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10年来の友達だからこそ。

いまはもうだいぶ思い悩むことも減ったけれど、私は大のネガティブだった。「なんでそんなにネガティブなの?」、「そんなにマイナス思考にならなくても」。こんな言葉をかけられたことは数えきれない。

「あなたのネガティブがしんどい」。
真っ正面からそういう風に言ってくる人もいた。もともと考え方の異なる人ではあったけれど、そうだよなぁ、私の思考はやっぱり、人の重石になってしまうんだ。改めてそれに気づかされたときは大層落ち込み、しばらく引きずった。

もともとかなりの心配性で、冷静なときには「ありえないっしょ」と笑い飛ばせるようなことを、時と場合によっては思い悩みすぎる節があった。はったりでも、できないことを「できる」とは言えない。少しでも不安があると「できそう」とも言えない。「こわい」、「しんどい」と口にしてしまうこともあった。石橋を叩いて、叩いて、そしてなお、足で踏みしめないと渡ろうとすら思えない。ビビりだし、疑り深いのである。

ただ、年齢や経験を重ねてある程度図太くなれたり、私の考えを頭ごなしに否定しない環境を見つけてからは、不思議とマイナスに考えることは減っていった。そうやって、ここ1年くらいはなかなか生きやすい人生を送りはじめていた。


先日、あることがきっかけで友人に電話することがあった。そこでかけられた言葉が、私の心をさらに明るく照らしてくれた。

彼女は高校2年生の頃に同じクラスになってから10年来、ずっと仲が良い。内部進学だった影響もあるけれど、大学には学部も学科も同じところへ進んだ(お互いにいろいろと迷いに迷ったのだけれど、結果がそうなった)。社会人になってからは、会社こそ違えど似たような業界に属しており、仕事のよろこびと苦労、どちらも分かち合える間柄だ。

そんな彼女との電話の途中、おそらく仕事の悩みについて話しているときだったと思う。「私って、ネガティブな方やからさぁ……」となんの気なしに話したとき、彼女は「え! 私、スミスちゃんのことそんな風に思ったことないで!」と言ったのだった。信じられなかった。

私は彼女のポジティブなところ、なにごとにも前向きに物事を捉え、自分の道を自分の手でどんどん切り開いてくところが大好きで、憧れで。でも同時に、「この子にとって私のネガティブが、よくない方に作用していたらどうしよう」と思うこともたびたびあった。別にそういうメッセージを受け取ったことはないのだけれど。暗い思いは伝染するから。

「スミスちゃんは、自分の悩みにちゃんと向き合って、その都度しっかり考えてるんやなってずっと思ってたよ。だから、マイナス思考なんて感じたことない!」

彼女の力強く明るい声が、私の胸にす〜っと染み込んでいった。書いているいまも泣きそうだ。10年間、ずっとそばで私のことを見てきてくれた彼女が言うのなら、きっと間違いはない。私のことを、そういう側面から見ていてくれた人もいたのだ。

夜通しの勢いで電話で話し、またひとつ、互いの新しい部分に触れた気がした。彼女は今年の1月からやりたいことを叶えるために、関西から東京へひとり戦いに出た。そのため、以前より会う機会はぐっと減ったけれど、その分ひとつひとつが濃密でかけがえのないものになっている。付き合い方が変わったとしても、変わらずに一緒に笑えることがうれしくてたまらない。


「自分はネガティブだ」。
そうやって、心の奥底でずっと申し訳なく思っていた気持ちは、もうほとんどどこかへ消えていってしまった。だからといって、急にパリピみたいにはなれないけれど(笑)、より前向きになれたのは確実だ。

私はもっと強くなる。
そして、まだまだ柔らかくなれる。

彼女と同じように、だれかをそっと救えるようになれたなら。
もうこれ以上に望むことはない。



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