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アメリカスポーツ史上最も不遇な2つのポジション

みなさんは、アメリカにおける、「3大就きたくない職業」をご存知だろうか。
一つは大統領である。
これは、理解しやすいのだが、あと二つは何ともアメリカらしい。
MLBのクローザーと、NFLのキッカーである。
どちらも、最後の最後、絶対に失敗が許されない場面で回ってくる。
クローザーがブルペンで投げ込み、コンディションを整える姿と、キッカーがサイドライン横で素振りをする姿は、どこか似た迫力を感じる。
その貢献度は計り知れないのだが、どうしても「活躍して当たり前」と思われがちであり、目立つのはいつもホームランバッターやレシーバーである。
この、史上最高に「不遇」な2つのポジションで、最も輝かしい成績を残したのは、おそらく、

マリアノ・リベラとジャスティン・タッカー

であろう。


 マリアノ・リベラは、ヤンキースで、通算652セーブという、誰ももう抜けないであろう素晴らしい記録を打ち立てた。
練習中に偶然生まれた、「伝家の宝刀」カットボールを投球の8割以上にわたって投げ、抜群の制球力で両コーナーに投げ分けた。
引退した年の成績(43歳で迎えたシーズン)は、44セーブ、防御率2.11と,最後までMLBの名だたる打者を寄せ付けなかった。わかっていても打てないということなのだろう。
彼は、自身の著書で、

「済んだことを引きずらず、先のことをあれこれ考えずに、目の前のことに集中することこそ、クローザーに必要な資質だ。(中略)失敗しても、迷ったり、くよくよしたりしないでいられることこそが、全ての鍵だ。」

と語っている。

 ジャスティン・タッカーは、レイブンズの現役キッカーである。
キャリア通算のフィールドゴール成功率は90.7%を誇り、これは現時点での歴代最高記録である。
そして、記憶に新しいのは、先日、現地時間9/26のライオンズ戦で、決めれば勝ち、外せば負ける、そして66ヤードという、成功すればNFL記録という局面で仕事が回ってきたのだが、それを見事決めた。
サヨナラ勝ちである。
距離はギリギリだったが、ど真ん中に蹴り込んだのはさすがの一言である。
彼は試合後、

"Instead of landing on my plant foot, I just basically kick the ball off like it's a kickoff, so I land on my kicking foot," 
(踏ん張って蹴ることはない。飽くまで、キックオフのように、基本に忠実なプレーをするんだ、と言い聞かせ、決めることができた。)

と語っている。

 2人の考えには、やはり共通点があるように感じる。
卓越した技術はもちろんのこと、2人は、
「常に平常心で、普段のパフォーマンスを出す」
という、わかっていても皆ができないことに驚くほど長けているからこそ、
これだけのパフォーマンスを出せるのではないか。
アメリカではとても人気のある両スポーツであるので、お互い参考になる部分はあるのではないかと思うし、
観ている側も、確実に仕事を遂行する彼らには本当に舌を巻くばかりである。

間違いなく歴史に残るこの2人。
「不遇」なポジションであるからこそ、もっと注目していきたいものである。

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