・運動習慣を身につけて脳に良い影響をもたらしてほしいから
・競技そのものの楽しみを知ってもらい『切磋琢磨』『スポーツそのものの楽しさ』『他者を尊重する姿勢』といった人としての成長を得てほしい

といった意見がでました。

選手・子どもがスポーツをする目的を考える

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選手・子どもがスポーツをする目的とはいったい何でしょうか?ここでは、保護者の方々が、子どもに対してどのような期待を持っているのかベネッセ教育総合研究所が調査している『スポーツ活動・芸術活動に母親が期待すること』を解説しながら議論を深めました。

この調査内容では、スポーツ活動において、母親が期待することに人とのかかわりについての項目が多い一方で、技術向上を期待する親もいることが明らかにされています。

しかし実際は、

・技術向上を期待する親はもっと多いイメージ
・保護者の子どもに対するキャリアの考え方・所得によって差がありそう
・子どもが所属している団体(クラブチームなのかスクールなのか部活動なのか)でも違いがありそう

といった意見があげられました。

ユーススポーツ環境における課題とは?

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今回参加してくださったメンバーは、学校の先生・予備校講師・研究者・会社員・教育関係者と様々な方が集まりました。その中で、ユーススポーツ環境における課題についても議論をしました。

この議論では、
・女子サッカーだとプレーできる環境そのものがすくない
・大学生に求められるようなことが小学生にも求められてしまっている現実があり辞めてしまう子どもがおおかったりネガティブな経験になりやすかったりする
・中学校から顧問の先生がいなくなってしまうと部活動の存続ができなくなってしまう
・学年や年代が下がるにつれ言動が厳しくなりパワハラやモラハラが横行している印象
・技術をつめこみすぎてしまっており、海外の系統だった選手育成とはかけはなれている
・女子特有の課題がある(陸上界では体脂肪率が高く女子選手の無月経の選手が良い選手という扱いになる 参考URL:文集オンライン『ダンベルを持たされ「重いだろう。これがお前の肉なんだ」と言われ… 女子陸上日本記録保持者が語る“無月経”の恐怖』)
・トーナメント制度が主流であることで弱いチームほど試合の数が少なくなってしまう現状
などの意見がありました。

勝利至上主義の弊害と各競技の取り組み

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勝利至上主義には
・パフォーマンス低下
・倫理行動からの逸脱
・モチベーションの低下
といった弊害があります。

一方で、サッカー界やバスケットボール界では面白い取り組みも。

サッカーのジュニア世代では、選手の良い行動に対してグリーンカードを審判が提示するというルールがあるようです(参考記事:サカママ『今さら聞けない!?サッカールール「グリーンカード」』)。

また、バスケットボール界では、スポーツ・インテグリティへの取り組みとして、相手を尊重する姿勢がルール化され反則するとテクニカルファールになってしまうという新たな仕組みができたようです(参考記事:バスケットボールカウント『日本バスケットボール協会が『暴力暴言根絶』を誓い、暴力や暴言へ厳罰適用を徹底』)。

想いを持った方々と手を取り合う意義

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私は今まで理論や知識的な勉強はしてきたものの、現場の声を聴いたり、想いをもった人達と手を取り合うことが少なかったように思えます。

今回の勉強会だけではなく、過去のスポーツコーチング・ラボやワークショップを通して、想いをもった方々と手を取り合い、未来を模索しながら前に進む意義を感じています。

これからの活動でも、お互いの想いを持ち寄り、活動に邁進したいと思いますので、応援のほどよろしくお願いします!

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