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松本山雅FCvs奈良クラブ(A) レビュー【2023 J3 第1節】

はじめに

どーもこんにちは、すぴっちです。
第1節vs奈良クラブのマッチレビューになります。

本記事で言いたいこと

新生山雅の「ボール保持 > 最終ラインからのビルドアップ」について

試合結果:2-0 (勝ち)

開幕戦を観て感じたこと

見事、開幕戦勝利を掴み取った松本山雅。
この試合を観て「今までの山雅とはまるで違う」と感じた。

ざっくりと感じたことでいうと、以下の通り。
・「最終ラインからのビルドアップ良いな。縦パス通ってるな」
・「中盤でパスがポンポン回っているな」
・「めちゃくちゃプレスしてるな」
・「プレスの運動量えげつないな」

今回は、その中の “(最終ラインからの)ビルドアップ”について深堀してみた。

"ビルドアップ"を実装した山雅

ここ最近の山雅のビルドアップというと、
・最終ラインで繰り返される横パス回し
・圧力受けたら、前へロングボールで逃す
・安定させようと後ろに集まり過ぎて、縦パス出しても前線に人いない
・・・などと良いイメージが湧いてこない。決して山雅の武器ではなかった。

しかし、この試合では違った。チームで明確なイメージを持って、人を・ボールを動かしていた。それが相手の脅威となっていた。

では、どのようにビルドアップをしていたのか?

ボランチが前向きでボールを受ける状況を作ること

HTの監督コメントがポイントの1つだと思われる。

ボランチは前向きでボールを受けよう

ハーフタイムの監督コメントより抜粋

ボランチが (相手一列目の裏側で) 前向きでボールを受けること。
→ その状況を作れば、Finalサードに迫る縦パスを出せるから。
その状況を作るためにチームで動く・・・ことがポイントかと。

具体的に試合のシーンを用いて説明する。
ここで、ピックアップしたいのは以下の2つの場面。
・07:50〜:[ケースA] CHパウロ/住田が縦パス
・33:26〜:[ケースB] CHパウロが縦パス

まず1つめ。

ポイント①. 広がった位置を取る#43常田
 - 目的: 相手1列目を引き寄せて、そのスペースを空けるため
ポイント②. ↑の空いたスペースに位置取る#14パウロ 
 - 目的: 前向きでボールを受ける準備
ポイント③. #43/#14 と三角形の関係となる#15菊井
 - 目的: #14パウロにレイオフするため (+相手CHを釣るため)
 - 補足: 菊井が降りた分、#36住田が上がるので前線の人数OK

➡︎ 結果、ボランチの#14パウロに前向きでボールを渡せて、そこから相手陣地に侵入できた!

2つめ。

各ポイントは1つめと同様。
ポイント①. 広がった位置を取る#43常田
ポイント②. ↑の空いたスペースに位置取る#14パウロ 
ポイント③. #43/#14 と三角形の関係となる#15菊井

➡︎ これも、ボランチの#14パウロに前向きでボールを渡せて、そこから相手陣地に侵入できた!

「ボランチが前向きでボールを受ける状況を作ること」
基本ビルドアップするときは、どのチームだってこれが重要であることは間違いない。攻撃側はこれがしたいし、守備側はこれを防ぎたい。今年の山雅は、この状況を作るため仕組みがチーム全体で整理できているように見えた。だからこそ、上述した2つの素晴らしいシーンを生み出せたと思う。

CBが内/外の縦パスを狙える位置にいること

ビルドアップ時において、もう一つ重要だと思ったのがこれ。CBも相手を"ぶん殴る"縦パスを出すこと。そのための位置取り。

具体的に試合のシーンを用いて説明する。
ここで、ピックアップしたいのは以下の2つの場面。
・13:26〜:[ケースC] CB野々村が縦パス
・25:01〜:[ケースD] CB野々村が縦パス

まず1つめ。

まず、パスを受ける#44野々村の位置。相手のプレスが受けにくく、尚且つ 内(#15菊井/#23滝)も外(#48藤谷)も狙える位置にいる。
そこからパスを受けて、内に縦パスをぶち抜いた野々村。これは相手WGが外寄りの意識をしていたため。

2つめ。

このシーンでは、パスを受けた野々村は 外に縦パスをぶち抜いた。前のシーンとは異なり、相手WGが内寄りの意識をしていたため。
この時の #36住田の動きも・・・美しい。

この2つのシーンから、CBが内/外の縦パスを狙っていることがよく分かった。そのために、位置取りを意識していることもよく分かった。

ボランチが縦パス狙うのは大前提。しかし、そこしか出し手がなければ相手だって守りやすい。相手守備を迷わせ隙を作るために、CBも出し手になることも要求されている・・・のかなぁと妄想している。

新生山雅のビルドアップの設計図

以上を踏まえて、"ビルドアップ"フェーズの設計図を1つの図にまとめてみた。

CH/CBは縦パスを狙う。SH/SBがそれを受ける。必要に応じて、OH(#15菊井)が出し手のサポートをする。

ここまでCFがほぼ登場していないが・・・"ビルドアップ"時はボールに絡むよりも、相手守備のラインを上げさせないことが目的かと感じた。レシーバーがボールを受けやすくなるようにスペースを作るために。

*色々図を作りながら思ったけど、本当にどの場面でも#15菊井が絡んでいて驚いた。「"ビルドアップ"はこのポジションの働き方で決まる」と言っても過言でもないのかも。

補足. 目的は”ゴールを奪う”こと

"ビルドアップ"でここ近年と一番違うと感じたのが、「ビルドアップはあくまで手段である。目的はゴールを奪うことである」ということ。

昔の山雅のビルドアップを思い返すと、ボール回すことに躍起になっていたことが多かった気がする。まるでビルドアップが目的かのように。

しかし、この試合は必要とあれば長いボールで中盤をすっ飛ばしていた。(うまく根拠を示せないが)チーム全体の意思が揃って、「今はつなげていく」「今は中盤とばす」とできていたように見えた(副キャプテン#15菊井の指示だったりするのかな?)。

猛然とプレスしてくるチームもあれば、殻に籠るチームもある。また同じチームでも時間帯/状況によって動きは変わる。柔軟に戦えるようになってきたことは素晴らしいと感じた。

終わりに

新しいワクワクを見せてくれた”霜田山雅”。それと同時に、”山雅の流儀”もしっかりと見せてくれたと思います。

1つの例が2点目のシーン。村越くんがボールを運び始めた瞬間、山雅の選手は相手よりも素早く切り替え、そして続々とゴールシーンに迫っていました。交代選手はもちろんのこと、スタメンで疲れ果ててるだろう住田くんも。もちろん勝つために必要なことではあるし、これが山雅らしさかなぁと感じて嬉しかったです。

次節も、山雅の新しいチャレンジを、そして山雅の流儀が詰まったプレーを楽しめることを期待しています。

最後まで読んでいたき、ありがとうございました。
それではまた。




P.S.
今シーズンの目標は、”無理なく” 全試合のレビューを書くことです。そのため、なるべくシンプルに書いていこうと考えています。
→ 今回は、「ボール保持」の「最終ラインからのビルドアップ」に絞ってみました。結果無理なく早めに投稿できた気がする。
・・・だがしかし・・・。この試合の「ボール非保持」の「相手陣内でのプレス」も面白かったから書きたかったし、あと「ボール保持」の「Finalサード」の崩しもワクワクした。こんなに書きたいことがたくさん出てくるなんて・・・新生山雅面白いね!・・・という、あとがきです。