スミスが選ぶ! 『スピッツ隠れた名曲』10選 <中級編>

おこんばんは!
今年はスピッツ結成30年!ということもあり、そわそわわくわく浮かれ気味のスミスでございます。

先日ポストしました、「スミスが選ぶ! 『スピッツ隠れた名曲』5選 <初級編>」はお楽しみいただけましたでしょうか?(誰) 「スピッツ大好き芸人 ハライチ岩井が選ぶ『スピッツ隠れた名曲5選』」を真似して始めた個人企画です(岩井さん、勝手にすみません)。本当に頭を悩ませまくって選んだ5曲。それ以外の曲だってめちゃくちゃいい曲だということは大前提として、その中でも特に「これだ!」というものを選びました。この30周年を機に、よりスピッツを好きな人が増えたらいいなぁと願っています。

さて、そんな<初級編>5選から時を約1週間空け、ついに第2弾、<中級編>を放出しちゃいます! の前に、前回のおさらいとして、<中級編>の定義を振り返ってみます。

<中級編>スピッツの B面曲 に絞って選出。これまで40枚以上のシングルをリリースしているスピッツ。そのB面から選びます。なお、両A面は除くこととします(たぶん。気は変わるかも)。ちなみにスピッツは『スペシャルアルバム』と題し、B面やカバー曲なんかをまとめたアルバムも何枚かリリースしているので、なんとB面にも触れやすいんですねー。本当にすばらしいなー。

この段階では、「また5選かな〜」と思っていたのですが……。当たり前だけどB面ってA面よりも曲数が多いんですね(その当たり前をすっかり忘れていた)。なので今回は一気に10選! いやー、ここで10選だったら<上級編>とかどうなっちゃうんでしょうね。参ったなぁ。あとこの時から気は変わらず、両A面は除いております。

はい、また今回も前置きが長くなっちゃいましたので、早めに本題へGOGO!

「スピッツ大好き歴11年目のスミスが選ぶ! 『スピッツ隠れた名曲10選<中級編>』」

1.夕焼け

2007/08/01リリース(シングル『群青』収録)
至高のラブソングです。仮タイトルが“哀愁系”だったという本曲、たしかに爽やかポップな“群青”とは打って変わってしっとりとしています。出だしから赤く暮れた空が眼前に広がるようなアレンジです(本当だよ!)
サビの歌詞、「君のそばにいたい このままずっと/願うのはそれだけ むずかしいかな」にガツンと、やられてしまいます。なんと謙虚で健気なんでしょう。切なくて心がもげそうになります。間奏の泣いているようなギターがまた、この曲をより魅力的にしています。大げさな言葉を並べ立てているように聞こえるかもしれませんが、嘘じゃないんです。
こんなに丁寧な言葉で綴られたラブソングを生み出せるなんて。ひたすら、「すごいな」と思うばかりです。

2.仲良し

1997/11/27リリース(シングル『運命の人』収録)
鍵盤が入った軽快なアレンジながら、めちゃくちゃ切ない片思いの歌。「いつも仲良しでいいよねって言われて/でもどこかブルーになってた あれは恋だった」という歌詞には、天才すぎる……!と打ち震えました。友達という一線を越えるには、あまりにも距離が近くなりすぎてしまった、というところでしょうか。
あと、「サンダル履きの足指に見とれた」という歌詞にはフェティシズム的なうつくしさを感じます。草野マサムネの書く歌詞には、こういう「身体の一部」が結構な割合で出てくることが多いのですが、グッときますよねぇ。曲を描いている人の目を通して、曲中の人物を見るのが好きなので。

3.俺のすべて

1995/04/05リリース (シングル『ロビンソン』収録)
青春ソングの金字塔とも言える曲、“ロビンソン”の真裏を張るのがこの“俺のすべて”。ライブでは準定番くらいの立ち位置なので、人によっちゃあまったく隠れてないのかもしれませんが、やっぱり外せず出しちゃいました。
スピッツの中では数曲しかない、一人称が「俺」の曲でして、そのタイトルからもなんとなく感じられるかと思いますが、骨太なギターロックです。ライブではマサムネさんはギターを持たず、タンバリンを叩きまくります。これがまたかっこいい。
しっかし……出だしの「燃えるようなアバンチュール」という歌詞には本当に、いつもシビれてしまいます。このセンスたるや。

4.恋する凡人 (Live from SPITZ JAMBOREE TOUR 2010)


2010/06/23リリース (シングル『つぐみ』収録)
『つぐみ』に入っている“恋する凡人”はライブverでして、この曲に関しては正式な音源がアルバム曲としてリリースされる前に、こっちが先に出されました。疾走感のある爽やかなロック。恋に狂ってしまった凡人は、曲中で「君のためになんでもやる」とまで言ってのけます。本当にこういう、恋する者のクレイジーな表現がうまい。恋してるやつにまともなやつはいないんだな、と(笑) 自分もそういうところが多々浮かぶんですが(消えたい!)、だいたいカッコ悪いんですよね……恋愛してる人なんて。盲目でがむしゃらで。でも、だから余計にうつくしいのかもしれませんね。
いやー、正直この曲はすべてを載せたいほど、歌詞がほんっとに良いんです……。歌詞を調べてみてください。中でもいちばんシビれるのが、「これ以上は歌詞にできない」という曲の締めのワンフレーズです。こんなの他に聴いたことない……! この曲を聴けばスピッツに惚れちゃうこと間違いなし。

5.三日月ロック その3

2004/01/21リリース(シングル『スターゲイザー』収録)
ほぼラブソング続きですね。こちらは歌詞から引用すると、「不細工な人生を踏みしめてる」人物が、これまた不器用に恋をしている曲。重めのギターサウンドとビートがずっしり心地よいイントロ、でも爽やかなメロディが耳に残る名曲です。「色あせないドキドキは 形だけ変わっていくのだ」とも歌っていますが、まぁなんて素敵な表現でしょう……。そうなんですよね、「好き」の形が時間とともに変わっていくからおもしろいんですよね。
ちなみに、三日月ロックの「その1」、「その2」はたしかお蔵入りになったとかで、世には出てないんですね。そっちも気になる。

6.恋は夕暮れ

1994/10/26リリース(シングル『スパイダー』収録)
とてもポエチックな曲です。これぞ詩人・草野マサムネ。もはや、文学作品としてもうつくしい、と言っても過言ではないのではないでしょうか。「恋は昨日よりも 美しい夕暮れ」から始まり、様々なメタファーを用いて「恋」というものの正体を浮かび上がらせていく曲です。
私の心が特別震えたのは、「恋は迷わずに 飲む不幸の薬/恋はささやかな悪魔への祈り」というところ。どうしよう、めっちゃわかる……。恋とは、頭では分かっていても心がいうことをきかない現象であり、また自分の幸せと引き換えに、だれかの不幸を願わずにはいられないものなんですよね。あぁ、そんななのに、どうしてこんなにも、この曲はきれいなんでしょう。ため息しか出ないです。
ゆったりとしたやさしいバンドサウンドに、これまたやさしいオレンジの夕暮れの空を想い浮かばせるようなホーン隊の音が、耳に、心に、沁みていきます。ぜひ静かな部屋で曲だけ流して味わってみてくださいね。

7.夏が終わる

1993/10/25リリース (シングル『君が思い出になる前に』収録)
ホーンやストリングスが入って軽やかでゆったりとしたアレンジと、「またひとつ夏が終わる 音もたてずに」という歌詞が、夢見心地だった夏の終わりを告げていきます。残暑を終えて、なんとなく秋の香りがし出した頃に聴くとどんぴしゃかなぁ。
夏真っ盛りのイケイケな様子ではなく、終わりのなんとなくさみしい雰囲気をすくい上げていっているところが、なんともスピッツっぽいですよね。今年の野外で聴きたいところです(公演日は8/12という、夏ど真ん中ですけど)。やってくれるかなぁ。

8.ルナルナ


1995/07/07リリース (シングル『涙がキラリ☆』収録)
「クリスマスなんかを恋人の記念日にするんじゃあない! 俺は七夕の方が思い入れがある!」と言ったかどうかは定かではありませんが、マサムネさんがクリスマスのカウンターとして七夕を盛り上げたいと言っていたのはたしかだったと思います。そのための曲が、A面の“涙がキラリ☆”。実際7/7に発売されています。
そんな曲のB面が“ルナルナ”。仮タイトルが“恋のアルマジロ”というわけのわからなさなのですが(笑)、軽快で小気味よく、かわいらしい曲です。ベースが複雑な動きをしているので、そこだけ追いかけて聴いてもたのしい。間奏のギターのフレーズもおしゃれで酔えます。
派手な曲じゃないけど、なんか好き、なんですよね。歌詞は、秘密めいたときめきが散りばめられている感じ。乙女成分多めかも。サビもかわいいし。「二人で絡まって 夢からこぼれても まだ飛べるよ/新しいときめきを 丸ごと盗むまで ルナルナ」
ちなみに、去年リリースされたアルバム『ハチミツ』のトリビュートで、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんがカバーしてくれています。ご本人がおっしゃっていた通り、暑苦しさがgoodでした(笑)。

9.大宮サンセット

2001/10/11リリース (シングル『夢追い虫』収録)
「この街で俺以外/君のかわいさを知らない/今のところ俺以外/君のかわいさを/知らないはず」
なんという物語の幕開け。自分だけしか、その子のかわいさに気づいていないなんて言ってのけてしまう(でも、2回目で「はず」をつけてしまうところがスピッツっぽい)。甘酸っぱくてドキドキします。
この感覚、分からなくはないな、という人、割といるんじゃないでしょうか。クラスの人気者の裏で、意外と人気のあった子っていたりしませんでした? たぶんみんなが、「僕だけが、私だけが、この人の魅力を知ってるんだ」って思ってしまうような人が。あとで聞いてみたら、意外とみんな気づいてた、みたいな。この曲自体がそういうことを言っているんではないと思いますが……。
暖かく柔らかい弾き語りアレンジと、やさしい歌声が混ざり合って、「大宮サンセット 手を繋いで/歩く土曜日」という歌詞の風景が思わず浮かんできますね(動画はライブアレンジをしているので、「歩く火曜日」になっていますね。)
ちなみにこの曲は2001年のツアーで、「大宮ソニックシティ」というホールでライブをした際につくられたとのことです。

10.シャララ

2006/07/12リリース (シングル『魔法のコトバ』収録)
この曲について、「カップリングはスープみたいにつるんと味わってほしい」みたいなニュアンスのことをマサムネさんが言われていた気がします。もう11年前のことなのでぼんやぁりしておりますが。
バンドサウンドに軽やかなホルンとフルートの音が絡まっております。結構珍しい楽器が入ってますよね。かわいらしくポップな曲調で、たしかに「つるりん」と聴けてしまう曲です。
なんですが、ヤラれてしまったんです。こんな明るい曲の中で歌われる、どうしようもなく切実な歌詞に。
「視界がボヤけて/君の声が聞きたいでも君はもう誰かの恋人?」
「優しくしてくれ/誰でもいい 少しでもいいから 優しくしてほしい」
ね、切実でしょう。こういう「男の人の弱い部分」みたいなところ、グッときちゃいますよね(ませんか……?)。


以上、10曲でした!
ふぅ〜、今回も長かった〜! こんな個人的な企画に、最後までお付き合いくださりありがとうございました。残すところ<上級編>のみですね。あとすこしがんばりますので、引き続きよろしくお願いします!





最後まで読んでくれて、ありがとうございます!