【大相撲幻想】決戦は火曜日!

 大相撲幻想秋場所も九日目を終え場所優勝争いがヒートアップしています。9/18現在の首位は90ptの1/4さんで、桃色💖無職は79ptの11pt差で2位につけております。さらには78ptで3位の拓海さん、76ptで4位のjechさんも優勝を狙える位置につけていると言えるでしょう。

 大相撲幻想において15pt程度の差は逆転可能な点差であり、千秋楽まで優勝者が分からない白熱した展開になりそうです。

 そして、何故決戦は火曜日かというと、桃色💖無職が保有する十両14枚目の大の里(9勝0敗)と幕内7枚目の高安(8勝1敗)がそれぞれ星取表の上では目下優勝争いのライバルである力士と明日9/19火曜日に取組が組まれたからです。

 その決戦に備えて今回は大の里と高安がどのような相手と取組をするのか、どのような展開になれば理想的かを考察していきたいと思います。

大の里vs一山本

 まずは十両の一番から。

大の里の今場所

 夏場所に幕下付け出しでデビューしてから所要2場所で十両昇進を果たした二所ノ関部屋所属の大の里。全勝&幕下優勝で華々しく十両昇進を果たした落合こと現伯桜鵬とは異なり、夏場所は6勝1敗、名古屋場所は4勝3敗と2年連続学生横綱&ワールドゲームズ金メダルの実績を引っさげて鳴り物入りだったことを考えると少し大人しいスタートとなってしまいました。(所要2場所で十両昇進は力士としては異様のスピード出世であることは間違いないです。今年のLAAのノーラン・シャヌエルの昇格くらいの早さと考えてもらっても問題ありません)
 ギリギリの十両昇進だっただけに十両で勝ち越せるかという点でも不安でしたが、杞憂に終わりました。初日から無傷の9連勝と新十両からの連勝記録に並び、現在十両優勝争いのトップに君臨しています。
 今場所の大の里の取り口は初手からのもろ手突きor右四つからの寄りとなっています。立ち合いの圧力で圧倒できそうな小柄か軽量の力士(朝紅龍、勇磨、志摩の海、輝鵬、時疾風)に対してはもろ手突きを選択。一方で、大柄or重量級の相手(天照鵬、紫雷、白鷹山、千代丸)に対しては右差しを選択しています。対戦相手の体格に合わせてより勝率の高い方を選択していると言えるでしょう。
 また、大の里の相撲の特徴として上手を求めないことも挙げられます。右差になるけれども、左は上手を求めるというよりは差しにいってもろ差しの形になることを理想としているようです。六日目の白鷹山戦では右差しをあてがわれて抜かれたあと、右で上手を求める仕草がありましたが本来の四つとは逆でありこれをもって上手を求めにいったとは言い難く、この1度以外は上手を求めたこともないので、やはり右差が成功したならばもろ差しを狙いにいくでしょう。
 初日の朝紅龍戦でも流れの中で左差しになりましたが、最終的には右も差にいってもろ差しの形になっていることからもそのことがうかがえます。
 圧力で圧倒できる内は技量で勝る先輩力士の得意の四つにならせまいとしようしてるのかもしれません。

一山本の今場所

 一方の一山本(放駒部屋)は一昨年の九州場所で十両優勝の経験もあり、今年の初場所では幕内で2桁勝利もマークした実力十分の力士です。この初場所以降の3場所は故障の影響もあって勝ち越し0と寂しい数字に終わっていますが、今場所は自分は十両中位の番付に収まる力量ではないと言わんばかりの気迫あふれる取り口で8勝1敗の好成績を残しています。
 十両下位&幕下上位との対戦しかない大の里と異なり、十両上位との対戦もあるハードなスケジュールをこなしていることを考えると大の里の9連勝以上の価値があると言ってもいいでしょう。(ちなみに、場所前にかかささんにドロップされた後、誰もアドしなかったため一山本はFA状態です)
 一山本言えば回転のいい突き押しが最大の特徴です。188cmと力士の中でも大柄ですが、力強い突き押しで圧倒するか、アジリティの高さで相手を翻弄するスタイルは同じカタログスペックの阿炎と通じるところがあります。
 今場所の一山本の特徴は突き押し切って勝つ点と寄り切りでの勝利が2番あることでしょう。
 突き押し力士は最後まで突き押し通して相手に土俵を割らせることが理想ですが、150kgオーバーが当たり前の十両/幕内レベルの力士相手にこの理想を貫き通すことは至難の業です。従って、突き押して相手との間にスペースを作りつつ、上半身をのけ反らせてから引き技で相手を前にばったりと倒すことが多くなります。現に一山本の頻出決まり手No.2は叩きこみになっています。(1位は押し出し、3位は突き出し)
 しかし、今場所は一度も叩き込みどころか突き落としや引き落としといった他の引き技での決まり手もありません。つまり、突き押し力士の理想通り最後まで突き押し通して勝っているのです。もちろん、小柄or軽量級力士ばかりと当たればそういうこともあるかもしれませんが、193cm/180kgの獅司と190cm/201kgの水戸龍に引かせてそのまま土俵を割らせており、対戦相手に恵まれていたわけではありません。
 持ち前の回転のいい突っ張りが今場所は健在どころか、幕内で10勝した時以上の威力を発揮しているように見えます。
 次に、突き押し力士の弁慶の泣き所である四つ相撲でも勝っている点について。突き押し力士が四つに組まれまいとして、相手が中に入ろうとすると引くか突いて離す光景をよく見ます。大関の貴景勝でさせたとえ相手が誰であろうと組まれしまうとなす術なく負けてしまうことが多くなります。
 ところが、今場所の一山本はすでに2番四つに組んで寄り切って勝利を手にしています。
 1度目は三日目の貴健斗戦。お互い突き押しの立ち合いから、一山本が自ら右を差し、すかさず左で上手を取ってそのまま寄り切りました。
 2度目は九日目の友風戦。今回もお互い突き押しからの立ち合いの中、一山本が左で回しを掴み、右は筈押しの形となり最後は友風に巻き替えられましたが関係なくそのまま寄り切って勝利しました。
 いずれもお互い突き押しの立ち合いの後、一山本から組む形を選択しています。突き押し同士で埒が明かないとなった場合相手の頭にない組む形を自分から作り、それに対応しようとする相手の隙に乗じてそのまま寄っているようにも見えます。突き押し一辺倒ではない一山本の今場所の強さが垣間見えます。

大の里vs一山本の展開予想

 では、以上の今場所の大の里と一山本の取組を踏まえて明日の一番がどのような展開になるかを予想します。

 まず、大の里ですが一山本相手に右差しを選択すると予想します。一山本は重量級というほどの体重はありませんが、188cmと力士の中でも大柄なため、右差しからのもろ差し狙いで立ち会うことになるでしょう。

 一方の一山本はやはり立ち合いからの突っ張りになるでしょう。上記のように組んで勝った取組もありましたが、あくまでも流れの中での話で、立ち合いから四つに組もうとした取り組みはありません。

 差そうとする大の里に対し、もろ手の立ち合いから突っ張りで来る一山本。問題はどちらの早さ/圧力が勝るかです。大の里の早さが勝った場合はもちろん、大の里が右を差してもろ差しを狙いつつあるいはもろ差しの形になって寄り切るでしょう。
 では、一山本が当たり勝ちした場合、大の里はどう対応するべきでしょうか。

  一山本のような突き押しの力士からすれば大の里のような大柄なあんこ型の力士はいい的なので、なんとしてでも突っ張りを止める必要があります。
 圧力負けして引き技に出るのは避けるべきでしょう。今場所の一山本は足が前によく出ており、前傾姿勢になってもも相手の引き技に一度も落ちていません。流れの中で叩きにいった場合、落ちることなくその引きに乗じてそのまま押し出されてしまうでしょう。もし、引き技が成功するとなると大の里が白鷹山戦で見せたように一山本の動きを完全に止めてからでないと成功しないでしょう。
 一山本の突き押しにめげずに右を差そうとする動きを見せれば一山本が右差を嫌っておっつける形になる可能性があります。相手におっつけさせて回転のいい突っ張りをやめさ動きを止めれば、いくら今場所動けている一山本と言えど大の里の強烈な叩きに落ちるかもしれません。
 大の里も突き押しに変更し、一山本が自ら組んできてくれたらそれはそれで四つ相撲上等で右差しからのもろ差しを狙って前に出る形を作ることができるので、大の里にとっては悪い選択肢ではないかもしれません。

 いかにして一山本に突っ張りをやめさせるか。しつこく右差しを狙っておっつけさせるか、突き押しで対抗して今場所見せている組む形に一山本を誘導するか。いずも難しいとは思いますが、十両全勝優勝を狙うには越えなければならない壁になるでしょう。

高安vs熱海富士

次に幕内の一番。

今場所の高安

 何度もあと一歩のところで賜杯を逃してきた高安(田子の浦部屋)。かつて大関にまで上り詰めた実力者なだけあって、平幕陥落後も何度も優勝争いに顔を出しています。先場所も初日から5連勝があり初優勝も期待されましたが、故障もあってその後は連敗。最終的に負け越してしまいました。今年18年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした阪神タイガースのようになかなか優勝ができないことから、高安にも「アレ」というワードが使われ始めています。
 今場所も3日目で早々に黒星を献上してしまい、今場所もダメかと思われましたが、その後6連勝と盛り返し九日目で勝ち越しを決めています。役力士との対戦がないとはいえ、今場所好調の豪ノ山、今場所は動きのいい元大関御嶽海も退けており、調子の悪い番付下位から白星を挙げているだけではありません。
 大関昇進前~大関時代の強烈なかち上げからの立ち合いは今では滅多に見せなくなりました。今場所の立ち合いはもろ手づきor左四つを狙う形を見せています。立ち合い左四つになろうとしても相手に差させてもらえない、もろ手突きで押しきれない展開が多いのですが自分が思い描いていた理想の展開にならなくとも相手を見て押しに転じるか四つに転じるか引き技を見せるかといった状況判断に優れており、ベテラン円熟味を感じさせます。
 高安といえば相手の差して嫌いながら自分の左を差そうとして半身の形になって膠着状態になることが多いのですが、今場所その状態になったのは中日の御嶽海戦のみで、それ以外は流れの中で早い決着となっています。
 長い相撲は消耗が激しく既に33歳と若くない高安にとっては避けたいものなので、早い決着が続くことは「アレ」に近づくためにも重要な要素となるかもしれません。

今場所の熱海富士

 昨年若干20歳で初入幕を果たし新進気鋭の若手力士が幕内で暴れまわると思われましたが、跳ね返されて1場所で十両に戻ってしまった熱海富士(伊勢ケ濱部屋)。その後、故障もあって再入幕に4場所かかることになりましたが、最後の2場所は2桁勝利、先場所は優勝と上り調子で再入幕を成し遂げました。
 先々場所、先場所の勢いそのままに今場所も4連勝を2回達成して、九日目で初の幕内勝ち越しを決めています。番付下位でとの力士の対戦が多いことは否めませんが、21歳という若さを考えると驚異的な強さです。
 今場所は立ち合いから左前回しを狙う動きを見せています。ただ、これに完全に成功したのは初日の琴勝峰と九日目の金峰山のみで、それ以外は左前まわしが取れない中で四つに組む展開が多くなっています。
 自分の理想の形になれないという意味では高安と同じですが、高安とは対照的に自ら相手に頭をつけて長い相撲を粘って勝ち星を拾っています。ただ、七日目の輝戦以降は突き押しの力士との対戦が続き、いずれも相手の突き押しの圧力に負けることなく、逆に押し切って早い決着で勝ち星を拾っています。

高安vs熱海富士の展開予想

 以上の今場所の高安と熱海富士の取組を踏まえて、明日の一番の展開を予想します。

 高安は立ち合いもろ手突きを選択すると予想します。高安の左四つの形は左前回しを狙う熱海富士の右四つの形と喧嘩四つの形になるため、差し手争いで長い相撲になることを嫌うのではないでしょうか。もろ手突きで相手を起こした後に、すかさず叩きにいく可能性もあります。

 一方の熱海富士は相手が誰であろうと胸から当たって左前回しを狙う姿勢を崩さないと予想します。高安のもろ手突きを強烈ですが、それさえ凌げば自分得意相手不得意の右四つの形になれます。仮に長い相撲になっても、今場所の粘り腰と若さゆえの体力を活かして高安が疲れを見せたところで勝負に出ることも考えられます。

 高安としては何としても相手の右四つを封じる必要があります。もろ手突きで突き押し切れない、相手の体を起こせない場合は、長い勝負を避けるため右四つになろうとする熱海富士の右差しをおっつけ即いなしからの突き落としor体勢を崩してからの突き押し・寄りで早々と決着をつける必要があるでしょう。
 御嶽海戦で見せた半身の形で相手を下に追いやって体力を削り、相手が仕掛けにくるところを投げ、引き技で対応する後の先を取る方法も考えられますが、今場所長い相撲を苦にしていない熱海富士相手に通用しないのではないかと思うのでやはりこの展開は避けるべきでしょう。

 動きを止めようとする熱海富士に付き合うことなくいかに早く決着をつけるかが高安勝利の鍵となりそうです。


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