貧血対策
栄養相談の中でも、
ウエイトコントロールの次に多いのが
貧血に関するお悩み。
女性だけでなく、
男性アスリートにも以外と多いのです。
・めまいや立ちくらみがする
・最近、疲れやすい
・貧血を予防・改善したい
そのような方に向けて
貧血対策の食事をお伝えします!
【基礎知識】貧血とは?
・そもそも貧血とは、血液の中の赤血球自体が少なかったり、血球の中にあるヘモグロビンが不足した状態のこと。
・ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ働きをしているので、不足すると体が酸欠状態になり、疲れやすくなり、パフォーマンスに影響する。
・一般的にヘモグロビン値
【男性:13g/dl以下、女性:12g/dl以下】で貧血と診断される。しかし、アスリートの場合、基準値以上であっても貧血症状を感じることがある。
・20歳前後では、女性約10%、男性約1%と
女性に多い傾向が!
→女性は月経によって鉄を失うことで
ヘモグロビンが作れなくなるため。
・検診で見つかるほとんどが、
鉄不足が原因の「鉄欠乏性貧血」
改善には3~6ヶ月間かかる。
貧血の原因と対策
アスリートが貧血に陥る原因は
大きく2パターン考えられます。
①鉄不足パターン
・胃腸の調子が悪い人
・出血を伴う怪我をしている人
・運動量の多いアスリート
などは要注意!
アスリートは多くの摂取kcalが必要ですが、実際は栄養素を吸収しにくい状態であることが多いのです。なぜなら、運動時間が長くなるほど、消化吸収にさける時間が短くなるから。
加えて
・激しい運動で赤血球が壊れやすい。
・汗で鉄を含むミネラルが失われやすい。
ので、
鉄不足により、ヘモグロビンが作れず
貧血になっているかも...
【対策】鉄を十分に摂ることと、吸収率を高める工夫が必要。
②エネルギー不足パターン
・食事に気を使い、鉄も摂取しているはずなのに貧血になってしまった
・走り込んだり練習量が多くなると貧血になりやすい
このような場合は、エネルギー不足の状態。
つまり食事からのkcalが足りていません。
痩せている、減量・ダイエットをしている、
主食を抜きがち、欠食しがちな人などは
要注意!
【対策】根本的なエネルギー不足の解消が必要!
鉄不足、エネルギー不足のパターンをお話ししましたが、実際にはどちらにも該当しているケースが多いと感じます。ご自身はどちらの傾向があるか参考にしてみてください。
貧血改善の7ステップ
よーしっ!貧血を改善していこう!
貧血改善=鉄の摂取だ!と思った方
ちょっとまってください!
鉄の摂取も確かに大事です。
しかし
鉄さえ摂取していればいいのか?
というと、それだけでは
なかなか症状は変わらないのです。
なぜなら、土台が整っていないから。
次は、貧血改善のステップをお伝えします。
1つずつ解説をしていきます。
STEP1 エネルギー不足の解消
この話は、長くなってしまうので手短に。
人間が生きるために必要なのはエネルギー。
エネルギーとは車でいうガソリンのようなもの。ヒトにとってのガソリンは、主に三大栄養素のみで、エネルギーが不足すると身体は省エネモードのようになり、最低限の生きる機能を維持しようとします。
すると、やる気が起きなくなったり、情緒不安定になったり、心や体に省エネの影響が出てきます。
そのため、体質を改善していくには、まずエネルギー不足を解消してあげることが大切です。
【1日の摂取kcal目安】
一般女子学生:2000〜2500kcal
一般男子学生・女子アスリート:3000kcal前後
男子アスリート:4000kcal前後
※厳密には、基礎代謝量から計算するので
個人差があります。
大学生が1日に必要なエネルギー量は一般的には2000~3000kcalですが、男子アスリートの場合は4000kcal近く必要な人も。
大事なのは、自分にとって必要なエネルギー量を摂りきること!
そのためには、ある程度のボリュームが必要になるので、摂取量×頻度を考えて食事回数やタイミングを調整していきます。
極端なダイエットや減量などをして、体重が下がっていませんか?食事は規則的に食べれていますか?
改善ポイントは
・1日3食は欠食しない
・できる限り規則正しくバランス良く食べる
少し体重が増えるくらいしっかり食べると、
貧血の回復も早まることが期待できます。
STEP2 胃腸の調子を調える
いくら健康的なものを食べても、
消化吸収できなければ意味がありません。
貧血で胃腸の調子が悪い場合には、
胃腸の調子を整えることが第一優先!
<胃への刺激を減らすために避けること>
・医師からの指示がない鉄剤やサプリメントの使用は避ける
・辛いものや酸っぱいものは控える
・一回に食べる量を調整し、暴飲暴食しない
・揚げ物などの脂質の多い食品を夜遅いときや疲労を感じるときには食べない
<胃の調子を整えるためにやること>
・野菜や果物、発酵食品などの食物繊維を多く含むものを食べる
・便秘を解消する
・水分を十分にとる
STEP3 質のよい睡眠
例えば風邪をひいたとき、ぐっすり寝たら調子が良くなった経験はありませんか?
それと同じで、病気や不調の回復に睡眠は欠かせません。
睡眠時間を十分にとれるのが理想ですが、練習や1限授業があると毎日は難しいのが現実。そこで、短時間でも目覚めのよい朝を迎えられるように睡眠の質を意識してみましょう。湯船にゆっくり浸かったり、ストレッチをして血行をよくする等、ぐっすり眠るために体を労わってあげましょう。
STEP4 たんぱく質の摂取
ここでやっと栄養素のお話しになります!
たんぱく質は体を作る材料になることはご存知だと思います。
酸素を運ぶヘモグロビンも鉄とたんぱく質でできているのです。
・良質なたんぱく質源は
「肉、魚、卵、大豆・大豆製品、乳製品」
毎日の食事で食べていきましょう!
たんぱく質がどのくらい必要かは別記事で紹介する予定ですが、ざっと体重の2倍!あれば十分です。例えば、50kgの人は100gのたんぱく質が必要。
STEP5 鉄の摂取
・酸素を運ぶヘモグロビンは鉄とたんぱく質でできています。
・鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、
ヘム鉄の方が吸収率が高いのが特徴です。
<ヘム鉄>
肉や魚などの動物性の食品に多く、中でもレバーが圧倒的に多い。血を作る材料なので、赤い肉や魚に豊富。マグロ、カツオ、牛肉など。レバーは食べすぎるとビタミンAの過剰摂取となるため注意⚠️
<非ヘム鉄>
緑色の葉物や、大豆製品などの植物性の食品に多い。ほうれん草や小松菜、納豆など。ヘム鉄に比べて吸収率は低いですが、葉物などに多いため量をとりやすい。
※補足:レバー
・鉄が豊富で年間を通して食べられる食品。
・たんぱく質やビタミンB6、B12、葉酸など血液を作るために必要な栄養素も豊富でオススメ!
・注意点、脂溶性のビタミンAも多い→レバーを食べ過ぎると、鉄は補えてもビタミンAの過剰摂取になってしまうので、週に一回程度で◎
STEP6 鉄の吸収を高める工夫
非ヘム鉄の吸収を高めるには、
ビタミンCを一緒に摂るのが効果的!
野菜や果物に多く含まれます。
<ビタミンCを多く含む食品>
・柑橘系の果物
・キウイ
・ピーマンやパプリカ
STEP7 身体活動量の減少
(※予防の際は不要)
既に貧血症状がある場合には、可能な限り運動量や強度を減らし、体への負担を減らしてあげてください。
これは、
・安静にしエネルギー不足を解消する
・消化吸収促進
・溶血を防ぐため
などの目的があります。
まとめ
このように貧血の予防・改善には鉄だけを意識していてもあまり効果がありません。
ベースとなるのはエネルギーが足りているかどうか。規則的に食事をとりつつ、その中身は
たんぱく質、鉄、ビタミンCなどを多く含む食品を意識してみてください。
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