3年後...2018MLBドラフトレビューBOS

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
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1(26). トリストン・カサス(Triston Casas):1B:右投左打:6-4/238: American Heritage School:$2.5528M($2.5528M)
巨躯から生み出されるパワーが最大の魅力。シーズン30HRを何度もクリアし、HR王争いの常連となることも夢ではない。打撃は粗くなくボールの見極めにも長けており、アベレージも残すことができるだろう。見た目以上に走れるが、それでもスピードは平均以下。高校では3Bを守ることもあったが、1B転向が既定路線だろう。投手としてマウンドに上がることもあるほど肩は強いが、披露する機会は限られることになりそう。

成績

順調にステップアップし、21年にはAAAに到達。既にメジャーデビューは目前に迫っています。2シーズン連続2桁HRのパワーがベストツールであることはまちがいないのですが、非凡なのはそれに依存しない打撃スタイルです。優秀なピッチセレクションとコンタクトスキルの高さで、打率も出塁率も稼げるクレバーな打者へと成長しました。オリンピックの代表としても日本代表の青柳から逆方向へHRを放つなど対応力の高さも見せました。レギュラークラスであることは間違いなく、オールスターの常連になることも夢ではないでしょう。


2(64). ニック・デッカー(Nick Decker):OF:左投左打:6/200: Seneca HS:$1.25M($1.010.5M)
パワーポテンシャルの高いヒッティングプロスペクト。ハードコンタクトをコンスタントに生み出すことができ、シーズン20HRをマークすることも不可能ではない。ボールの見極めは悪くないが、空振りの多い打撃の粗さが指摘されており早いうちに改善したいところ。肩は強いがスピードツールは平凡なため、将来はRFを守ることになるだろう。

成績

故障が多くまだフルシーズン健康に出場し続けたことがありません。それでも21年は主にAでプレーし、OPS.800以上をクリア。空振りの多さは直らず、K%は非常に高く危険水準。それでも、多くの四球を選ぶことで高い出塁率をキープし続けていますが、マイナーのレベルが上がった時によりハイレベルな投手に対応できるかは疑問符がつきます。


3(100). ダービン・フェルトマン(Durbin Feltman):RHP:右投右打:6/205:TCU:$559.6K($559.6K)
大学最終年に圧倒的なスタッツを残した剛腕リリーバー。最速98マイルの速球と、キレのいいスライダーのコンビネーションで三振を大量に奪う。ボールのクオリティだけでなく、それを狙い通りのコースへ投げるコマンドも有しており、短いイニングで起用すれば支配的なピッチングが可能。独特のテンポのデリバリーは、タイミングが取りづらい。場合によっては、来年のメジャーデビューも有り得る。

成績

デビューイヤーで一気にA+まで昇格し、好成績を残したため本当に19年の夏ごろにはメジャーデビューするかもしれないなと思っていましたが、19年はコントロールを乱し足踏み状態となりました。このまま、フェードアウトしていくのではないかと不安になりましたが、そこは18年ドラフトNo.1リリーフプロスペクト。21年は従来のコントロールを取り戻し、AA/AAAで好投。残念ながら開幕メジャーはのがしましたが、故障さえなければほぼ間違いなく今年中にメジャーデビューするでしょう。球速は大学時代に比べると若干落ちましたが、スピンレートは上がっており球速よりも質を意識しているようです。また、スライダーは大学時代よりも格段にクオリティが上がっているため、球速以外の部分で進歩が見られています。


4(130). コール・コッタム(Kole Cottam):C/1B:右投右打:6-3/220: Kentucky:$375K($417.8K)
パワーポテンシャルの高いスラッガー。どの球場でも、どの方向にでも、HRを打つことができるパワーツールが最大の魅力。コンタクトスキルも悪くはないが、変化球に対応できない場面が多く不安は残る。高校時代は守備に高い評価を得ていたが、大学では伸び悩み今後もCとしてプレーできるかは微妙なところ。スピードは皆無。レギュラーは厳しいかもしれないが、代打兼控えCとしてメジャー昇格を果たす可能性はある。

成績

ドラフト当時はパワーの1ツールかとも思っていましたが、マイナーでは以外にもヒッティングスキルの高さも見せています。無理に長打ばかり狙わず逆方向にシングルを狙う場面もあり、21年はA+/AAで打率.278と健闘しました。一方で、期待されていたパワーは目立っておらず21年になんとか2桁HRをマークというレベル。守備はそれほど進歩を見せておらず1B/DHで使うには厳しい打力なので、つかいどころが掴めない選手になっています。


5(160). サド・ワード(Thad Ward):RHP:右投右打:6-3/182: Central Florida:$275K($311.8K)
スリークォーター気味のデリバリーが特徴。リリーフとしてなら最速96マイルをたたき出すこともあるが、先発時は常時90マイル前半程度。速球はシンカー系で、ゴロを打たせるのに有効。アウトピッチはスライダー。チェンジアップも投げる。コントロールはまずまずで、四球で自滅するほど悪くはない。大学ではスイングマンとして活躍しており能力からすると、先発・リリーフどちらもこなせる。マイナー1年目は全登板先発だった。幼少期、スプリングトレーニング中のBOSのバットボーイをしたことがある。

成績

19年にA/A+で25試合に先発し、120イニング以上なげ防御率2点台前半と一気にブレークを果たしました。三振を大量に奪える支配的なピッチングをしていましたが、速球を4シームメインで投げるようになり、空振りを奪いやすくすると同時に球速を安定させることに成功しました。小さく鋭く曲がるカッター系のボールも有効に使っています。さらなる飛躍が期待されましたが、21年シーズン途中にトミー・ジョン手術を受け、現在は復帰に向けてリハビリ中。


6(190). デブリン・グランバーグ(Devlin Granberg):OF:右投右打:6-2/224: Dallas Baptist:$40K($241.6K)
大学最終年にブレークし注目を集めた。最大の長所はアプローチ。ボールの見極めに長け、四球を大量に選ぶことができる。コンタクトスキルも悪くなく、アベレージも残すことができる。パワーツールも問題なく、シーズン20HRをクリアできる可能性もある。体格の割には動ける方だが肩が弱く、OFとなるとLF以外に守れるポジションはない。1Bではグラブさばきのよさが評価されているため、将来は1Bを守る可能性が高い。相手の癖を盗み、積極的に盗塁をしかける。

成績

ドラフト当時に期待していたほど四球数を稼いでいるわけではありませんが、マイナー3シーズンでOPS.800以上をマーク。安定してハイアベレージをマークしており、四球数がさほど稼げなくても高い出塁率を残すことができています。21年はそれに加えて持ち前のパワーポテンシャルを発揮することに成功し、96試合の出場で17HRをマークと打撃ではプロでも通用するところを見せています。一方で、やはり守備位置はかなり限定されているようです。層の厚いBOSでは出場機会が限られるため、移籍先の球団でレギュラーとして出場するのではないかとも思います。


7(220). ジャレン・ドゥラン(Jarren Duran):2B:右投左打:6-2/200: Cal State Long Beach:$189.8K($189.8K)
身体能力の高さが光るアスリート。その身体能力が最も生きる場面が守備。肩が強ければ、SSを守ることもできたと言われるほど。身体能力を生かすため、OF転向も視野に入れられているが、肩の弱さがネックとなるだろう。打撃ではコンタクトスキルに優れ、広角に打球を打ち分けることができる。パワーは皆無だが、スピードを活かし二塁打/三塁打を量産できる。盗塁にも積極的だが、成功率はそれほど高くない。

成績

大方の予想に反し21年にmBOSの今ドラフトクラス内でのメジャーデビュー1番乗りを果たしました。打撃での安定感は群を抜いており、マイナーでのシーズンOPSは最低でも.776と高い水準で推移しています。21年はAAAで好成績を残し、メジャーデビューを果たしました。ただ、メジャーでは跳ね返され、大量の三振を残しそのままレギュラー定着へとはなりませんでした。打球が上がらずHRをコンスタントに打つことは難しそうですが、そこが土俵ではないのでさほどやっきになって長打を狙う必要もないでしょう。スピードと走塁スキルは群を抜いているだけに勝負所での代走という起用方法もありうるのですが、いかんせん盗塁成功率が低いためにフリーで走らせるには怖さもあるのがネックです。アンドリュー・ベニンテンディのようにBOSよりもKCで輝ける選手のようにも見えます。


8(250). イーライ・マレーロ(Elih Marrero):C:右投両打:5-9/185: St. Thomas University:$157.7K($157.7K)
父親と従兄もメジャーリーガーという野球一族の一員。打撃ではコンタクトスキルに優れ、アベレージを残せる。ギャップを抜くパワーはあるが、シーズン2桁のHRを期待することは酷だろう。Cの守備もそつなくこなすが、肩の強さは平凡。飲酒運転で逮捕歴があり、素行に若干問題ありか。

成績

プロ入り後3シーズンでいまだに100試合以上出場したシーズンがありませんが、その理由は薬物による出場停止処分。とはいえ、21年はA+で好成績を残し、招待選手として迎えたSTでもアピールに成功しています。ノーステップのスイングはやはり長打をコンスタントに打てるようなものには見えず、パワーレスな部分が今後響いてきそうです。


9(280). ブライアン・ブラウン(Brian Brown):LHP:左投左打:6/183: North Carolina State:$2.5K($144.6K)
大学最終年に、リーグの最優秀投手賞を受賞。速球は最速でも90マイルに届かないほど遅いが、カーブ、チェンジアップとそれ以上に遅い変化球を駆使し打者を翻弄する。17年まで、コントロールに苦しむ場面が多かったが、ドラフトイヤーにコマンドが改善され、簡単にストライクを取れるようになった。サイド気味のアングルのデリバリーはデセプションに優れ、打者の目を眩ます。先発完投するスタミナも有している。

成績

1シーズン投げた後リリースされました。


10(310). グラント・ウィリアムス(Grant Williams):2B:右投左打:5-10/180: Kennesaw State:$2.5K($137.1K)
出塁能力に長けた小兵。コンパクトなスイングはコンタクトすることを意識しており、滅多に三振はしない。アプローチも素晴らしく、四球の数が三振を超えることもありうる。パワーはほとんどなく、ギャップを抜けるかさえ怪しい。守備では派手なプレーは見せないが、ミスの少ないソリッドさが光る。肩が弱く身体能力に欠けるため、他のポジションでは少々使いづらいか。スピードもそれほどないが、盗塁には積極的。失敗が多いので、慎重な走塁が求められる。

成績

三振の少なさだけでAAAまで昇格することに成功しています。転がして内野安打を狙うというよりもしっかりとライナー性の打球を飛ばしているようでうすが、いかんせんパワーレスすぎてハイアベレージを残すには至っていません。プロ3年でHRが2本のみと長打力は皆無ですが、トニー・ケンプのような伏兵になる可能性は秘めています。


総括(2018)
上位10名中投手は3名のみと、野手偏重のドラフトとなった。野手では高校生は、1巡目指名のトリストン・カサスを筆頭にパワーポテンシャル重視、大学生は出塁能力重視となった。大学生ではボーナスプール調整のため節約指名ながらも面白い素材が豊富。その中でも特に、デブリン・グランバーグに注目したい。一部ではケビン・ユーキリスとも比較されており、新たなカルトスターとなる可能性も。投手では、剛腕リリーバーと技巧派先発とはっきりタイプが分かれた。いずれも、一癖も二癖もあるだけに、どこまで通用するのか、これもまた楽しみである。

総括(2021)
カサスがこれまでにないほど順調に成長しており、メジャーデビューまでは時間の問題でしょう。パワー1ツールではなく、しっかりとアベレージも残せるクレバーな一面も見せており、かつてチームにも在籍していたエイドリアン・ゴンザレスのような優秀な1Bとして長く貢献し続けることが予想されます。
カサス以外にも、既にメジャーデビュー済のデュランを始め、フェルトマン、ウィリアムスがメジャー昇格間近。また、グランバーグやウォードも好成績を残しており実りのあるドラフトとなりました。ただ、Pはともかく野手に関してはトップクラスのカサスを除くとBOSでは使いどころが見当たらない選手が多く、選手としてよりもトレードの駒としてチームに貢献することになりそうです。

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