あ、そこなのか。
小川糸著「ライオンのおやつ」を久しぶりに再読しました。読書会課題本です。
・あなたの人生で一番楽しかった時を思い出してください。
・心身の具合がよくない時でも。あのおやつはもう一度食べたい。記憶に残るおやつを教えてください。
そんな問いかけが作中にあります。
もう戻れないあの時。
現在、私は重篤な病にある身内がおりまして、身につまされます。今週末も泊まりで一緒に過ごす予定です。
本著を読むことで自身に「今のあり様で後悔ない?」ともう一人の自分が聞いてくるんですね。
数日寝かせて。フト思い起こしました。
あ、そこなのか、と。
今まで、人に間違ってると指摘を受けたこととか。自分の判断はこれでいいのかとか。手のひらにあるかのように錯覚してた交流とか。
全ては『元々なかった。「無」「カラ」だった。』と。
人はその手になにも持たないで死をむかえる。
さも、あるかのように築いたつもりの交流。恥ずかしい勘違い。そんなん、なかったんですね。なくていいねん、と。
一方で、1人マイペースで自分なりに楽しく過ごしてた2020年以前が蘇りました。あ、そうなのか。ずっとそうしてきた着地点が見つかったような。人に望むなんて意識なく、私なりにやってみたいコトを描いて始めてた。それで行ってみよ。
病への重さ、複雑で解決なんてない世の不条理も感じました。それでいてもやが晴れるような、ことばに出来ない何かが、そこにあるようでした。
少なくとも今の私に、ヒトリでやり直しでいいねんよ、と言ってくれているようでもありました。
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