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「特別な誰か」になりたくて、いろんなものに手を出した結果、素敵ながらくたばかりが集まり…

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「特別な誰か」になりたくて、いろんなものに手を出した結果、素敵ながらくたばかりが集まりました。

最近の記事

乾杯しよう。

嫌になるよな。 朝から晩まで働いて。 「今日中に」「明日の朝までに」って、期限に追われて、会ったこともない奴からケツ叩かれて。 どうせ大したことなんかやっちゃいないし こんなに身を粉にしたって、世界から愛してもらえるわけでも、億万長者になれるわけでもないのにさ。 ほんとバカだよな。 人生マジクソだな。最近そう思うことが多い。 だからさ 今晩一晩生き延びたら、乾杯しようぜ。 「生きた」なんて積極的なもんじゃなくていい。 死ななかっただけ。 それだけで祝杯の

    • 小さな命

      あなたの頭の中で、心の奥で、何が暴れているのか、私にはわからないけど いつもとっても綺麗な言葉を紡げるあなただから 一生懸命仕事をノートにまとめて覚えようとするあなただから 「いいところ」なんて、そんなパーツを取り上げるみたいな言い方はできなくて。 たまに頭の中で誰かが「ワー!」って叫んでいるところも含めて 私はあなたを大好きですよ。 ちいさなちいさな体で、一生懸命に、必死に生きているあなたを 私は尊敬していますよ。 小さな小さな片田舎の町で 丁寧に、そして

      • 金継ぎ

        日本には、金継ぎという技術がある。割れや欠け、ヒビなどの陶器の破損部分を漆によって接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法だ。 陶器は丁寧に扱わなければ割れたり、欠けたりしてしまうので、もちろん丁寧に扱うことに越したことはない。ただ、どれほど大切にしている器であっても、意図せず傷つけたり割ってしまうことは誰しもある。 陶器を落として割ってしまえば、もう元に戻らないような、そんな絶望的な気持ちになることがある。確かに、どれほど優れた工芸士であっても、割れた陶器を全く

        • 精一杯。

          生きるために朝から晩まで働いて 身の回りのことをこなし 家族にもできるだけ優しく接し 周りの人をできるだけ笑顔にしようと振る舞い 零れ落ちそうな心を何度もすくい上げ 欠けていく何かを何度も拾い集めて 小さな体で冷たい雨に耐え 小さな足で一生懸命踏ん張っている。 いろいろな声が囁いてくるこの頭の中を、矛盾した複雑な心の内を、理解なんかしてもらわなくてもよくて。 ただ一日の終わりに、眠りに落ちるその前に、「よく頑張ったね」と優しく頭を撫でてくれるだけでよい。 「お疲れ様」と言っ

        乾杯しよう。

          希死念慮

          久しぶりに筆を執る。  大学3年の終わりだったか4年生になりたての頃だったか、それなりの期間希死念慮を持っていた。といっても、積極的に死にたいと思っていたわけではなくて、夜眠りに落ちるときが一番平穏な瞬間で、明日目が覚めなかったらどんなに楽だろうなと心の隅っこでつぶやくといった程度の、ぼんやりとした「ふっと消えてしまいたい」という感情だったように思う。  「目が覚めなかったらどんなに楽か」というのも、当時何か特別に悩んだり苦しんだりしていたわけではない。単純に、目の前のやら

          希死念慮

          勝負手

          年に数回知り合いの子供たちと指すくらいなのだが、それでも私は将棋が好きだ。 子どもたちとやるゲームはいろいろあるが、ゲームの途中、子どもたちも、私も自然と話しをしなくなり、その世界にのめり込んでしまうのは将棋だけかもしれない。 将棋の面白いところは、取った相手の駒を自分の駒として復活させられること。 この「復活」により、チェスよりもはるかに複雑に、はるかに戦略が豊かになる。 そして、「復活」させるタイミングも、場所も基本的には自由だから、通常ならあり得ない場所にありえ

          勝負手

          じっくりコトコト煮込んだスープ

          今日は、外見と内面の関係について書こうと思う。 外見(見た目)と内面(性格)の関係については、これらのものがまったく別物であるとする考え方が一般的だと思う。仮に、この考え方を「二元論」と呼ぶことにしよう。 二元論は、外見と内面はまったく別物で、それぞれの基準で別個に評価できるものだと考える。この人の外見は90点だけど、内面は80点、だから総合的には170点、というように。 二元論の場合、例えばAさんが外見、内面ともに80点で、Bさんは外見が80点、内面が90点であった場

          じっくりコトコト煮込んだスープ

          マッチングアプリ

          私は、マッチングアプリというものがどうも苦手だ。 もちろん自分とベクトルの合う人を効率的に探すことができることも、なかには素敵な人との出会いがあることもわかっている。 でも、そこにいるのは「彼氏/彼女がほしい」と思っている人だけあり、「私」を求めている人はいない。 私自身、人を好きになり「この人とお付合いしたいな」と思ったことは何度もあるが、具体的な「その人」を離れて、概念的にパートナーがほしいと思ったことは一度もない。だから、友達が(「この人」という具体的な対象がいる

          マッチングアプリ

          壁の向こう側

          この冬、私は転職した。子どものころからずっとなりたかった仕事に就いた。実際に形にするまでに、ものすごく長いが時間がかかった。 ここまで来るのに大切にしていた言葉がある。 「Brick walls are there for a reason. They let us prove how badly we want something.」 (壁があるのには理由がある。私たちがいかにその向こう側にあるものを欲しがっているのかを証明させるのだ。) という言葉だ(アメリカの

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          調和と均衡

          冬が来て、木々の葉が落ちる。土の中では微生物がその落ち葉を土に変え、大地に還す。その大地では寒さに耐え忍んだ新たな命が春に芽生え、その若葉を虫が食む。虫は鳥に、鳥は肉食獣によって捕食され、その肉食獣もいつかは命を全うし、土に還り、落ち葉とともに草木の養分となる。 自然界は、それこそ「調和のとれた」としか表現できないような絶妙なバランスでできているように見える。 しかし、それは私たち人間が、世界を優しく、美しく解釈したいがために、単にそのように見ているだけであって、自然界は

          調和と均衡