十三機兵防衛圏をクリアした感想(ネタバレ)

ヴァニラウェアからの新作ADV「十三機兵防衛圏」をクリアしました。

ゲームシステムはADVでストーリー進行、バトルパートはRTSで進みます。

2Dアクションゲームではありません。

クリアした感想をこちらにまとめます。

ネタバレ要素になります。










作るのに大変苦労としたという開発者インタビューを見たのでそうだろうなとは思っていましたが、率直な感想として言うと

よくここまでSF要素をほぼ全部突っ込んでストーリーを作ったなと感心しました。

ストーリー進行にしたがって

1:タイムループ物

2:どうもタイムループではない

3:年代毎の居住空間を作ってそれを転移している物語

4:宇宙開発SF物のようだ

5:他の星を舞台にしたSFのようだ

6:全部仮想空間だった(マトリックス系だった)

7:マトリックス系で無限ループさせられるウイルスを仕込まれてた話だった

8:マトリックス系に仕込まれた無限ループから脱出する話だった

9:無限ループ脱出して現実世界に出て来られた(テラフォーミングされた別の星)

というミスリードを3回もさせられるストーリーでした。

よくここまでしつこくミスリードやどんでん返しするなと感嘆しました。


内容はそれほど難しくもなく比較的記憶しやすく進行できました。

謎というか物足りない要素としては

2180年代の最初の舞台で主人公たちがどういう経緯でDNA情報を記録され、適合者として選ばれたのかの経緯が飛んでるなと感じました。


計画の中心人物である森村千尋博士を殺害した殺し屋関ヶ原瑛や森村千尋博士たちの計画を潰そうとしてた郷登蓮也や緒方稔二(彼は緒方会長AIの容れ物として選ばれたのでまだ分かりますが)も適合者としてポッドで実際に育成されてた人間として選ばれてますので、その選択基準がよく分からないなという感じです。

普通に考えれば、鞍部玉緒さんが適合者のリストに入るだろうが入ってないなあという感想です。(追記:鞍部玉緒さんは適合者として15人の中に入ってるとのこと。劇中で現実世界にまだ復活できてない特例の存在。他にも時系列で見ていくと特例な点が多いので彼女だけ別個にどういう状況だったのか整理する必要)


一連の物語の元凶は2名いる形です。

ナノマシンの暴走でもともとの地球にいた人類を滅ぼすことになってしまった森村千尋博士。

システムに無限ループを仕込んでテラフォーミングが成功した後に人類が復活できないようにウイルスを仕込んだ東雲諒子博士。

この物語は井田鉄也に利用されて絶望した東雲諒子がシステムに仕掛けた仮想空間内での無限ループということですが、井田鉄也の当時の肩書きもやや曖昧、東雲諒子がどう利用されたのかも不明。ちょっとよく分からない感じです。


復活した2周目の東雲諒子も非常に不安定で物語を掻き乱す不穏分子で非常に共感しにくいキャラだったので、個人的には登場キャラで彼女の心象が一番良くないですかね…


同じ名前で世代別に人格が違う人物たちがいる、場合によっては同じ時代にも複数の人格が同時に存在するという人物把握がやや複雑でしたが、落ち着いてアーカイブを見ればスッキリ理解できるようになってたのでそこはあまり苦労しませんでした。

追記:主要人物の年代別状況と何をしたかを整理した表を用意しました

緑の項目が無限ループ脱出に大きな影響を与えた点、ピンクの項目は事態を悪化するネガティブな影響があった点を意味してます。


2188年〜1周前までを整理したもの(画像が大きいので2分割)

スクリーンショット 2019-12-19 20.57.23

スクリーンショット 2019-12-19 20.57.37


現代を整理したもの(画像が大きいので2分割)

スクリーンショット 2019-12-19 21.01.15

スクリーンショット 2019-12-19 21.01.29


ストーリーの方は人間醜いところもあるし争いが酷かったのだろうなと想像できるところもありましたが、最後には全部ハッピーエンドになって時間は多少かかるかもしれないけど仮想空間内の人たちも望めばポッドで復活できそうで良かったねという印象です。


バトルパートは面白かったですけど、敵の見分けや区別がしづらくてどんな敵がどこに出てくるかのステージ毎の覚えゲーかなという印象です。

空を飛ぶ敵、遠距離からミサイルを連発してくる敵、アーマーが付いている敵を優先的に処理しなきゃいけないのですが、敵の色にあまり意味がなくて、第1世代の空中を攻撃できない機兵だと敵が空飛んでいるかどうか視認しにくいからEMPをとりあえず使っておくかというアバウトな戦い方をしなきゃいけなかったなどちょっと不便なところがありました。

そういう欠点はありましたが、バトルパートはスルメゲーでここを非常に気に入る人もいるのではと。


グラフィックや背景は大変美しかったと思います。ヴァニラウェアお得意のグルメは今作はちょっと控えめかなと感じます。


面白かったですが、クリアした後のやり込み要素があまりなく、ストーリー的にも割とスッキリ理解できる構成のため、解釈や考察をする必要もあまりなくて、作るのは大変だったろうなというのは理解できますがゲームとしてはボリューム少なめかなあと思います。

良い作品ではありました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?