私の怖いもの -BRUTUS『もっと怖いもの見たさ。』を読んで-
BRUTUSの『もっと怖いもの見たさ。』特集号を購入した。
昨年の『怖いもの見たさ。』特集の続編と呼んで差し支えないだろう。去年はホラーコンテンツガイドのような側面が強かったが、今年は怖いものについて語るコラムが多く収録され、各々の恐怖の根源に焦点が当てられていた。「確かにそれ、私も怖い!」というものもあれば、正直「え、そんなのが怖いの?」と思うものもあり、何に恐怖を覚えるかって、パーソナリティの核心に迫る話題でもあるなぁと感じた。そして改めて、「私って何が怖いんだっけ?」と振り返ってみた。
日本のホラー映画
海外(アメリカ)のホラー作品は大好きだ。もちろん震え上がることもあるけれど、基本的に「終始目をつぶっていないと無理です!」なんてことはない。でも、日本のホラーはからっきしだめ。独特のじめっと感からして受け付け難い。実物なんかもちろん見たことはないのに、「幽霊」なるものの存在も怖い。
私が子どもの頃は、夏になると地上波でホラー映画がよく流れていた。昼も夜も関係なく。タイトルすら思い出せないものばかりだけれど、脳裏に焼きついている怖いシーンは数々思い出せる。壁からしみ出てくる血、呪いの人形、執念深い幽霊……。あと、『花子さんがきた!!』とか『地獄先生ぬ〜べ〜』とか、『学校の怪談』とか、学校にまつわるホラー系のアニメも多かったよね。流行りだったんだろうか? てか、なんやかんや怖がりながら結構観てるな。背筋がゾゾっとすることって、ちょっと快感だもんなぁ。
布団から足を出して寝ること
怖いものを観てからしばらくは、布団から足を出して眠れなくなる。あの現象ってなんなんでしょうね? よく聞くので私だけじゃないみたいだけど、名前ってついているのかしら? ベッドの下から何かが這い出てきて、両足をガッと掴まれて引きずり込まれるイメージがなんとなくある。
お風呂場
トイレは平時でも怖いけど、ホラー映画鑑賞後って、風呂場もめっちゃ怖い。水の音や鏡が恐怖を増幅させてくる。髪を洗っている間なんかは特に、見えざるものの気配を感じる、気がする。
髪の毛
髪の毛って、抜け落ちてもなお意思が宿っているみたいに感じるのはなぜ? 切ったあとの爪とか、剥がれ落ちた皮膚(かさぶたなど)には何も感じないのに。特に長い髪に恐怖を覚えるのは、やっぱり“幽霊”と聞いてすぐさま思い浮かぶビジュアルが髪の長い女性だからだろうな。ショートヘアの幽霊って見たことないもんね。
裏庭の茂み
昔住んでいた社宅には裏庭があったんだけど、夏になると植物たちが、それはそれは猛々しい茂りを見せる。森が怖いのはそこはかとない「生きて帰れなさ」(遭難や野生の動物を含め)があるけれど、狭い庭にぽっかりと濃い影を落とす草木もまた怖い。あまりにも怖くて、庭にセットしたビニールプールに入れなかったことがあったな。
長い階段
段数が多くて一直線の階段って超怖い。螺旋階段も怖い。特段理由が思い浮かばないところがさらにイヤ。神社だろうと駅だろうと誰かの家だろうと関係なく、見ているだけで私の肝を冷やす。
巨大建造物、巨像
大仏とか、謎のオブジェとか、とにかく巨大なそれらが怖い。その辺の高層ビルもヤダみがある。高所恐怖症なわけではないので、建物に入って街を見下ろす分には平気だ。景色として流し見するのもまったく問題ない。そびえ立つ建造物を下から見上げるときがいちばん足がすくみ、腹の底がヒヤッとする。急に気が遠くなって、あ〜、死ぬ〜と思う。押しつぶされる感覚がするからかな。物理的にもそうだし、人の思いの集合体でもあるから。あれ、ひょっとして長い階段が怖いのってこれに近いのかな?
水平線
見ていると気が遠くなるものその②。泳ぐのはぜんぜん平気で、少々荒れていてもむしろゲラゲラ笑いながら波に乗っちゃうけれど、ふとしたときに水平線が目に入るともうだめ。あ〜、死ぬ〜。あと、「海には数え切れないほどの生き物が住んでいて、想像もつかないほどデカいものもいる」と想像すると、さらに気が遠くなる。ああ、私ってとにかく「デカいもの」が怖いんだな。自然だとコントロールの効かなさに、人工物だと人の強い意思を感じるところに。
いまのところ思い浮かぶのはこんな感じだ。私は意のままにならないもの、得体の知れないものが心底怖いんだなぁ。自己理解が進んだ気がする。
最後まで読んでくれて、ありがとうございます!